|
■ 個人新聞“たじみより”> 大平建築宿> 日本ナショナルトラスト |
|||
|
日本ナショナルトラスト25年の歩みとこれから |
|
94.3.25 定例会記録
|
|
ナショナルトラストとは イギリスでは18〜19世紀にかけて農業革命が進行し、囲い込み運動が起こり、それに対抗するために自然や歴史的環境を保護する運動としてナショナル・トラストが考えだされた。ナショナル・トラストは正式名称を「歴史的名勝および自然的景勝地のためのナショナル・トラスと」と言い、弁護士のサー・ロバート・ハンター、社会事業家で婦人運動家のオクタビア・ヒル女史、牧師のキャノン・ハードウイック・ローンスリーの3人によって非営利法人として創立された。 目的は「美しい、あるいは歴史的に重要な土地や建物を国民の利益のために永久に保存する」である。 活動内容は主に自然環境および歴史的環境を買い取り、あるいは寄贈を受け、保護、管理することと、教育活動である。
こうした特権が与えられた背景には歴史的な事情があった。 |
|
カントリー・ハウス制度(1931) 重い相続税のために手放されたカントリー・ハウスの解体が続発するなか、所有者がナショナル・トラストに寄贈すれば相続税を免れて、かつ保護と一定期間の公開が条件の下で子孫まで住み続けることができる。保存修理のためには維持管理の費用を要し、寄贈財産には、必ずそれを賄える「保存対象維持財産」を付け加えることを義務付ける。 ナショナル・トラストの保有財産にはハドリアヌスの長城、英国式庭園、つり橋・運河等の産業記念物、「ネプチューン計画」による海岸線などがある。民間で最大の資産所有者である。土地が22万9千ha、歴史的建造物が200、庭園が130、海岸線が724kmにおよぶ。 現在、会員は215万人以上。 |
|
シビック・トラストとは シビック・トラスト破都市化が進み、環境問題が再び問われ始めているイギリスで1957年に当時の地方行政担当大臣であったダンカン・サンズによって創設された民間の非営利団体である。資金はほとんどが企業からの寄付で成り立っている。企業もその利益を社会に還元することが責務であるということが基盤にある。 目的は次の5つがある。
シビック・トラストの運動は住民の自発的で無償のボランティア活動によって支えられている。地域の誇り(プライド・オブ・プレイス)こそがシビック・トラストの精神である。 |
|
シビック・トラストの活動は以下の通りである。
現在、イギリスのアメニティー団体は1000余りである。 |
|
日本のシビック・トラスト運動
|
|
日本ナショナルトラストとは 日本のナショナル・トラスト運動は1960年代後半から、全国各地の環境保護運藤の中で発展してきた。なかでも、「鎌倉風致保存会」の運動が先駆的であり、その会の発起人である作家の大佛次郎はイギリスのナショナル・トラストを系統的に日本に紹介した最初の人である。鎌倉の運動はやがて、文化財保護法を改正し、歴史的町並みを「伝統的建造物保存地区」に指定することにつながる。 各地の運動は組織の形態から3つに大別され、?住民が中心になっているもの?自治体が中心になっているもの?はじめから住民と自治体が協力して進めるもの、である。?の例は74年始まった「天神崎をまもる市民地主運動」であり、?の例は70年代に起きた「知床国立公園内100平方メートル運動」であり、?の例は73年に設立した「妻籠宿保存財団」である。 そのように各地でナショナル・トラスト運動が盛り上がりを見せるなか、国際観光年の68年に運輸省管轄の財団法人観光資源保護財団が設立され、翌年、愛称名「日本ナショナルトラスト」が決定する。84年に「特定公益増進法人」に認可され、免税団体になる。 活動内容は
活動内容は文化庁、環境庁にまたがるが、運輸省の管轄でもあるため、その利点を生かしながら、対外的には「歴史的環境の保存ト自然環境の保存とツーリズムの関係」と説明している。 日本ナショナルトラストは資産の保護、管理をすると共に、シビック・トラスト的な活動をしている。歴史的町並み保存・再生やヘリテージ・センターの建設などである。 今までの実績は以下の通りである。
現在までの調査対象200件、保護対象56件。 現在の会員数、個人3千人、団体100社、関連企業30社 |
|
今後の展望 イギリスでは保存のために収益をあげることが基本にあり、日本でもヘリテージセンター、SLなどの貸し出しやオリジナルグッズの開発など経済行為を活発にしていく。 全国の民家を修復し、宿泊できるようにする。または手仕事職人に貸し出す、など。 これから歴史的建造物の保存運動にかかわる人は、保存という言葉を使わず、まちづくりのための拠点に利用する、と説明するとうまくいく。 |
