|
|
| 恋歌 | | 作成日時: Dec 15, 2004, 10:10 AM |
依田徹が、楠山さほ子と出会ったのは、五年前のことであった。桃の花の咲き初めた三月、T美大の入試の合格発表の日のことである。
大学院生であった依田は大学のアルバイトで、入学案内の配布を担当していた。午前十一時の発表直後はたいへんな混雑であったのに、一時間もすると潮がひくように人がまばらになった。
事務担当者に引継ぎをして、片付けて帰りかけていた依田は、正面玄関前の桃の古木の下にたたづんでいる、黒いコートをはおった受験生らしい女の子を見掛けて声をかけた。
「入学案内は・・・」
と言いかけて、依田は躊躇した。入学案内は合格者だけに渡されるのだ。もし女の子が、不合格であったならば、とんだお節介になるではないか。依田の心配をよそに、
「入学案内は頂きました。ほらここに」
女の子は、黒い皮の手提げ袋から浅葱色の大封筒を取り出して依田に見せ、ほほ笑んだ。
「桜の花も美しいけれど、桃の花のこの色に見とれてました。
こんな色を、どうやって生み出すのかと。
こんな無骨な木の体から・・・」
そう言うと、女の子はまた一心に桃の花を見上げている。依田は、さほ子の様子に興味をそそられ、思わずつられて桃の花を見上げた。そういえば、花を眺めたことは最近無かった。依田にとって、桃の花の色は桃色に決まっているし、桜の花は薄い桃色なのだからことさら見る興味などなかったのである。
依田徹の専攻は建築である。もっぱら図面での線や数字のみが相手の仕事である。何も存在しない空間に、斬新な自分だけのイメージを作り出すことが、これからの建築創造だと考えていた。
鉄骨や鉄筋、コンクリートで形成する合理化した器に、生活空間をモザイクのようにはめこんでみる。依田の頭は、常に新鮮な発想を求め続けていた。
依田が桃の花を見上げて、数十秒物思いにふけっている間に女の子は姿を消していた。依田と、楠山さほ子との最初の出会いはそれだけの事であった。さほ子は、桜の花吹雪舞う頃、T美大の染織工芸科に入学したが、同じ大学の中に居ながら、依田とさほ子が偶然出会う機会は訪れなかった。
桃の古木は、受験の季節三月になるとふくいくたる香りの花をほころばせるのであった。人の心は、うつろい薄れていったが、桃の木は、一年一年、己の命のいとなみに忠実であった。桃の木だけでなく、すべての植物がそうであった。
桃の花と桜の花は、春の訪れとともに相次いで開いてはやがて散りこぼれ、風に飛ばされてどこかへ消えて行った。
*****
二人が再び出会ったのは、それからずいぶん経ってのことである。依田が大学院を中退し、R設計事務所で働くようになって四年目の夏であった。依田がR設計事務所で師事する吉田桂二は、茨城県の古河市で歴史博物館の設計をすすめていた。
その歴史博物館のホールで使用するタペストリーを、吉田は神楽坂の綾染織工房に発注した。綾染織工房の綾美鈴は、T美大の吉田の後輩であり、世界的に有名なテキスタイルデザイナーであった。吉田に代わって、依田は、打ち合わせのために神楽坂の工房を訪れた。機織りの手をとめて依田を迎えたのは、楠山さほ子であった。
しかし、五年も以前の通りすがりの出会いであったせいか、依田はさほ子を覚えていなかった。一方さほ子は、依田の顔に見覚えがあった。
さほ子は依田に来客用の椅子をすすめ、綾先生は不在ですが、と告げながら冷たい麦茶を出すと、『R設計事務所 依田徹』と印刷された名刺を手に取った。
「失礼ですが、依田様はどちらで建築を学ばれたのでしょうか?」
遠慮がちにさほ子は尋ねた。依田はグレーのハンカチで汗を拭きながら、屈託のない声で答えた。
「T美大です。
ぼくは、前衛建築を目標にして大学院へ進んだのですが、途中で止めました」
さほ子は、合格発表の日、桃の花の下で声をかけてきた男の顔を思い出していた。
「なぜ中退なさったのですか?」
「始めてお会いしたあなたに、こんなことをお話するのも変ですよね。
ぼくはある時、建築が、環境破壊の産物のように思えて来たんです。
自分は自分の思い込みの創造欲だけで設計をしているのではないかという疑問です。
その時、今の師匠に出会って、疑問の答えを見つけられそうになった。
いやあ、こんな話退屈でしょう?
