【dvd】ロスト・チルドレン
カバー写真■ロスト・チルドレン La Cite des Enfants Perdus
■1995年 フランス・スペイン
■監督:ジャン=ピエール・ジュネ/マルク・キャロ
■出演:ロン・パールマン/ジュディット・ヴィッテ/ドミニク・ピノン/ダニエル・エミルフォルク
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近未来の不思議な世界。迷路のような暗い街並みが続く港町、ある日、サーカスで働いていた怪力男ワンの弟が「一つ目教団」にさらわれてしまう。ふとしたことで知り合った孤児ミエットと一緒に、ワンは弟を探すのだが…。
★★★★

ダークな色合い、終末感漂う街のイメージ、レトロフューチャーなガジェットの数々、ああ、こういうのいいなぁ。登場するキャラクターも怪力男・美少女・シャム双生児と映画全体がノスタルジックなカーニバル。とにかく作り込んだ世界観がすごく良い。ストーリーは捻りが無く単純なものだが、可愛らしい話でこれはこれで良い。大人の絵本は雰囲気重視だ。

そもそもこの映画を観ようと思ったきっかけは、ロン・バールマン。「ヘル・ボーイ」の予告を観て、見覚えがあるのにどこで観たのか思い出せず、彼の出演作を調べていた時に見つけたのが本作。監督は「デリカ・テッセン」のジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャロ。最近は徐々に蓄積されつつはあるものの、私の脳は何故かほとんどの映画監督の名前を覚えられないので、後になって「あー、あれとこれは同じ監督だったのかー」と思うことがとても多い。今回も調べてみて、あの「デリカ・テッセン」の監督の作品なら、観てみたいなと思ったわけだ。ジャン=ピエール・ジュネは、「エイリアン4」とか「アメリ」とかも監督していて、今はこっちの方が有名になってしまったかも(それもやはり「あーそうか、同じ監督か…」とぼんやり思った私)。「アメリ」のちょっと歪んでるけどファンタジックな恋愛ストーリーは乙女心鷲掴みでとても可愛いし、ポップで明るい映像はハッピーな気分になるし、映画としてもかなり完成度が高いと思う。でも私は、いかにもなブラックさ満載が素晴らしい「デリカ・テッセン」が大好きだ。そして、「ロスト・チルドレン」は「デリカ・テッセン」と同じような、アンダーグラウンド系のダークな良さがある。そうそう、これだよ、これ。

レトロなガジェットと暗い色彩で創り上げられた街や道具もさることながら、私が一番好きなのは、カーニバルのテイスト。キャラクター達の特異さだけでは無く、この映画の世界全体が持つ独特のカーニバルの雰囲気だ。これまた私の好きなスタージョンの「夢見る宝石」と同じテイストだ(これも興味のある人は是非読んでほしいかったりする)。もちろん、科学者とその失敗だらけのクローン達、シャム双生児の姉妹、一つ目教団、ノミと殺し屋など、出てくるキャラクターも魅力たっぷりに世界観を盛り上げてくれる。本当に、この世界はたまらなく美しい。

主役2人もピッタリはまっている。ワン(ロン・バールマン)は体は大きく顔は怖いが、絵に書いたような「気は優しくて力持ち」タイプ。ちょっと頭が弱く、純粋な子供のようだ。ワンと対になるのが美少女のミエット(ジュディット・ヴィッテ)。彼女は孤児院で暮らし、経営者の双子に泥棒をさせられている。洞察力にすぐれ、頭も良く大人びている。ワンが子供のような大人であるのに対し、ミエットは大人のような子供。2人の間には、ワンがミエットに抱くのは妹への愛情で、ミエットはワンに限りなく恋愛感情に近い気持ちを持ち、微妙な愛情関係だ。こういう設定はありがちかもしれない。が、2人を見ていると、ああいいなあ素直に思える。

この話に出てくる本当に血の繋がった家族は、よくよく考えるとシャム双生児の姉妹だけなのだが、彼女らは常にいがみあっている。お互いを信用していない。クローン達は、自分がクローンであることでオリジナルに対して劣等感を持っている。夢を見ることが出来ないために老いていく男、科学者の助手である女、孤児達、殺し屋、酒場の女。誰もが孤独だ。そんな世界で、ワンは弟と出会った。捨てられていた子を拾い、弟として育てた。弟という存在は、ワンにとってとても大切なものだ。そして、ミエットはワンと出会うことで家族を得る。孤独では無いのは、自分を思う誰かがいるのは、とても暖かで良いものだ。例え出口のない暗い街であっても。

※ちなみに、最初に書いた「ロン・バールマンに見覚えが…」というのは、「ドラキュラ」に出ていたからだった。

Posted: 月 - 11月 15, 2004 at 03:37 AM

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