■ホームタウン
2005年■小路幸也〔著〕
■幻冬舎
ISBN: 4344010302 →
amazon
■札幌の百貨店で働く行島柾人には暗い過去があった。彼のもとへ妹から婚約を知らせる手紙が届く。しかし、その後、妹とその婚約者は同時に姿を消してしまう。
主人公の両親は、お互いに殺し合いをした。というヘビーな設定のくせに、いつも物語は軽快だ。そして何故か懐かしい感じ。この独特のバランスは他の作家では絶対に読めない。
今回の「ホームタウン」は例えば前作の「HEATBEAT」や「Q.O.L」と比べると凝った罠もなく、話の展開もストレートで早い。気がついたら、どんどんページを繰っていて、あっという間に読み終わってしまった。ただ油断すると、「これって何の話だったっけ??」と出だしを忘れてしまう。軽快でスタイリッシュな文章にだまされて読んでいくと、奥底を流れるものを見落としてしまう。ブレーキをかけながら読むくらいでちょうどいい。
うーん、でもどうなんだろう。この人の作品は、何かしら過去に重いものを背負った人物が出てくるのが多いように思う。デビュー2作はそうでもないと思ったけれど、Q.O.L以降は、なぜか女性は軒並み不幸だ。作品を追うごとに不幸な人が増えてきて、今回は考え方次第では、ほぼ全員不幸なんじゃないかと思えるほど。……ただ、世の中の人はいちいち言わないだけで、誰でもそれなりに何かあるけど。
最後に本当に救いがあったのか、私にはよくわからない。何をして人は救われるんだろう?
●小路幸也