すみません」
依田は、クーラーの効いた部屋の中にいながらもしきりにハンカチで汗を拭いていた。
三十を越えているであろう依田のしぐさを、さほ子は少年のようだと思った。依田の整髪料を使っていないらしい短い髪はいがぐりを思わせた。薄いオレンジ色のポロシャツをラフに着ている様は、堅気の勤め人でない雰囲気であったが、目の光に正直で気負いのない知性があった。
「じつは、私もT美大を卒業して、綾先生のこの工房に入れて頂いたんです。
私の記憶違いかもしれませんが、依田さんのお顔を見たことがあるような気がして」
「そりゃあ偶然ですね。
大学のどこかで擦れ違ったかもしれませんよ」
さほ子は、全く依田が覚えていない様子なので、少しがっかりした。別に依田が思い出しても思い出さなくても、どうでも良いことではないか。さほ子は、そう考えて、口をつぐんだ。覚えていない依田を責めるのも、理不尽に思えた。五年も昔、一言しかことばを交わしていないのだから、記憶に無くて当たり前なのだ。たまたまさほ子が依田の顔を覚えていたのは、その日その時その場所が、さほ子にとって特別であったからだ。
さほ子は依田に声を掛けられた時、『これからは自分の好きなことを学べるのだ』という美大に合格した喜びの色を、桃の花の色に重ねて見ていたのだから。
「それじゃ、綾先生によろしくお伝え下さい。近いうちにまた参上します。
麦茶、ごちそうさまでした」
依田はさほ子にそう言い置いて、暑い日盛りの神楽坂を飯田橋のR設計事務所の方へ下って行った。
さほ子は、依田を送り出してから機の前に座りぼんやり考え込んでしまった。五年という月日のことだ。あの桃の花の色にみとれた日が、急に何十年も過去の幻のようにも思えた。
大学を出て、綾のもとで学ぶ染織の技法の数々は、さほ子をとりこにした。身のまわりにある様々なもの、土、花、果物、野菜、木の実、木の皮、片っ端から草木染めの材料になった。偶然に思いがけない色に染め上がると、この世に二つとない宝を与えられた心地がした。
自然に存在する色は、色鉛筆のように分けられるものでない。どんなに条件を整えても二度と同じ発色を見る事ができない色もあった。それは何十億人いても、同じ人間が一人も存在しないし、同じ種に生まれながら、どれひとつとして同じ葉や花が存在しないのと同じことなのだ。
さほ子が自然の色から学んだことは、世の中に『・・・でなければならない』ということは無いのではないか、ということだ。『でなければならない』という規則は、まず望ましい模範が存在し、それに多くの人間が倣わせられているに過ぎない状態に思えた。たしかに、模倣という学習は極めて効果的である。けれど、人間は自らの作り出した『でなければならない』世界で、いたずらにもがいているようにも思える。かつて、さほ子自身もそうであった。
美大には卒論に相当する卒業製作がある。各学科における卒業製作の最優秀作品は、大学の買い上げになる。誰が買い上げになりそうか、生徒の間ではだいたい予想がついている。真面目で才能が有る者、大学院に残れるのもそのあたりのヤツというわけだ。
さほ子は、常に真面目で学期の試験もほとんどがAの成績であった。クラスの友人たちは、それぞれに個性的で美しく、おしゃれをしては合ハイだの合コンだのと男性との付き合いにも熱心であった。さほ子は生来地味で、男の子の関心の的になれない自分を、よく分かっているつもりだった。実際、さほ子は目立たなかった。はしゃぎもせず、長い髪はいつも無造作に黒いゴムで束ねられていた。友人たちが、さえずるようにボーイフレンドの噂に興じる中に居て、さほ子はもの静かに控え目な微笑をしていた。真面目なブリっ子という陰口もあった。
さほ子の学生生活は『まじめでなければならない』。いつの間にかそんな規定が、さほ子の心にも友人たちの間にもできていた。だから、卒業製作で買い上げになるのは『さほ子でなければならない』と美大の誰もが思っていた。
しかし最終選考で、首席の買い上げに選ばれたのは真田エリカの作品「炎」であった。さほ子は次席となった。
エリカはクラスきってのあかぬけた美人で、いつも取り巻きの男たちの中で、華やかに笑っていた。授業は単位さえ取れればいいと、公然と欠席していたのに・・・。そんな真田エリカに、さほ子は負けたのだ。
さほ子は故郷の吉野の杉山をモチーフにした作品「深山」が、買い上げにならなかったことで落ち込んだ。四年近くの学生生活の、すべてを否定されたショックは大きかった。少なくとも、さほ子にはそう思えていた。
教授が
「楠山さん、学校始まって以来の秀作ですよ。労作でもある。
