12月に入ったある日。娘ちゃんと一緒に歩いていると「ねえパパぁん、サンタさんって本当にいるの?」と娘ちゃんが聞いてきました。
とうとう来たかと思ったのは言うまでもありません。昨年までは微塵も疑っていなかったサンタさんの存在を疑ってきたのですから。このままでは完璧な陰謀が崩れ去ってしまいます。
娘「ねえパパぁん、サンタさんって本当にいるの?」
僕(慌てた素振りを隠しながら)「え? どうしてそんなこと思うの?」
娘「だってサンタさんに出会わないじゃん。」
極めて健全な理由です。娘ちゃんも少しは物事を客観視できるようになってきたということでしょうか。だからこれを切り崩す論旨がとっさに思い浮かばず苦し紛れにこう言ってみたのです。
僕「エー! じゃあ神様は?」
まさに困ったときの神頼みってやつです。
娘「神様はねえ…」
僕「神様だって出会わないし声だって聞こえないよ。」
言い出してしまったものはしょうがありません。どこまで娘ちゃんに通用するかわかりませんが、神様の権威でまずは押してみることにしました。
娘「神様はいると思うけどさあ、サンタさんはいるのかな…」
やった! 出会わないからいないかもしれないという論旨に反例が出ました! もしここで神様もいるかどうか疑い出したら、次の路線として今度はクリスマスプレゼントという物的証拠をどう説明するのかというのを思い浮かべていたのですが、これは下手をすると本質に迫られそうでヒヤヒヤしていたのです。
僕「出会わない神様がいるんだったらサンタさんがいてもおかしくないじゃん。」
娘「ウーン…」
僕「サンタさんは神様の友達なんだから神様に似たところがあるんだよ。」
娘「ああ…」
僕「神様は特別な人だけとお話しできるみたいだけど、サンタさんは子供がいる大人のパパなんかがメールも出せるんだしさあ…」
しまった! これ以上何かしゃべると不意を突かれそうな展開になってきました。少し沈黙することにしました。すると娘ちゃんがこう語り始めました。
娘「神様はいると思うんだけどね…」
娘「娘ちゃん、小さい頃わらかなかったの。」
娘「クリスマスが何かわからなかったの。」
娘「だからね、クリスマスにサンタさんが子供にプレゼント持ってきてくれるっていうのも知らなくてね、なんのことだかわらからなかったんだよ。」
娘「それでね、そのときね、サンタさんって誰だろう、どこにいるんだろう、本当にいるのかなあって思ったんだあ。」
その語り口調から疑問が薄れてきた様子が伺えます。
僕「でも今は知ってるでしょ。」
娘「うん。」
しばらくそのまま二人で歩いていました。
僕「ところでこの前、今年は一輪車がいいって言っていたけど、一輪車でいいの?」
娘「うん!」
僕「どうしてまた一輪車なの?」
娘「あのね、この前ね、学校で休み時間に一輪車に乗ったの。」
僕「それで?」
娘「もっといっぱい練習したいなって思ったからサンタさんに頼むの!」
僕「そうなんだ。ふうん…」
僕「で、何色がいいの?」
娘「水色!」
僕「じゃあ水色がいいってサンタさんに頼まなくっちゃ他の色のを持ってきちゃうかもよ。」
娘「そうかなあ、サンタさんなら言わなくてもわかるんじゃない?」
僕「サンタさん、一日で世界中の子供にプレゼントを配るんだから今頃大忙しだよ。ちゃんと頼まないと間違えちゃうよ。」
娘「そうだね!」
そう言うと娘ちゃんは急に上を向いて大声でこう言いました。
娘「サンタさあん! 娘ちゃんは水色の一輪車だからねえ!」
- Posted by OKAMURA Yuji at 06時46分
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