ミタマが満ち、トイと言う名のアタシが目覚めるとそこは
 大きな手の平の中だった。。。。

トイを優しく包むように握りしめられたその手はファージの手。
トイは白いミタマを持ち、退屈そうにファージの指の隙間から
ジユーが支配する世界を見つめて居た。

ファージはトイに毎日毎日薄い甘味水を与えた。
甘さを感じない程の薄い甘味水は飲めば飲む程
トイの退屈に拍車をかけた。

トイが指の隙間からジユーの輝きの一部を手にすると
ファージの指は少しずつ痩せ始めた。
ジユーと言う名の輝きはトイが口にすると
とても濃い甘さであったり、刺激的に辛い味であったり、
癖になる程美味しかった。

ジユーの輝きの中にはもっと美味しいものがあると確信をしたトイは
痩せ細ったファージの手から逃げ出し、ジユーの輝きの中に飛び込んだ。

途端に襲い掛かる悪意。
自由に見えた世界はトイのミタマを汚し始め、
トイの口の中には様々な味の水が流れ込む。最初はとても甘いと感じた
モノも、飲み続けるとトイを蝕む偽者の甘さだった。
それは次第に苦味を感じるようになり、
トイの手の中のミタマは原形をとどめない程傷み、汚れていった。

あの薄い、薄い甘味水の味が恋しくなり、ファージの手の平に戻ろうと
ファージの名を叫んだ。トイはジユーの牢獄の中、ファージを呼んだ、
力の限り、呼んだ。

彷徨い、疲れ、しゃがみ込んだトイの目の前に
痩せ衰えたファージの手が現れ、力なく小刻みに震えるそれは
トイに一杯の甘味水をくれた。

その薄い、薄い、退屈な甘味水こそ、アイと言う名のものと
はっきりとトイは気が付いた。

最後の一杯を飲み干すと、ファージの手の平は廃虚になり、
トイのミタマが空っぽになり

世界が。。。。。。終わった。

退屈な薄い薄い甘味水は
アタシに合わせてブレンドされていた。

アタシにピッタリのブレンドを出来る手の平はこの世に一個しかなかった。

その味を知っていたアタシはとても幸せだった。


気付かなかったけど、幸せだった。

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