これほどの色に糸を染め上げ、織り上げることは、他の学生にはできません」
と声をかけてくれても、少しの慰めにもならなかった。さほ子はうつむいて、頭を下げた。『褒めて下さるなら、なぜ私の作品を選んで下さらなかったのですか?』さほ子は胸の中で叫びながら洗面所に駆け込んで、悔し涙を拭った。
『これから下宿へ帰って荷物をまとめ、おばあちゃんの待っている吉野へ帰ろう』
さほ子は、洗面所の鏡に映る、悔しさでゆがんだ自分の顔を見つめながら頷いた。
学内放送の呼び出しチャイムがスピーカーから流れる。
「染織工芸科の楠山さん、学内ギャラリーでお客様がお待ちです」
こんな時に、呼び出しなんて。
さほ子はいらいらしてスピーカーを睨んだ。さほ子には客の心当たりが無かった。行ってみるしかない。たった今帰る決心をしたところに、気をくじかれてしまった不愉快さが残った。しかし、呼び出しを無視することが、さほ子にはできなかった。
学内ギャラリーは、大勢の学生や家族でにぎわっていた。受付の下級生に、今呼び出しを受けた楠山ですが、と尋ねてみると
『あの方です』
とさほ子の作品「深山」の前に立っている女性を指差した。
「楠山ですが・・・」
さほ子は小声で女性の背後から声をかけた。白髪の混じった髪をボブにカットした女性は、顔をさほ子に向けた。美しい肌と彫りの深い顔立ちからは、女性の年齢をはかりかねた。女性の身に備わった威厳のようなものが、さほ子を圧倒した。
明らかに外国仕立てのソフトスーツに、見事な織りの絹のストールをまとっている。
「ああ、楠山さん。この作品はあなたが製作されたのですね」
上品な声である。さほ子は頷いた。
「申し遅れました。私、綾と申します」
そう言いながら女性は、名刺をさほ子に差し出した。
『綾染織工房 綾 美鈴』
名前を見るなり、さほ子は言った。
「あの、テキスタイルワールドコンペでグランプリを取られた綾先生ですか?」
「ええ」
綾は、そんなことどうでもいいという風情でさほ子の作品「深山」に目をやった。
「あなた、まじめで優秀な学生ね」
「いいえ、私には才能が無いんです。
まじめとか、そういうのでは駄目なんです。それがよく分かりました。
私、いなかに帰ろうと思って・・・」
さほ子は、初めて会った綾に自分の弱音をさらけ出していた。
「楠山さん。買い上げになった『炎』とあなたの『深山』どこに優劣があったと思われる?」
綾は語調は厳しさを帯びていた。
「才能です」
さほ子はうなだれて、投げやりに答える。
「私はそうは思いません」
綾美鈴は、きっぱりと言った。
綾の以外な言葉は、さほ子の目を綾の目に釘付けにした。
「あなたの『深山』には、凝縮がある。そして真田さんの『炎』にあるのは、解放です。
いのちの喜び、躍動を感じさせる解放が、見る者に温かい共感を与える。
これは題材の違いではなく、仮にあなたが『炎』を製作しても、やはり凝縮になっただろうと思うのよ。
才能の優劣ではなく、技術では圧倒的に優れたあなたは、これから開く花なのです。
あなた、いなかに帰ると言いましたね。明日から、私の工房へいらっしゃい」
『買い上げにならなければならない』ことに敗北してどん底を味わっていたさほ子は、この瞬間、綾に救われた。
世界的なデザイナーが、『深山』を認めてさほ子を弟子にしようというのだ。さほ子は、『捨てる神あれば拾う神あり』という言葉を嬉しさの中でかみしめた。
もうこれからは、『・・でなければならないと思うまい』と、さほ子は思わずにいられなかった。自分で設定したことが不如意に終わった時、執着が強ければ強いほど自分で自分を苦しめてしまう。自分だけではない。いつの間にか周りの人々までが『でなければならない』設定の目で自分を見つめている。人の目の分も、さほ子自身は努力したではないか。そして、そのすべてが否定された時、逃げ出すことしか考えなかった。ほんの数時間の悪夢であった。思いがけない救いが訪れて、初めてさほ子は、堪え難い苦しみが、自分から無意識に生み出されてきたことに気付いたのだ。
『でも』とさほ子は思う。『でなければならない』目標が存在しなければ、いったい何を目指して生きてゆくのだろう。人間は限りない欲望があってこそ、生きているのではないか?欲望をしぼりこんで目標にする。その目標のためには、他の全てを忘れて打ち込んだつもりであった。『でなければならない』ことが、唯一の支えであった。しかしそれが、自分の中で苦しみをつくりだすことでもあることを、さほ子は気付いた。この矛盾をどう理解すればよいのか。
