anpo 07/02/05
「自由と繁栄の弧」−−日本外交の新基軸(上)
安倍首相は1月26日、第166国会開会の冒頭、初の施政方針演説を行った。
この演説で安倍首相は、小泉・ブッシュ「戦友」関係が打ち出した「日米グローバル・アライアンス(『世界の中の日米同盟』)」の路線を継承していくことを強く打ち出している。それは外交にふれた部分で、日米同盟を「世界とアジアのための日米同盟」と位置づけ、これが「我が国外交の要であります」としたところに示されている。
そしてこうしたグローバルな同盟となった「日米同盟を一層強化していく必要」があると強調し、そのための国内で実施する具体的な政策として以下の諸点を列挙した――
①ミサイル防衛の「早急な整備」。
②「世界の平和と安定に一層貢献するため、時代に合った安全保障のための法的基礎を再構築する」。これは海外派兵恒久法の整備を意味している。
③集団的自衛権行使を可能とする「個別具体的な類型に即し」た「研究」の推進。
④米軍再編の「着実な」推進。
⑤「ますます複雑化する外交や安全保障に関する問題に、政治の強力なリーダーシップにより即座に対応できるよう、官邸の司令塔機能の強化に向けた体制の整備」。これはアメリカのNSC(国家安全保障会議)のようなトップダウンの政策立案・決定・実施システムの構築を意味しており、現在、このための協議体で具体的な検討を実施している。
⑥「内閣の情報機能の強化」。これもアメリカにならって、内閣官房に外交・防衛・治安関係の情報を集中・一元化する仕組みを構築し、同時に関係省庁が「諜報=インテリジェンス」と「防諜=カウンターインテリジェンス」の強化に本格的に踏み出すことを意味している。
⑦「海洋及び宇宙に関する分野」に「政府としても、一体となって戦略的に」取り組むこと。この中には宇宙の軍事利用をめざした基本法の制定がふくまれている。
そして、グローバルな同盟の内実として、他方、対外的には「我が国は、国際社会における地位に見合った貢献を行うべき」だとして新たな方向性を打ち出した。
このことは演説で、ASEAN諸国、インド、オーストラリア、中東、欧州諸国と具体的な国を列挙して、関係強化を述べたことにあらわれている。
それが何を意味しているのか? それは、同時に行われた麻生外相の外交方針演説で具体的に述べられた「日本外交の新基軸」(これは外務省ホームページのバナー)である「平和と繁栄の弧」構想である。これは、これまでの日本外交の三本柱(日米同盟、国際協調、近隣アジア諸国の重視)に加え、新たに「四本目」として打ち出したものである。この「四本目の柱」が「平和と繁栄の弧」を「作ろうとする方針」であり、「わが国にとって必須のもの」と麻生外相はのべている。
「日米グローバル同盟」の対外的な具体的方向性を打ち出した「平和と繁栄の弧」構想とは何か、次回でそれを見ることとする。
(07年1月29日記・松尾 高志)
Posted: 月 - 2月 5, 2007 at 08:49 am