村上ユカ本人が「角砂糖」の全曲を解説しちゃいます。
1「strawberry feel」
これは、私の書くキャラクター「ゆかこ」のテーマソングを作ってやろうと思って作った曲です。いちごが好物、という設定なので、いちごをテーマに。自分の中では子供、そして、平和の象徴。歌詞も100%自分の気持で作ったというよりは、ゆかこならこういう詩を書きそう、と想像して書いたので、まるでアイドルに曲を提供しているような感じです。(で、自分で歌ってやんの・笑)ま、こういう作り方も結構面白いですね。
イントロのアコギが入った所でやった!と思いました。急にアイリッシュになったのが不思議。でもピコピコしてますが。あれはS-1000の正弦波です。重宝します。

2「おかえんなさい」
東京に住みはじめて、最初に住んだ街というのが「祐天寺」でした。何もない所ですが、名物といえば駅前のカレー屋「ナイアガラ」。鉄道マニアのおじさんが作った店で、中では鉄道模型がカレーを運んでくれるとという、なかなかファンタスティック!なお店。(すごいのよー、食券じゃなく切符買うのよー。)そのおじさんは毎日夕方、祐天寺駅から出て家路へ向かう人に「おかえりなさーい」と言うのです。独り暮しを始めたばかりの私の心にはその「おかえりなさい」という言葉に泣きたくなるほどの感情を覚えました。おかえりなさいと言ってくれる人がいるってすごい事ですよね。ついつい当たり前になっちゃうけど。そんな大事な、ちいさな気持を忘れないようにしたい。
最初に入っているのはオムニコードという楽器。学校教育で使われていたもので、コードやリズムが出ます。電子楽器ですが、なんともいえないあたたかい雰囲気を出してくれています。

3「さかさまスプーン」
これは、、自分の中で、また、ひとつ新しい、というか、深い扉を開けたな、って曲です。
だから文も長いぞ(笑)。

まず、詩からいきますと、雪国の部屋の感じを詩にできたかなと。冬、家の中にいて、外は冷凍庫のように寒いのですが、家のなかはものすごくあたたかい。だからプリンだって食べられる。そして、雪が音を吸収するのですごく静か。そういう、今考えると特殊なシュチュエーションなのですが、それが、書けた。書けちゃった。

『壊れたラジオを胸にあて、隠れた電波を捕まえよう』というフレーズは、何なのかって言うと、昔何かの本で「ラジオの電波というのは空気中に放たれたあと、石やものの隙間に残っていて、それを集める機械がある」というのを読みました。そこからきてます。そんなのあるんだ〜、とどきどきして人に聞いたところ全否定されまして、でも「ない」と言われると「ある!」と言いたくなるのが人情。いやあるよ、絶対。

『角砂糖を舌にのせて 溶けたら空から雪が降る』
というのはなんか、エロチックな感じもしますが、小さい頃私は角砂糖がスキでした。しかもそのまま食べるのが。コリコリ食べるもよし。そして舌の上にのせてじわ〜となるのがこれまた!いい。
ある本を読んでいて思い出したのは、角砂糖って昔は紙の箱に入っていましたよね?かすかな記憶ですが、今のバターの紙容器のような、展開するタイプの。あれをオレンジのプラスティックの容器に入れて使っていたのをよく覚えています。今も角砂糖はコーヒーを飲むのに毎朝使っています。
アルバムタイトルの「角砂糖」はこの曲から。タイトルチューンってわけではないのですがね。

これは生でやる、と聞いた時に、まずパンディーロが浮かびました。というか、山兄は何でもできるので、特に何も言わずに、だまって曲だけ渡せばできると思いましたので。で、たしかにやってくれました。
あとでこの曲は頭拍からメロディーが入っていないという事に気がついたのですが、それがこの曲にパンディーロを、そして、箏、果ては祭り太鼓!(実際は普通のドラムセットなのですあれは)を入れる起因となりました。西洋の音楽にはない特徴です。
どこの国、と確定はできない。それは自分の中にある、想像の国の民族音楽かもしれない。なにかの模倣ではなく、自分の中にある国の音楽をやっと作れたような気がします。