これからゆっくりと考えることにしよう。綾美鈴が口にした『凝縮』と『解放』も、気になる。そのうち綾先生が、教えてくれるのかしら・・・・・・。
意識がもやに包まれていく。
さほ子にとって感情の起伏の多いハードな一日は、深い眠りで閉じられた。
綾染織工房は、綾美鈴一人で切り盛りされていた。綾は、これまで一人も弟子を持ったことがなかった。さほ子が、綾にとって最初の弟子であり、そして最後の弟子になると綾は決めていた。自分の持てるすべての知識と技術、三十年余り染織をとおして得たものをそっくり楠山さほ子に譲ろうと決めたのは、さほ子の作品を見た後、さほ子に会った瞬間であった。
綾は、自分の世界をたいせつしてきた。人というものは、煩わしさを運んで来るだけの存在に思えた。染色の材料集めや、何千という糸の整経、筬どおし、すべての織りの工程に自分以外の人の手を触れさせるのは、許しがたいことであった。そんな綾が、さほ子を自分の聖域と言える工房に招き入れたのである。
『大きな娘が欲しい年になったのかしらねえ』
綾は、心でつぶやいて自嘲した。綾は、さほ子の凝縮された固さが、一目で気に入ったのだ。
工房に通い始めた頃、まだ緊張していたさほ子は、綾の一挙一動を見つめていた。しかし、綾の人柄の優しさや仕事の様子がつかめてくると、少しずつ余裕を持てるようになった。夜なべ仕事が続いても、機の前に座ると目が冴える。真っ直ぐに張られた縦糸に、横糸を通して織り始めると時が経つのを忘れた。綾に学びながらさほ子は、充実した仕事の中に、美大の頃の染織とは異なる満足と幸せを感じ始めていた。学生時代は常に、教授に見せるための染織をしていた気がする。
さほ子が生きることと、染めと織りの間に今より隔たりがあったのだ。日を重ね、綾の雑用を務めながら、染めと織りのことを考えて過ごすうちにその隔たりが狭くなっていくのを実感するのであった。
柔らかい春の陽射しの中で、糸の巻取をしているさほ子に、綾が話しかけた。
「さほ子さん。凝縮をほぐす一番手っ取り早い方法を教えましょうか」
さほ子は、真剣に頷いた。
「それはね。恋をすることよ」
さほ子は、顔を曇らせた。
「先生、それは私にはできないことです」
「あら、あなた。相手がいなくたって、片想いくらいしたことがあるでしょ」
綾は笑いながら言う。
「先生、私は結婚できないんです」
「それは、おうちの事情?それともあなたの・・・」
綾は驚き、さほ子に問い正そうとして、途中で口をごもった。
「私は、結婚できない体なんです。結婚しても子供を産むことが・・・」
さほ子の両の目から、涙があふれる。
「ごめんなさい。けれど、さしつかえなかったら理由を教えてくれるかしら」
さほ子は、今まで誰にも話したことのない、胸の内の悲しみを綾に打ち明けた。
「私は、ヒロシマの子なんです。母は、被爆者だったんです。
母は三十の時に、後添えとして吉野の父の家に入ったんですけど、私が生まれて一月たたないうちに亡くなりました。
私が幼い頃、祖母や父や叔母たちは優しかったけれど『この子もヒロシマの子じゃから嫁に行くこともできんじゃろ』と陰で囁きあっていたんです」
綾の目も涙でいっぱいであった。
「お母様は、被爆したことが原因で亡くなられたの?」
「分かりません。病院もない吉野のいなかのことですから」
「そう。でも、あなたはとても健康そうよ。貧血とかあるの?」
「分かりません。健康診断には異常なしとしか・・・」
さほ子の答えを聞いた綾は、五十年にもなろうかという記憶の薄れかけた戦争が、目の前の若い娘に悲しい痕跡を残していることに愕然とした。同時に、母親の死というさほ子の生い立ちの影が、さほ子の稀に見る凝縮の原因であることを悟った。
「ともかく、さほ子さん。今、私たちは生きているわ。
そして、生きていくために仕事しましょう。『働かざる者食うべからず』ですものね」
影を振り切るように、綾はそう言ってさほ子の肩にそっと手を置いた。
綾染織工房は、忙しかった。どの手仕事や職人仕事もそうであったが、忙しさが金銭的豊かさにはつながらない。しかし、ものを創造することをこよなく愛する人々は、ただ黙々と働くことこそが、生きていることなのだ。仕事があることこそ、幸福に他ならない。
綾は、初夏を迎える頃にR設計事務所の吉田桂二から、茨城の古河市に建築が進んでいる歴史博物館のタペストリーについて、電話を受けた。綾は、T美大の大先輩である吉田を崇拝していた。吉田は、風土の歴史をたいせつにする建築家である。吉田の伝統を生かした創造美の景観は町に活気を与えることで定評があった。吉田の仕事ならば、他をキャンセルしてもやる、と言ってはばからないほど、綾は傾倒していた。
