ホテル立てこもり 07年11月29-30日


 【11月29日】
 <反乱将校らホテル立てこもり>
 29日午前11時ごろ、国軍将兵反乱事件(2003年7月)に関するマカティ地裁公判に出廷していたトリリャネス上院議員=クーデター罪で未決拘置中=と証人として出廷したダニロ・リム准将=現政権転覆計画(06年2月)に関与、軍法違反で未決拘置中=が突然退廷し、アロヨ大統領の辞任を要求してマカティ市のペニンシュラホテルに立てこもった。 アロヨ大統領はトリリャネス議員とリム准将の再拘束をテオドロ国防長官に命じた。午後には関係閣僚らを集めた緊急会合をマラカニアン宮殿で招集する。
 トリリャネス議員には、ギンゴナ前副大統領や支持者ら約500人が行動を共にしている。逃走防止のためトリリャネス議員らに同行していた国軍兵士も同議員らに同調してホテルに立てこもったとの情報がある。
 ホテル周辺を兵士と警官が取り囲み、緊迫した状況が続いている。また、マカティ、アヤラ両通りなど周辺道路は閉鎖されている。
 午後1時すぎには、タギッグ市の海兵隊基地から兵士多数を乗せたトラックが発進した。同ホテルへ向かったもよう。
 エストラダ前大統領はラジオ局の取材に対し、トリリャネス議員への支援やホテル立てこもりとの関係を否定した。
 トリリャネス上院議員は、自身を含む反乱首謀将校の公判に出席していた。リム陸軍准将は証人として証言する予定だった。(29日午後1時30分、マニラ新聞)

 <前大統領らが記者会見>
 トリリャネス上院議員らとともにペニンシュラホテル(首都圏マカティ市)に立てこもったギンゴナ前副大統領やトビアス司教らは29日午後1時すぎ、記者会見し、公金の選挙運動流用などを理由にアロヨ大統領の即時辞任を訴えた。また、学生や労働者に同市アヤラ通りに集まって、同議員らの動きを支援するよう呼び掛けた。
 クーデター罪などで未決拘置中だったトリリャネス議員とリム陸軍准将は、ホテル2階の部屋にこもっている。
 ホテル内には、左腕に赤い腕章を巻いた国軍兵士とみられる一団がいる。赤い腕章は、トリリャネス議員らが首謀した国軍将兵反乱事件(2003年7月)に参加した将兵が使用した。(29日午後1時55分、マニラ新聞)

 <交渉時限を設定>
 首都圏警察のバリアス総監は29日午後2時前、首都圏マカティ市のペニンシュラホテルで記者団に対し、「午後3時までトリリャネス上院議員=クーデター罪などで未決拘置中=らとの投降交渉を続ける。応じなかった場合、(大統領からの)逮捕命令を執行する」と語った。
 トリリャネス議員とリム陸軍准将=軍法違反で未決拘置中=は同ホテル2階の部屋にこもっている。2人を再逮捕するため同ホテルに入ったバリアス総監らは1階ロビーで足止めされている。
 一方、国軍のバカロ報道官は記者団に対し「国軍内にトリリャネス議員らに同調する動きはない」と語った。一方で、国軍将兵に向け「職務継続を。自暴自棄になってはならない。国軍は大統領に忠誠だ」と同議員らに同調しないよう呼び掛けた。
 国家警察は軍・警察内の動きを監視するため、南・北ルソン高速道に検問を設置した。(29日午後2時10分、マニラ新聞)

 <日本人学校が授業中止>
 トリリャネス上院議員らのホテル立てこもり受け、マニラ日本人学校(首都圏タギッグ市)は授業中止を決め、29日午後2時すぎから児童・生徒約450人が一斉下校を始めた。
 立てこもり先のペニンシュラホテル周辺に自宅のある児童・生徒は、同校の用意した専用車で下校する。(29日午後2時半、マニラ新聞)

 <大使館が注意喚起>
 トリリャネス上院議員らのホテル立てこもりを受け、在フィリピン日本大使館は29日午後2時ごろ、立てこもり先のペニンシュラホテル(首都圏マカティ市)やアヤラ、マカティ両通りなどに近づかないよう在留邦人に呼び掛けた。
 同大使館によると、同ホテルの宿泊客が拘束されたり、危害を加えられたなどの情報はないという。
 また、同ホテルに宿泊中の出張者や観光客に対し、同大使館に連絡するよう呼び掛けた。(29日午後2時40分、マニラ新聞)

  <トリリャネス議員らが声明>
 首都圏マカティ市のペニンシュラホテルに立てこもったトリリャネス上院議員=クーデター罪で未決拘置中=は29日午後3時すぎ、ホテルの部屋を一時出て、報道陣に「自由のため(マカティ地裁から)退廷した。国民として、道徳的義務を果たそうとしているだけ。国民は(現政権による)プロパガンダを信じてはならない。国民は国の運命を変えるため決断を」などと語った。
 また、同議員と行動を共にしているリム陸軍准将=軍法違反で未決拘置中=は「アロヨ大統領を辞任させ、新政府を樹立するため行動を起こした」と語った。
 同ホテルによると、宿泊客は300-400人。7割は外国人。午後2時半すぎからチェックアウトを始めたという。(29日午後3時15分、マニラ新聞)

 <警官隊が脱出を阻止>
 首都圏マカティ市のペニンシュラホテルに立てこもったトリリャネス上院議員=クーデター罪で未決拘置中=らは29日午後3時半すぎ、同ホテルから脱出を試みたが、警官隊に阻止された。同議員らはホテル2階の部屋へ引き返した。
 同ホテルのロビーは、同議員らの一団と警官隊、報道陣、宿泊客らで埋まり、一時騒然とした。(29日午後3時40分、マニラ新聞)