かーっ(笑)。と、かっこいい事いってますが、はっきりいって箏は予想してませんでした(ぐわはは!)。
ホッピーさんが箏いれましょう、って言うんで、えっ!?、と思ったのですが(思ったよ、そりゃ)箏と書くぐらいなので琴とはちょっと違って、少しハープのような感じ。見た目違いはわかんない。
だからあまり「和」になりすぎなくて、そんで最後に来るのは祭り太鼓は祭り太鼓ですけど(なんて表現)、とはいえ、叩いているのはドラムセットなので、そのへんの絶妙な調整が、本当にホッピーさんは凄いと思いました。
かようなわけで自分で書いといて、ツボです。この曲は。ありがとうございます。なんか感謝。

なんともいえないあたたかい雰囲気を出してくれています。

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4「オリオン」
これは書き下ろし。寺田さんに「まるめろ」みたいな曲書いてよ!と無茶なオファーを受けて書きました(ほんと無茶だよ・笑)。で、できあがってみると、ピアノ伴奏だけでも成立する曲だったので、じゃあ、吉澤さんにピアノお願いしましょうという事になりました。しかも御自宅に大挙して押し掛けまして、ピアノと歌を同時にとりました(しかもラーメン奢ってもらうという..味噌一、うまかった‥)。そして、後日レズリースピーカーが届いたのというので、じゃあ、ハモンドも、という事でかぶせて録って、コーラスはまた後日スタジオで。

歌詞ですが、昔見た映画で吉本ばなな原作の「キッチン」というのがあります。河原亜矢子さん主演の日本版の方。あのロケ地は函館なのですが、その映画と、出てくる公園をイメージして書きました。花時計もあります(函館ローズヒルという所らしい)。ぜひ行ってみたい場所です。

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5「yuki no hi」
イントロや間奏に出てくるリフは雪がちらちらと降る、しかも見上げた時に見えるあのアングルで(‥冷てっ!あ、想像してしまった‥笑)というイメージです。これも比較的あたらしめの曲。
この詩を書いていた時に、ちょうど北朝鮮の拉致被害者が帰国して、でも家族は帰ってくることができなくてという状況でした。なのでその事を歌っています。まあ、勿論無茶なんですが、雪でも降らせて国境を消しちゃえ、と思わせる程、その時はもう、北朝鮮という国に対してめんどくせー!という感情がありました。雪は北国の人間にとって、すべてをリセットする、という意味合いもあります。なにせ私の育った札幌は雪深い所でしたから。

もともと、タイトルは私の好きなブランドmina perhonenのテキスタイル(生地)の名前からきてます。最初に買ったminaの服でした。だからこの景色をスカートに閉じ込めてしまいたい、というフレーズがあります。

曲としては、これはこのアルバム内でめずらしく全打ち込みです。最後のサビの裏でなってるストリングスのフレーズは「バナナムーン」そのままです。そういう遊びもいれてみました。それから、これは最初から最後まで8分の6拍子ですが、Aメロなんかは拍アタマで歌っておらず、2小節ひとまとめのメロディなので、何拍子かわからないという寸法になっとります(もちろん天然)。
間奏なんかはテンポがすんごいゆっくりになって、4拍子みたいにしてます(天然ですって、だから)。みなさんに私の天然世界に付き合って頂いております。いえー!(すみません....)。

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6「ゆうべのゆめ」
インストは趣味みたいな感じでぽつぽつ書いてます。その中のひとつ。
ゆうべの夢を想いながら、ぽわーとしてる感じ。寝起き悪いです。ふわー。

7「風がついてきた話」
タイトルは久々足穂チックですね。内容もややそうかな。これは実はすごい事をしてまして。半分がスタジオでとったもので、半分が私のカセット4trマルチで録ったものそのままです。マルチで録ったとはいえ、マスターがなかったので、本当にデモテープそのままです。それを上村君がうまーくうまーくばれないようにやってるのにここで書くかな私(笑)。
でもスゴイす。今までハードディスクレコーダーで家で録った「歌だけ」をかぶせたものはありましたが、これはオケもデモそのままですから、力技です。