吉田と古河市そして綾の連絡係を、吉田の弟子である依田が担当することになり、依田は、真夏の陽射しが歩道を焼く神楽坂を上って、綾染織工房を訪れたのであった。
「あら、お客様だったの?」
外出から帰った綾の声で、機の前に座っていたさほ子は我に返った。慌てて立ち上がると、依田の飲んだ麦茶のグラスを片付け始める。
「R設計の依田さんが、お見えでした」
「依田君が?古河歴史博物館のことだと思うわ。急ぎの用ならば、また来るわよ」
さほ子が、冷たい麦茶のグラスを綾に渡すと
「あら、ありがとう。さほ子さん、依田君どう思う?」
綾は唐突にさほ子に尋ねた。
「どうって・・・。とてもいい方だと思います」
綾は、一息でグラスの麦茶を飲み干すと言った。
「そうでしょう。彼はね、T美大でとても優秀だったらしいのよ。
大学では、彼に残って欲しかったみたいなの。学生のうちから、海外のコンペに入選する程の才能の持ち主だそうよ。
けれど、吉田先生がおっしゃるには、依田君はある日突然『建築は環境破壊ではないか?』という疑問にぶつかって、大学院をやめちゃったんですって」
「そう言えば、そんなことをちらっとおっしゃっていましたわ。それで、吉田先生のお弟子になられたとか」
綾は、大きく頷きながら
「そうそう。けれど、彼にそんなことを考えさせるきっかけというのが、詩のような話なのよ。
女の子がいてね。その子が、T美大の正面の庭の桃の花を見上げていたのですって。
なんでも、その子が何を見ているんだろうと、依田君も桃の花を見つめてみたらしいの。
その時から、彼は懐疑的建築哲学者になっちゃったという話。
けれど彼、その女の子の顔も声も覚えていないらしいの」
綾は、くすくす笑いながら二杯目の麦茶をグラスに注いだ。
「ほんとに、詩のような話でしょ。
吉田先生は『桃の花の精が女に化けて出たんだろ』なんてからかってらしたけど・・・」
綾は、冷たい麦茶を口に含んで味わってから喉に落とした。
「依田君は『あの女の子は運命の女神だから、ぼくは彼女と結婚するんだ』って言ってたわ。かわいいわね。顔も覚えてないのに」
綾はおかしそうにそう言うと、グラスの麦茶を飲み干そうと傾けた。
「それは困ります。私、できません」
突然、さほ子が言い出した。
「え、なぜあなたが困るの?まさか・・・。そうなの?」
飲みかけた麦茶を慌てて飲みくだすと、綾は真顔になってさほ子を見つめた。
「さほ子さん。桃の花を見ていた女の子って、もしかしてあなた?」
さほ子は頷いた。
さほ子は、依田に会った時にそのことに気付いたことを綾に話した。依田はさほ子を覚えていないので、さほ子が桃の花の下で会ったことは、依田に黙っていて欲しいと綾に頼んだのである。
「ええ、ええ、もちろん。黙ってますよ。まあ、まかせておいて」
綾は心の内とは裏腹な返事をした。
その夜、さほ子がいなくなるのを見計らって依田の話していた桃の花の精が見つかったこと、そしてさほ子の抱くヒロシマの影についても残らず吉田にしゃべってしまった。
「依田に女神出現かあ。慎重にしかけてやらなくちゃ。綾ちゃん。女神の母がわりなんだから協力してくれよ。女神に逃げられないようにね。ごく自然に、あとはなりゆきさ」
吉田は、愉快気にそう言って笑った。
そんなことがあって、二週間ばかり過ぎた。上野駅十時四十五分発の宇都宮行き快速ラビットは、もうホームに入っていた。さほ子は、急いで六号車に駆け寄り乗り込んだ。乗り込んで見回すと、依田徹が窓際の席から立ち上がり手招きしている。安堵のほほ笑みが、さほ子の口元に浮かんだ。走りどおしで、ばさばさに乱れてしまった髪を気にしながら、依田の席へ歩み寄る。
九月に入って心なしか秋めいてきたように思えるのは、女性の服に茶系統が増えたせいだろうか。
車内はさほど混んではおらず、立っている乗客はいない。さほ子が、依田の隣へ腰を下ろすと発車を知らせるメロデイが流れた。
「間に合ってよかった。来てくれないんじゃないかと思いましたよ」
「駅の中で迷子になってしまって・・・、この電車に初めて乗るものですから。ご心配かけて申し訳ありません。依田さん」
さほ子は、息をはずませながらニッコリ笑って頭を下げる。さほ子の明るい笑顔は、二十四という年齢よりずっと若く幼く見えた。
「ともかく、無事間に合って良かった。電車の中でなく、駅のどこかで待ち合わせるべきだったね。今日は工房で仕事があったんでしょう無理言って、済みません」
依田も笑顔で言う。
