憂国


昭和45年のこの日、自衛隊市ヶ谷駐屯地で三島由紀夫は割腹自決をとげた。
三島は文人として畳の上で死ぬことを善しとせず、武士として、英雄として死ぬことを選んだのだと私は考えている。

花ざかりの森・憂国―自選短編集
三島 由紀夫

新潮社
1968-09
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私と三島由紀夫の出会いは忘れもしない中学2年生の夏のことであった。
当時そこそこ読書好きであったが、小学生の頃からの延長で星新一とかをよく読んでいた。
当時新潮社の販売促進キャンペーンで、「夏の文庫百冊」みたいな小冊子を配っていて、そのなかでイトウセイコーだかが対談していたんだけれども、その中で初めて三島由紀夫の「午後の曳航」を読んだ時の衝撃についてイトウ氏が語っていた。
多いに興味を引かれた私は、早速本屋で買って読んでみた。

 ショウゲキテキナデアイダッタ!

小説の舞台は横浜元町。
主人公は13歳の少年で、洋品店を営む母と二人暮らし。
そこへ、母の愛人の船員が乗り込んでくるのだが、
母と船員の夜の営みを主人公は隣の部屋から覗いているのだ(!)
船員は、英雄的な死を渇望していたが、主人公との母との結婚を決意する。
少年とその仲間たちは、船員の処刑を決定し、決行する・・・・

 大まかにはこんな話でいわゆるオイディプスコンプレックスを扱った作品なのだが、当時主人公の少年と同世代であった私は、強烈な感動を味わったのであった。
 本作の中には、少年たちが猫を殺して解剖するシーンなんかが出てくるのだが、
数年後に酒鬼薔薇少年の事件が起こって、まるで三島由紀夫はこの事件のことを予見していたんじゃないかとすら思った。

 以後は、三島の流麗な文体と美学に魅せられるままにあらゆる作品を読みふけったのであった。三島つながりで、Wagnerに傾倒してみたり、分かりもしないのにニーチェやバタイユを読みふけった。江戸川乱歩や美輪明宏と引き合わせてくれたのも三島由紀夫のお陰だ。
 いわば私の思想・芸術的嗜好の原点に三島由紀夫がある。

 お気に入りあるいはオススメの作品

「仮面の告白」
 三島由紀夫の自伝的小説だが、「聖セバスチャン殉教図」を見て初めてのejaculationを経験するシーンがまた衝撃的なのであった。計5回は読んだだろうか。折に触れて読み返す一冊。

「豊饒の海四部作」
 一冊一冊が重厚で、読むのに骨が折れる。特に三巻だか四巻だかで延々と仏教論議が続くので、大変。読んだのは確か高校生の頃だ。高校生に分かるはずがあろうか。
今再び読み返したいのだが、時間が取れぬ。
 一巻の「春の雪 」は極上の恋愛小説です。

「憂国」
 愛と死と大義を描いた官能小説。BGMとしてWagnerのTristan und Isolde をお勧めしておく。

Posted: 木 - 11月 25, 2004 at 12:26 AM          


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