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初めての眼鏡 | |||||||||||||||
目には自信があった。 大学で助手をしていたとき、口唇の圧力を測ろうとしてセンサーの先に圧力を受ける部分を作ることになった。銅板を3mm角の正方形に切り出す事になり、10個程作った。先ずは大雑把に器械で削りだし、その後は手作業でヤスリを用いて根気よく削って行く。最期は目と手先の感覚の勝負になる。 どれくらいの精度で出来たのか理学部で計測して貰うことになった。 結果は3μ(ミクロン)以下に誤差が抑えられていた。 若いときは、自分の目と手先には絶対の自信を持っていた。 それでも歳と共に目の衰えはやってくる。43歳の時、眼鏡を作る決心をした。検診をしてくれた人は優しかった。老眼とは言わず、「遠視ですね」と言ってくれた。とても易しい心遣いであった。しかしその言葉に続いて「乱視が有りますね」と軽く言った。「ん・・・・ 乱視?」 乱視があるということは、自分の見ている世界が歪んでおり実物とは違うということだ。今までの絶対的な自信が、見るも無惨に砕け散るのを感じた。(私の人生の中でも最大のショックだった) その頃はレンズの切り出しに5日から1週間ほど掛かった。ワクワクして出来上がりを待ったが、初めての眼鏡を掛け、歩き始めると、先ず周りがグラグラとして目が回る。また歩こうとすると、地面が僅かに近く見えるため、自分の足先までの距離感がつかめず、歩けなかった。眼鏡無しでは近くは見えないが、遠くは良く見えるため、車の運転は眼鏡をかけなかった。しかし、今ではどのような場面でも眼鏡無しでは生活できなくなってしまった。 また顔貌も眼鏡がないと、締まり無く見えるそうだ(妻の言葉)。 |
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