「昨日から染めにかかっていた糸を、今日の分まで仕上げて干してきたからなんとか。綾先生が、『今度製作する作品のために、古河の歴史博物館のある町をよく見ていらっしゃい。今日は仕事のための出張ですよ』っておっしゃいました」
依田は、工房の外でさほ子を見るのは、初めてのような気がした。
今日のさほ子は、ベージュのストライプのブラウスに焦茶のパンツを合わせている。髪は後ろで束ね、これも焦茶のリボンを結んでいた。人の目を引く美人ではないが、穏やかな目をしている。いつも工房の部屋に籠って、糸を染めたり機を織っているせいか、化粧をしなくても白い肌をしていた。
さほ子の人柄は、その声としゃべり方に表れていた。黙って人の話に耳を傾け、静かに答えるのだ。人は無意識に思いを声に出してはばからないが、さほ子は、自分の音調が自分自身に不快でないことを心掛けていた。自分の内面の影を周りに悟られぬ様に、柔らかく温かな声と言葉を好んだ。そんなさほ子は、地味で目立たない娘、という印象を与えるのだった。依田には、さほ子の声が快い響きに感じた。神経を沈静させる音楽のように、いつも聴いていたいと思うのだった。
さほ子の口元は、ほほ笑んで居るように見えた。さほ子の内面の死の影が、さほ子に諦観の微笑を誘っているのかもしれなかった。依田の目には、さほ子のほほ笑みが寂しげに見えた。
古河まで、上野から快速ラビットに乗ると五十二分ほどかかる。上野を出て二十分も走らないうちに、車窓の風景は雑多なビルの林立した都会を抜け出して、住宅と田畑に替わっていった。水路沿いの田畑では、至る所に黄金色の稲穂が広がり、刈り取りの真最中であった。黙って窓の外に流れてゆく景色を眺めているさほ子に、依田が話しかけた。
「綾先生に昨日『楠山さんをお借りしたいんですが』と申し上げたら、『しかるべき理由をおっしゃい』と言われてしまったんです。さほ子さんは、綾先生の箱入り娘なんですね。参りましたよ。
もちろん、さほ子さんに古河の町や歴史博物館の建物を見ていただくわけですけど、もう一か所、いっしょに行っていただきたい所があるんです」
さほ子は黙って頷いた。依田の声に、ある種の気軽でないニュアンスを感じた。さほ子は、胸の中で『とうに捨てたものだ』という淡いあきらめが動くのを依田に見せまいと、また車窓の景色に視線を移した。
JR古河駅は、こぎれいな新しい建物であった。駅前に「ゆきはな亭」というあずまやが建っている。依田の師匠吉田桂二が設計したのだと、依田はさほ子に説明した。夜になるとライトがともり白く雪の結晶のように輝くのだという。
「『ゆきはな』というのは雪の結晶で、江戸時代古河藩の土井の殿様が、雪の結晶の研究をして『雪華図説』という本を書いたんですよ」
「雪の結晶って、五、六種類じゃないんですか?」
「それが、雪華図説には八十六種類の結晶が描かれてるんです」
「そんなに・・・」
さほ子は、古河に来る早々、『ゆきはな』の話に感動した。
「師匠とよく行く、うまい蕎麦屋があるんです。お昼食べに行きましょう」
依田は、先に立って歩き出した。
室町時代には、古河公方が屋敷を構えていた古河は、古い時代から培われた文化があった。江戸時代の、幕末の鷹見泉石に代表される学者や画家、文人墨客の歴史的文化遺産はおびただしい。閑静な住宅地の中に、古河の歴史博物館は、九分どうりまで工事が進んでいた。この辺り、出城のあった土地だという。鷹見泉石旧宅を別館として、古河歴史博物館は堀も含めて、環境の修景工事の最中であった。
さほ子は、依田の師匠吉田桂二の作品の美しさに目を見張った。瓦屋根の切り妻の重なり、建物を形成するすべての線に清々しさがみなぎっている。
「すばらしいわ」
さほ子は、うっとりと建物を眺めた。
そのさほ子の様子を見て、依田の胸中には確信が芽生えた。
『やはり、あの時、桃の花の下にいた女の子は、さほ子さんだ』
依田は、はやる思いを努めて抑えながら、建物の内部にさほ子を案内した。
あちらこちらで仕事をしている職人たちが、依田の姿を見ると『ごくろうさんです』とお辞儀をした。依田は時々足を止めて、彼等と何事か話していた。さほ子はずっと離れて、依田の仕事の邪魔にならないようにしていた。建物の内部は、薄暗い。依田がさほ子に手招きをするので、さほ子は依田に近付いた。
「さほ子さん。このホールに、あなたの作品が掛けられるんです」
依田のことばを聞いて、さほ子は反論した。
「いやだわ、依田さん。私ではなく綾先生の作品でしょう?」
「あれ、綾先生がおっしゃったんですよ。あなたの作品と先生の作品とを、壁のこちらとあちらに掛けるのだと・・・」
依田はコンクリートの壁を指差して説明する。
