
■脳病院へまゐります。
1998年■若合
春侑〔著〕
■文春文庫
ISBN: 4167656701 →
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昭和初期、ある人妻が谷崎潤一郎を敬愛する帝大生と出会い、恋に落ちる。恋するあまり、何もかも男の言いなりになろうと決意する女。しかし、男が女に求めたものは、普通の男女の恋愛では無かった。理性を捨てた女が「おまへさま」へ宛てた手紙で語られる地獄絵巻。
こういう本は良くも悪くも一度読んだらなかなか忘れられない。谷崎潤一郎っていうよりも、丸尾の世界だなあ、コレ。ひどい内容だけど、笑える。でも、キッパリ。おすすめしない。
「衝撃的」な小説であるようにあきらかに狙って書かれているのだが、旧仮名遣いによる文体のせいか、どぎつい内容に反してかわいらしい印象も受けた。ダイレクトな単語表現も多々あり、けしてお上品な小説ではない。ただ、エロ小説かというとそうではない。女が男へあてた手紙で構成されているので、官能的な部分よりは精神的なものに比重がかかっているので、屈折しているけれどもやっぱり恋愛小説だ。だからと言って、オトナのヒト以外は読まないでください、と思うけどね。
それにしても、いくら好きだからって「何でも言いなりになる」というのはどうだろう。いやー、それはいくら何でも……という場面の連続だ。限度ってものがないんだろうか。と思って読んでいたら、女なりに限度はあるらしい。大真面目な女の訴えに爆笑してしまった。何だコレ。女は、男のことが好きというより、そんな何でも言うこと聞いちゃう自分が好き、って感じで気持ち悪い。一方、男の方にはこれっぽっちも愛情なんかないだろうな、と思う。最後まで読んでみても、結局、何が言いたかったのかよくわからない。
同時収録の「カタカナ三十九字の遺書」の方が良かった。お屋敷の女中として一生を過ごす女性の話。まったく救いがない話で、読んでいて辛くなるんだけど、しみじみと良かった。