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【写真説明】カーテンのすき間から不安げな表情で車外の様子をうかがう保育園児=28日午後4時ごろ写す
<マニラ市で幼稚園経営者が園児ら36人人質にバスに立てこもり>
28日午前8時半ごろ、首都圏マニラ市役所近くを走行中の貸し切りバス車内で、同市内にある保育園の男性経営者が園児32人と保育士4人を人質に取った。バスは同市役所近くの路上に停車し、運転手は間もなく解放された。発生から約3時間が経過した同11時20分現在も、男性経営者は園児らを人質にして車内に立てこもっている。バス周辺一帯は、警官隊により包囲され、現場へ駆け付けたレベリヤ上院議員らが解放交渉を続けている。
ラジオ局などの取材に対して、男性経営者は手投げ弾2発と機関銃を持っていることをほのめかした。「政府と政治家に対する要求」として、「卒園予定の園児145人を無事卒園させて(園児に)住宅を提供しろ」と語った。
貸し切りバスは、遠足のため保育園がチャーターし、ルソン地方カビテ州タガイタイ市へ向かう途中だった。男性経営者は以前にもマニラ市内の教会で人質騒ぎを起こしたことがあるという。(28日午前11時35分、マニラ新聞)
<立てこもりの男性、約20年前にも人質事件>
子供32人らを人質に取りバス車内に立てこもっている保育園経営者の男性は1980年代半ばにも、カトリック神父を人質に取って首都圏マニラ市トンド地区のサンロケ教会に立てこもる事件を起こした。
当時、男性は同教会の修復工事を請け負ったとされる。人質事件の最中、「神父は工事代金を支払わなかった。手投げ弾を持っている」などと訴えた。結局、男性は市長らの説得に応じて神父を解放し、国家警察に逮捕された。
28日午後0時10分現在、男性経営者はバス車内に立てこもったまま。レベリヤ上院議員らが車内に入り、説得を試みている。バスの窓は閉まったままで、カーテンが下ろされている。容疑者は男性経営者を含め2人との情報がある。(28日午後0時15分、マニラ新聞)
<立てこもり男性、比政府内の汚職を非難>
首都圏マニラ市のパドレブルゴス通りで園児約30人らを人質に取ってバス車内に立てこもっている保育園経営者の男性は、28日午後2時半すぎから同3時すぎまで、車外に設置されたスピーカーを通じて「比政府は腐敗している。アロヨ大統領は手を尽くしているが、周囲の人間が大統領を助けようとしない」などと訴えた。
スピーカーなど音響機器は男性の要求を受けて国家警察などが用意した。車内に持ち込まれたマイクを握った男性は、比政府内の汚職を批判し「君たち警察官も汚職の犠牲者だ。一緒に戦おう」「国民は午後7時から、汚職と戦う意思を示すためろうそくをともしてほしい」などと呼び掛けた。男性の声に混じって、園児らの歓声がスピーカーから流れた。
男性の「演説」は事件発生後2回目。1回目は午後1時50分ごろに始まり、機器不調のため約10分後に中断した。これに腹を立てた男性は手投げ弾を左手に握ってバスの運転席に座り、バスを前進させた。この際、狙撃を避けるため、多数の園児を運転席周辺に配して盾とした。
バスは、パトカー2台と消防車1台に進行方向をブロックされ、約10メートル走ったところで停止した。
事件が発生したのは同日午前9時ごろ。園児らを乗せた貸し切りバスが、マニラ市役所沿いを走るパドレブルゴス通りに停車し、警官が長時間駐車を注意しようと近づいたところ、手書きで「子供32人と保育士2人を人質に取っている。手投げ弾や機関銃で武装している。教育と住宅支給を」と書かれた紙を発見した。
事件発生から約4時間後の同日午後1時すぎ、発熱した男児(6つ)が解放されたが、残りの園児31人と保育士4人は依然、バス車内で人質となっている。バスのエンジンはかかったままで、エアコンも作動しているもよう。
立てこもっている男性は、マニラ市内で保育園を経営するジュン・ドゥカット容疑者とみられる。年齢は60歳前後。具体的な要求内容は1卒園予定の園児145人全員が大学を卒業できるよう保証2違法占拠住民居住区で暮らす園児らへの住宅提供3汚職撲滅--など。男性によると、昨年の卒園者17人のうち、小学校に入学できたのは12人にすぎなかったという。(28日午後3時45分、マニラ新聞)
<「子供を傷付けないで」と母親>
首都圏マニラ市のバス立てこもり事件で、人質になっている保育園児(7つ)の母親、マリエッタ・カビリョスさん(43)=同市パロラ=は28日午後3時半すぎ、マニラ新聞の取材に対して「16日に卒園式があったばかり。(容疑者とみられる保育園経営者の)ドゥカットさんはいい人で、子供たちを傷付けないと信じている」などと語った。
カビリョスさんによると、保育園の授業料は無料で、貧困家庭の子供たちが通っていた。この日はカビテ州タガイタイ市へ卒園祝いの遠足へ向かう途中だった。遠足の費用も保育園側が全額を負担したという。
教育充実や汚職撲滅に関するドゥカット容疑者の訴えについて、カビリョスさんは「事件は残念だが、多くの子供が教育を受けられない現実はドゥカットさんの言う通り。子供たちの教育のことを考えてくれて感謝している」と語った。
カビリョスさんは同日午前10時ごろ、人質事件発生のニュースを耳にし、他の園児の父母らとともに現場へ駆け付けた。(28日午後4時10分、マニラ新聞)
<人質全員を解放後、容疑者逮捕>
首都圏マニラ市パドレブルゴス通りで保育園児約30人らが人質になったバス立てこもり事件で、保育園経営者のジュン・ドゥカット容疑者は28日午後7時すぎ、人質全員を解放後に投降し、首都圏警察の警官隊に逮捕された。午前9時すぎから約10時間に及んだ事件は、1人の死傷者も出さず解決した。
解放直前、上院選に立候補中のシンソン南イロコス州知事らがバス車内に入り、投降するようドゥカット容疑者を説得。同容疑者はスピーカーを使った演説で比政府内の汚職を再批判した後、人質解放に応じた。演説では、園児の保護者や社会に対する謝罪の言葉も口にした。
ドゥカット容疑者は投降寸前まで、軽機関銃を肩から下げ、左手に手投げ弾を握り続けた。解放時は、バス最前列の座席に座り、車外へ出ようとする園児らとキスや握手を交わした。(28日午後7時35分、マニラ新聞)
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