この曲もそうだけど、このアルバムを作る前に9.11があり、アフガニスタン、イラク戦争、近い所では北朝鮮拉致問題と並べると、まるで第三次世界大戦のような
(あぁ、やだやだ)世の中で、やっぱり願う事は平和で、いくら平和ボケだと、現実逃避だといわれようと、理想論や、ファンタジーと言われる分野を受け持つが私のしたい事だし、役目なのだと思っています。結局はそれが、アルバム、そして至っては人生そのものの大きなテーマなんだな、きっと。今はそう思う。

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8「エクリプス」
ホッピーさんは歌詞を大事にして下さる方です。この詩の中に「五躰倒置」というのが出てくるのですが、これは何?と聞くので、チベット仏教のお祈りの方法です、と答えると、レコーディングの時に鈴を持って来ていまして、イントロの所でチリーン、とそれこそ祈るように鳴らして下さいました。
今回はじめてミックスに上村君を起用しましたが、声を非常にうつくしーく!処理してくれていて感謝です。うまくきこえて、ふふ。

9「わになっておどろ」
よく、曲が浮かばない時、シーケンサーをステップ(いわゆる本当の「打ち込み」という感じ)にして、適当に和音ひいて曲にしちゃったりします。これがそうです。でも、小学生の時から打ち込みやってますと(そうなのよ...そのわりに巧くならない病気、病気だよもう・笑)、なんていうか、そうやってても全体像みたいのが見えたりするもんで、適当、とは言うものの無意識にカタチがみえたりするものです。でも完全な無意識でもない。無意識と有意識の間の状態ってのが大切で、単純にサイコロふって音をきめる(あれだ、カッコつけてチャンスオペレーションとか言うんだろ、はは)というのとは違う。その微妙な状態をつくり出すのに必要な手法です。これも詩のテーマは平和だー。黄色いTシャツ着なきゃ。

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10「小鳥(version2)」
これは98年にポリスターから出したシングルの再録です。で、なぜ再録か。今、もう一枚出した「雲色のじょうろ」と共にこの曲は入手困難で、時々ファンの方から「手に入らないです〜」と泣きのメールが来ます。廃盤にはなっていないのですが、いわゆる在庫切れの状態。メーカー側もこの御時世、売れないものを再プレスってのはできない。生殺し状態(笑)のこの曲を再録しようじゃないの、という事になったわけです。
雲色〜も捨てがたかったのですが、今回「生」でやって生きる曲、と考えてこの曲にしました。実はこれが一番歌では苦労しました(やっと出たよ、歌の話・笑)。でも再録した意味がないといわれちゃやだーっ!なので、がんばりましたよ、これは。そして、それに彩りを加えてくれたのが、千の小鳥の尚子さんのコーラス。(だぁからシャレじゃないのよ)。「version 2」という極めてシンプルな副題にしたのは、あざとーくなるのがヤだったからです。2つめのversionだから「version 2」じゃないか!ねえ。

11「櫻」
まず、弁明しますと、別に「さくら」という曲が流行ってるから、このような内容にしたのではなく、ずーいぶん前からある曲です。そんで、レコーディングしてからミックスまでの放置プレイ(笑)の間に世の中で「さくら」ばやりがありまして、なんだかんだでこのタイミングになりました。昔、ラジオ番組をやっていましたが、その番組を聞いていた方は弾き語りしたので、知っていると思います。これこそバージョンがいくつかありましたが、今回、弦アレンジのエキスパートであります、ホッピーさんにお渡しして、弦の部分とシンセ、bjokっぽい打ち込みはミーハーな私によるものです。
弦は夢にまで見た生。弦楽四重奏です(ウッ!←失神..)。(ハッ!←起き上がった)しかしこんな最高の形で世に出せるとは本当に本当に思ってもみませんでした。幸せものです。ホッピーさん御自身も「渾身のスコア」と申しておりました。爆音で聞いて下さい。震えます。

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12「ホラルナ」
木琴使いは私のオイエゲーみたいなものです(たぶん細野さんの影響)。「ゆうべのゆめ」からなにか世界が繋がっていますね。ずっと夢の中だったのかも。
そしてこの曲でおやすみなさい。


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