「そんな・・・」
意外なことを聞いて、さほ子は顔を赤らめた。
「現場はこんなもんです。そろそろ行きましょうか。どうしても、あなたにお見せしたいものがあるんです」
薄暗い建築現場で、さほ子には依田の真剣な表情を見ることはできなかった。
日はやや西に傾きかけていた。
依田とさほ子は、並んで渡良瀬川の川沿いの道を歩いていく。時折、散歩をする年配の婦人やこどもたちとすれちがう。茜色のいぬたでが、川面を渡る夕風に重そうな穂を撫でられてゆっくりと首を振っていた。
「古河は落ち着いた情緒のある、静かないい町ですね。
今日は、ほんとうにすばらしいもの、美しいものをたくさん見せて頂きました。依田さん、誘って下さってありがとうございます」
さほ子はそう言うと、依田の視線を避けるように、河原で遊ぶこどもたちを目で追った。依田は歩きながら、何気ない調子でさほ子に話しかけた。
「さほ子さん。ぼくの祖父は大工だったんです。幼い頃、祖父の仕事場で遊ぶのが好きでした。よく叱られたもんです。だいじな道具をいじるものでね。
ずっと大きくなってから、聞いたんですが、祖母が祖父と結婚する時、祖母は別の人の子供を身籠もっていたんです」
「それでは・・・」
さほ子は、そっと依田の表情をうかがった。依田は、真っ直ぐ遠くを見つめて淡々としている。さほ子は、いつの間にか真剣に依田の話に耳を傾けていた。
「祖母のおなかの子、つまりぼくの母の本当の父親は、陸軍士官学校から戦地へ送られた後だったんです。
残された祖母は、空襲で両親を無くしてみよりがなかった。親類の厄介者だったんですね。
祖母の幼馴染みの一人だった祖父が、祖母とおなかの子を助けてくれたんです」
「まあ、よかった」
さほ子は、そう言って安堵の溜め息をついた。
「祖母は大工の祖父を、だいじにしてました。祖父は、僕が中学の時、屋根から落ちそうになった弟子を助けようとして、死んでしまいました。
祖母は、ぼくが美大に入った年の夏、癌であっけなく・・・。
ぼくは、その癌の原因を医者から聞いて驚きました。
祖母は、母を生んだあと、産婆さんにたのんで子供を産めないような処置をしてもらった痕跡があったそうです。
祖父が、それを知っていたかどうかは分かりません。けれど、その処置した部分が癌化したのだということでした。
祖母は、大工の祖父に感謝していて、誰が見ても仲のいい夫婦だったのに、生涯心の中では、別の人を想い続けていたんです」
「そうでしたの」
さほ子は、戦地に赴いた恋人を慕い続けた女性の生涯に思いを馳せた。依田の祖父母や母だけではない、あの時代に生きた人々は皆、同じような悲しみを抱き締めて生きたのだ。戦争の傷跡を引きずって生きているのは、自分だけではないのだ。依田の話を聞くうちに、さほ子の中で新しい何かが頭をもたげ、もやもやと揺れ始めた。
依田とさほ子は、黙ったまま川沿いを緩い足取りで歩いている。
渡良瀬川は、夕日にきらきらと反射しながらゆったりと流れていた。川の浅瀬に三、四羽の水鳥が羽を休めてじっとしている。
依田は少し乾いた改まった口調で、さほ子に話しかけてきた。
「つまらないことをお聞かせしました。これからが、本題です。
ぼくは、あなたに今日御礼を言わなければならない」
「なんのことでしょう?」
さほ子は、いぶかしげに依田の方を見た。
「五年前、あなたが桃の木の下で言ってくれたことばです」
「いやだわ。綾先生ったら、あれほど言わないでと、お願いしたのに」
さほ子は、赤面して立ち止まった。どうすればいいのだろう。さほ子は、とっさに逃げだすことだけ考えた。
「私、失礼します」
離れようとするさほ子の腕を、依田はのがさなかった。
「あなたのことは、うかがっています。あなたのお母さんのことも、ヒロシマで被爆されたことも。
そして、あなたが『ひとりで生きていかねばならない』と思い込んでおられることも」
依田がそこまで言うと、逃げようとしていたさほ子の力が抜けた。
「ご存じならば、いいんです」
さほ子は、あきらめたように笑った。
また『でなければならない』こと抱えて居る自分がおかしかった。
とうに捨てたものであれば、逃げることもないのだ。心底そう納得していれば、何を恐れ、何を避けて逃げる必要があるだろう。納得しているつもりが、どこかで捨て切れない未練を残している。さほ子の内に、『捨てなくてもよいのではない』か、或いは『捨てたくない』という思いが、かすかに息づいているからに他ならない。
依田は、さほ子の腕を握ったまま離さず、ずんずん先へ歩いていく。一旦あきらめたさほ子は、なかば引きずられるように依田に従った。
