【book】下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件:嶽本野ばら
■下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件 2005年
■嶽本野ばら〔著〕
■小学館 ISBN: 4093861536 →amazonで詳しく見る

下妻物語」の続編。あのモモコとイチゴが今度は殺人事件に巻き込まれた!友情と恋とミステリー。



前作と映画に惚れまくり、実は続編が出るのをとても楽しみにしていた。こんな風に出るのを楽しみにしている本はそうそう無い。それがよりによってこれか、と自分でも笑ってしまうけど。気分が落ち込んでいても、安心して読めるところがいいんだろうな。笑って笑って、最後にホロリとする。幸せな物語だ。

前回と比べて、キャラクター達の印象が全体的に変わっているように感じた。中でもイチゴはあまり変わっていないように思うが、モモコはこんなに嘘つきだったっけ。モモコの祖母はここまで変な人だったろうか。もしかしたら映画の影響も少なからずあるのかもしれない。シリーズ物になってしまうと、キャラクターがデフォルメされていくのもよくある話。

と、読み始めは違和感があったのだが、それでも面白かったし、これはこれで良いか、と思った。モモコの憧れ磯部様と、イチゴの憧れの亜樹美など、前は少し素敵っぽくアッサリ目に書かれていた人達も、今回はすっかり玩具にされていて良い。磯部様の趣味は爆笑してしまった。コイツ、実はこんなヤツだったのかと思ったり、亜樹美さん、眉毛無いんだ。と感心したり。うん、これはこれでいいんだ。

肝心の内容はというと。相変らずの日々を送るモモコとイチゴ。方向音痴でヤンキーで世間知らずのイチゴのため、モデルの仕事にはいつもモモコが付き添っている。その日も撮影のために2人は東京にいき、下妻への帰り、高速バスに乗る。ところがなんと車内で殺人事件が起きてしまう。イチゴとモモコは、知り合いになったジャスコの警備員セイジとともに、探偵気取りで犯人探しを始めるのだが——。

今回は一応、殺人事件なのでミステリー。なんで「一応」かというと、こういうことを言うとなんだけど、無くてもいいくらい。もちろん、実際には事件そのものが無いと話が回らないので無し!ってわけにはいかない。ただ、あくまでもこれはあくまでもモモコとイチゴの不思議な友情をコミカルに描いた青春小説なのであって、今回のミステリーはちょっとした味付けにすぎない。モモコの事件の推理をテキトーに読み飛ばしてしまったとしても、きっと話についていけると思う。ミステリーしてるっていうこと自体がネタで、それだからこそ良いというか。最後のオチにしてもちゃんと伏線があるのがまた凝っていて笑える。

そして描かれているのはもちろん、事件のことばかりではない。大半はモモコとそれを取り巻く人々の不思議な日常が描かれている。イチゴとの友情、2人の夢や恋、読みながら、ああ、いいなーと素直に思える。もちろん笑いながら。ところどころにあるクサいセリフに、私もつい納得してしまう。ここは納得しどころなのだろうか、だまされちゃっていいだろうか。本当にクサいんだけど。

最後は、ホロリとする。そして、タイトルの「完」の意味をしみじみと噛みしめて少し寂しくなった。


Posted: 土 - 9月 10, 2005 at 03:19 AM

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