|
参考図書 『プライド・オブ・プレイス』シビックトラスト
『ナショナル・トラスト』木原啓吉 三省堂 『歴史的環境』木原啓吉 岩波新書 『まちづくりとシビック・トラスト』AMR編
|
(財)日本ナショナルトラスト
|
1968年 |
12月 |
財団法人観光資源保護財団設立(25日) |
|
69年 |
4月 |
応募総数7000通の中から選考会(大佛次郎他)により愛称名「日本ナショナルトラスト」決定 |
|
8月 |
会報『日本ナショナルトラスト報』発刊 |
|
|
12月 |
「淡路人形浄瑠璃」(兵庫県)の保護に補助金(69年〜71年度) |
|
|
70年 |
3月 |
「山伏神楽」(岩手県)の保護(69〜70年度)、「高山上三之町」(岐阜県)町並み保存(69〜71年度)、「白川村合掌造民家郡」(岐阜県)集落保存に助成金(69〜71年度) |
|
6月 |
「石川啄木旧居」(岩手県)の保存、「妻籠宿−石栃馬宿」(長野県)整備に補助金 |
|
|
10月 |
「佐渡のトキ給餌地」(新潟県)を買い取り、新穂村に寄贈 |
|
|
71年 |
3月 |
「祇園祭船鉾」(京都市)修理、「萩城跡」(山口県)、民俗芸能現地公開、「松江武家屋敷」(島根県)に補助金 |
|
6月 |
「一乗谷朝倉氏遺跡」(福井県)整備に補助金 |
|
|
10月 |
タン・キム・ファン・カンボジア文化財保護委員長来訪。アンコールワットの保護につき本財団が行った一連の配慮に謝意と事情説明 |
|
|
72年 |
5月 |
「法輪寺三重塔」(奈良県)再建に寄付し、募金活動の中心となる。「良寛五合庵」(新潟県)修理に補助金 |
|
73年 |
4月 |
「名勝旧大乗院庭園」(奈良市)の管理団体として文化庁より指定を受ける |
|
7月 |
関西支部を設置 |
|
|
10月 |
「頼山陽書斎山紫水明處」(京都市)保存に補助 |
|
|
74年 |
3月 |
「名勝旧大乗院庭園」復元整備 |
|
75年 |
3月 |
法輪寺三重塔の再建工事竣工 |
|
76年 |
4月 |
岡倉家より日本美術院研究所跡(北茨城市)の管理を受託、跡地を仮整備 |
|
8月 |
巻機山(新潟県)自然環境保全整備。木道の設置・池塘の復元 |
|
|
78年 |
4月 |
日本美術院研究所跡整備(78〜81年度) |
|
80年 |
11月 |
日本美術院研究所跡の「天心遺跡記念公園」開園式 |
|
82年 |
7月 |
蔵改修によるミニ資料館「河崎まちなみ館」が竣工(三重県伊勢市) |
|
10月 |
大平宿民家(長野県)の「満寿屋」を改修(81〜83年度) |
|
|
84年 |
3月 |
第1回英国ナショナルトラスト研修旅行 |
|
7月 |
日本ナショナルトラスト関西BOX開設 |
|
|
12月 |
国より「特定公益増進法人」(免税団体)として認可される |
|
|
岡倉家より日本美術院跡地など1000坪の土地の寄贈を受ける |
||
|
85年 |
8月 |
大平宿民家「紙屋」改修 |
|
86年 |
1月 |
白川村合掌造民家など5対象を募金などで取得する「文化財取得保護計画」キャンペーン開始 |
|
10年 |
ヘリテイジセンター「葛城の道歴史文化館」(奈良県御所市)完成・会館 |
|
|
87年 |
2月 |
鉄道文化財としてC12形SL、スフハ43形客車2輌オハニ形貨物合造客車1輌を募金で取得し、整備開始 |
|
7月 |
鉄道文化財「トラストトレイン」、大井川鉄道(静岡県)で発進式、動態保存を開始 |
|
|
9月 |
白川合掌造民家「旧寺口家」を募金で取得 |
|
|
88年 |
12月 |
白川合掌造民家「旧松井家」を募金で取得 |
|
89年 |
10月 |
創立20周年事業としてヘリテイジセンター「飛騨の匠文化館」完成・開館、英国よりシビックトラストのアーサー・バーシバル理事を招き各地で講演会 |
|
91年 |
4月 |
白川合掌造民家の保存整備をはじめる |
|
9月 |
第2回英国ナショナルトラスト研修旅行 |
|
|
92年 |
7月 |
名勝旧大乗院庭園反橋架替え工事竣工 |
|
9月 |
団体名称を財団法人観光資源保護財団から財団法人日本ナショナルトラストに変更 |
|
|
93年 |
8月 |
創立25周年事業として旧松井家を修復・整備し、「白川郷合掌文化館」として開館 |
|
12月 |
創立25周年(25日)、トラストトレイン記念運転を行う |