「ああ、さほ子さんここです。やっとつきました。ここは古河市の総合公園の桃園なんです。今の小倉市長が、造った公園だそうです」
あたりは、なだらかな芝生の原が開け、桃の木が、たくさん植えられている。依田とさほ子は、桃の木々の枝をくぐり抜けるように頭を下げながら桃園に入った。
桃は実りの季節をとうに過ぎて、とても食べられそうもなかったであろう、小さな固い虫食いの実が枯れて残っている枝もある。
芝生の上で犬と戯れて居る親子の人影があったものの、平日の夕方の公園は、時折吹きわたる風に落ち葉が音をたてた。
依田は、待っていたのだ。あてもなくただこの時を待っていたのだ。会えるという確信などなかった。しかし今確かに、会わなければならなかった人と、会わなければならない場所に居るのだ、と思えた。その人に、言わなければならないことがあった。
「五年前、桃の木の下で、『木は、こんな色をどうやって生み出すのか』とあなたは言ったでしょう。
ぼくはあの時、木の枝の先についた桃の花を見つめているうち、自分の建築の発想が間違っていることに気付いたんです。
建築は頭の中だけで造るものじゃない。ぼくらの周りの自然の中から生まれ出るものでなければならないのではないかと。
そうすると、それまでのぼくの仕事は、すべて否定しなけれければならない。
『建築は空間の独創でなければならない』ぼくは、そう思って生きていたわけですから。しばらくぼくは、何もできませんでした。
吉田桂二に出会わなければ、ぼくは建築を止めてますよ。あなたのおかげで少なくともぼくは、ひとりよがりに環境破壊をしてはばからない『建築屋』にならなくてすんだわけです。
ありがとう」
さほ子は、返す言葉がなかった。依田に握られた腕が熱を持ち始めていた。
依田が突然立ち止まる。
「さほ子さん、ここにかわいらしい歌碑があるんです。これをあなたに見せたかった。
これも吉田桂二の作品です。
長塚節と若杉鳥子の歌が二首ずつ刻まれているんです。二人の写真は裏側にあります。美男、美女ですよ。
長塚が、鳥子の写真に淡い恋心を抱いて詠んだ歌が墨蹟のまま写されています。二人は会えなかったんです。そして、若くして独身のまま長塚が世を去った時、鳥子は挽歌を詠んだ」
さほ子は、依田と並んで、背丈より少し低めの二柱の赤御影石の歌碑と向き合った
石はやわらかいフォルムに削られて、温かい人の肌を思わせる色合いである。二本の歌碑は、斜めに寄り添いながら一個の玉石を抱いていた。
「これは、なんでしょう?」
さほ子は、依田に尋ねた。
「師匠は、これが男と女の愛の形だというんです。どちらかが身を引けば、玉石は落ちそうでしょう。けれど、二人で力を合わせて玉石を抱けば、一人で持てないものも持てるでしょう」
「吉田先生は、どのようにして、こんな温かみのある形を創造なさるのかしら」
「師匠は、その土地の人、くらし、歴史、風土、風土の生んだ民家に触れながら感得するんです。
対象が人物であれば、作品や伝記を読むのです。物凄いスピードでね。そして、惚れる」
「惚れる?」
さほ子は、復唱した。胸の中でゆらゆら膨らみつつある何かが、一瞬にしてピンと張った。
「惚れるところから創造が生まれる、というところかな」
依田はそう付け足した。
さほ子は胸に満ちたものに息苦しさを感じながら、歌碑の歌に興味をそそられて尋ねる。
「この歌碑に刻まれた歌。依田さんならお読みになれるのでしょう?」
依田は優しさにあふれるまなざしで、さほ子に頷いた。
「裏に解説がありますが、恩のあるさほ子さんのリクエストですから、読みます」
依田はさほ子の腕を少し強く握り直すと、なめらかにゆっくりとした調子で、歌碑に刻まれた文字を読み始めた。
「まくらがの古河の桃の木ふふめるをいまだ見ねどもわれこひにけり・・・
紅のしたてりにほふももの樹の立ちたる姿おもかげに見ゆ・・・」
しばらくの沈黙があった。
渡良瀬川に水鳥の鳴く声が聞こえる。
依田は、はっきりと決意を込めた声で言った。
「さほ子さん、来年桃の花の咲く頃。この桃園のこの歌碑の前に立つあなたを、ぼくは見たい」
長塚節の恋歌は、桃の花の下でのさほ子との出会い以来五年、依田の胸にあたためられた思いと響き合うのであった。さほ子の中で張り詰めた塊が、一瞬にして溶鉱炉の鉄のように液化していゆく。
依田は思いのすべてを込めて、さほ子を見つめた。
さほ子は、依田の視線を目を見開いて受け止めた。けれども、目からとめどもなくあふれる涙を、どうすることもできなかった。
あふれる涙は、あたたかかった。
おわり |
|
|
|
|