
■黒娘
アウトサイダー・フィメール 2003年■牧野
修〔著〕
■講談社
ISBN: 4061822993 →
amazonで詳しく見る
長身の美女アトムと全身ロリータ・ファッションの美少女ウラン。男たちを惨殺しながら旅を続ける2人。そしてその2人を追う謎の人物の正体は——?
今回は聖書ネタとインド神話ネタのミックスで、全体通して考えてみると、なんだかとんでもない話だった。グロテスクな描写てんこ盛り。アトムとウラン、特にウランのキャラクターは良かった。
4章構成。最初の章は、アトムとウランと、そしてストーカーに悩まされる理恵の話。ウランがとんでもない登場の仕方をして面食らった。そして、あっけらかんと殺戮が行われるのだけれど、この章は妙に爽快感があった。
でも途中から、何やら話がおかしな方向へ走っていくにつれ、爽快感がなくなっていく。秘密結社による残酷なレイプシーンが延々と続き、レイプシーンの次は、アトムとウランによる男どもの殺戮シーンが延々と続き、頭の中が暴力でいっぱいになる。極悪非道な奴らに、アトムとウランが正義の鉄槌を下し……という展開なのではない。アトムとウランは好きで殺しているだけだ。まあそういう話も悪くないけど、読んでいて痛いのがまいった。背中がむずむずする。
レイプだったり監禁だったりの内容もあまりにもひどくて、読んでいて不快だった。秘密結社の男どもがまたくだらない演説を垂れるので、さらに腹が立ってくる。さらに後半、作者の言い訳みたいなものもポツポツ出て来て、またかぁ、しょうがないなぁ……と思う。そう、この人は時々こうやって言い訳をしたり、説明をしたりする。そんなことしなくてもわかってるよ、と思うんだけど。
クライマックスは急展開だけれど、描かれているものは幻想的で良かった。最初からこの路線でも良かったんじゃないかと思うくらい。タイトルの「黒娘」の意味も、ここでやっとわかった。ああ、こういうの好きだよ。だけど、……最後の最後は微妙。唐突だし、それでこの後どうなるの?ってところで話が終わってしまって、モヤモヤする。「だからドロシー帰っておいで」の時も思ったけど、なんかこう、微妙〜なフェミニズムを感じて、落ち着かない気持ちになってしまう。