anpo 07/2/25


「自由と繁栄の弧」(下)−−NATOとの軍事協力にすすむ日本

 安倍首相は1月12日、日本の首相として初めてNATO(北大西洋条約機構)本部で開催されたNATOの意思決定機関であるNAC(北大西洋理事会)の場に臨み、「日本とNATO:更なる協力にむけて」と題する演説を行った。
 安倍首相はこの演説で以下のように述べている――
 ○「日本は、国際社会のためになすべきことを実行する用意がある」(「これは当然のこと」である)。
 ○「(昨年末のNATOのリガ首脳会議での)NATOに加盟していない日本を含む民主主義諸国と関係を強化していくとのNATO首脳のコミットメントを歓迎」する。
 ○「日本とNATOはパートナー」である。
 ○「日本とNATOはグローバルな課題の解決に向けた責任感を共有して」いる。
 ○「日本とNATOは、紛争に際して平和の定着を目指し、これまで以上に互いに持てる能力を発揮し共に行動する必要」がある。
 ○「日本とNATOは協力の新たな段階へと移行すべきだと考え」る。
 ○「私の指示に基づき、日本政府は、既にNATOとの今後の更なる関係強化に向けての基礎固めを始めて」いる。
 ○「3日前、私は防衛庁を、他の中央省庁と同格の省に昇格」させた。「新しい防衛省は、国際平和協力活動を国土防衛とともに本来任務として敢然と遂行する用意」がある。
 ○「いまや日本人は国際的な平和と安定のためであれば、自衛隊が海外での活動を行うことをためらいません」。
 NATOとは言うまでもなくヨーロッパの軍事同盟であり、またアメリカが唯一ヨーロッパとリンクしている軍事的紐帯である。こうした軍事同盟の場での安倍首相のこの演説はまさに日米同盟が「グローバル・アライアンス」に変貌したことと対応している。
 NATOは日米安保体制の変質と時を同じくして、90年代半ばにはNATOの「域外」に関与を開始し(コソボへの空爆=日本では「周辺」事態への関与の開始)、アフガニスタン戦争に参戦(集団的自衛権の行使=日本ではテロ特措法による自衛隊の派兵)し、昨年末には日本、オーストラリア等との関係強化を打ち出した。NATOの変質のプロセスと日米安保体制の変質は同期して進行しているのである。
 その結果がNATOと日本の軍事協力の強化となって今、「グローバル事態」への共同対処が課題として浮上しているのである。
 アメリカ大陸の両岸の大西洋(NATO)と太平洋(日米安保)を結ぶ軍事同盟が、ユーラシア大陸の周辺部である「不安定の弧」の中で、アフリカの角(アラビア海)、イラク、アフガニスタンにおけるアメリカの「対テロ戦争」を共に戦う協力関係を強化しようとしているのである。これが外務省の日本外交の新機軸=「自由と繁栄の弧」の姿なのである。

(07年2月19日記・松尾 高志)

Posted: 月 - 2月 26, 2007 at 08:45 am        


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