 <新政府樹立?>
 トリリャネス上院議員とともにペニンシュラホテルに立てこもったリム陸軍准将=軍法違反で未決拘置中=は29日午後3時50分ごろ、部屋を一時出て、報道陣に「戦いが終わるまでホテルにとどまる。新政府が樹立されつつある」と語った。「新政府」の詳細には言及しなかった。
 在比日本大使館などによると、同ホテルに宿泊中の日本人客は14人。同大使館が所在確認を急いでいる。(29日午後4時、マニラ新聞)

 <ホテルからの退去命令>
 トリリャネス上院議員らがペニンシュラホテルに立てこもった事件で、バリアス首都圏警察総監は29日午後4時前、宿泊客や報道陣にホテルから出るよう命じた。同議員らに対する逮捕状執行を強行する可能性がある。午後4時すぎホテル周辺で発砲があったもよう。(29日午後4時10分、マニラ新聞)

 <国軍がホテル突入開始>
 トリリャネス上院議員らがペニンシュラホテルに立てこもった事件で、国軍は29日午後5時すぎ、装甲車を同ホテル正面玄関に突入させた。これに続いて、ガスマスクを装着した国軍兵士らがホテル内へ入り始めた。
 同議員らは午後5時10分すぎ、立てこもり先の部屋を出て、ホテル内で記者会見の準備をしている。(29日午後5時15分、マニラ新聞)

  <ホテルからの退去表明>
 ペニンシュラホテルに立てこもったトリリャネス上院議員は29日午後5時20分すぎから同ホテルで記者会見し、「報道関係者ら民間人が巻き添えになるのを回避するため、催涙ガスが消え次第、ホテルを出る。われわれに敗北はない。これで終わりではない」と語った。
 ホテル内には、日本人記者1人を含む国内外の報道関係者約30人が残っている。(29日午後5時半、マニラ新聞)

 <上院議員ら投降>
 首都圏マカティ市のペニンシュラホテルに立てこもったトリリャネス上院議員=クーデター罪で未決拘置中=とリム陸軍准将=軍法違反で未決拘置中=らは29日午後6時15分すぎ、警官隊に投降し、身柄を再拘束された。アロヨ大統領の退陣を要求した立てこもり事件は発生から6時間あまりで終結した。同議員らはタギッグ市の国家警察基地へ連行されるもよう。
 同議員らは同日朝、マカティ地裁から逃走し、ギンゴナ前副大統領やカトリック司教らとともに同ホテルに立てこもった。記者会見で国民や国軍に「決起」を呼び掛けたが、これに呼応する動きは表面化しなかった。(29日午後6時半、マニラ新聞)
 
 <議員ら乗せたバス出発>
 29日午後6時40分すぎ、トリリャネス上院議員=クーデター罪で未決拘置中=とリム陸軍准将=軍法違反で未決拘置中=らを乗せた国家警察のバスが、首都圏マカティ市のペニンシュラホテル前を出発した。タギッグ市の国家警察基地へ向かっている。
 トリリャネス議員らには、た公判を無断で退廷したとして、マカティ地裁から法廷侮辱容疑で逮捕状が出ている。
 同議員らを指示した国軍兵士の逃走を防止するため、取材に当たっていた報道関係者もホテル内で身柄を一時拘束されている。(29日午後6時50分、マニラ新聞)

<夜間外出禁止>
 立てこもり事件を受け、プノ内務自治長官は29日午後7時すぎから記者会見し、30日午前0時から同日午前5時までの5時間、一般市民の外出を一時禁止すると発表した。対象地域は、首都圏と中部ルソン、カラバルソン両地域。状況次第で12月1日以降も継続する方針。

 同事件で報道関係者の身柄を拘束した理由については、「結果的にではあるが、国家警察の活動を妨げたため」と説明した。(29日午後7時20分、マニラ新聞)

 【11月30日】
<反乱将校が再逃走>
 ホテル立てこもり事件の最中、国軍将兵反乱事件(2003年7月)の首謀将校グループに属したファエルドン海兵隊大尉=クーデター罪で起訴、未決拘置中=が再び逃走したことが分かった。29日午前、トリリャネス上院議員=同=らと首都圏マカティ地裁を抜け出し、立てこもり現場となったホテルへ向かう途中、姿を消したもよう。
 同大尉は05年12月にも審理先の同地裁から逃走し、一カ月半後に再拘束された。逃走中は、自身のホームページを通じてアロヨ現政権を非難し、国軍と国民に決起を呼びかけ続けた。
 一方、立てこもり事件で逮捕された同上院議員やギンゴナ前副大統領ら50人は30日朝、タギッグ市のバゴンディワ国家警察基地からケソン市の国家警察本部に移送された。12月1日にも反乱容疑などで送検される見通し。(30日午後2時50分、マニラ新聞)

<外出禁止措置>
 国家警察のラソン長官は30日、「12月1日の外出禁止措置は不要になったと信じる」と述べ、同措置の継続見送りを示唆した。
 政府は、ホテル立てこもり事件の起きた29日夜、「残存する脅威の一掃」を理由に、30日午前零時から同5時まで同措置を実施。状況次第で12月1日も外出禁止措置を継続するとしていた。
 30日午前5時までに身柄を一時拘束された違反者は、首都圏など対象3地域で計872人に上った。(30日午後3時10分、マニラ新聞)