anpo 06/09/15
世界平和研究所の提言−−ポスト小泉政権の安保政策を後押し
世界平和研究所(会長・中曽根元首相)は9月5日、ポスト小泉政権の発足を前に、提言「21世紀の日本の国家像について」を発表した。提言とその補足説明の全文は同研究所のHPに掲載されている。
注目すべきことは、この提言の中で打ち出している憲法問題、安全保障問題の論点は安倍官房長官の政権構想と近似しており、安倍構想をサポートすると同時に、よりタカ派的な提言を出すことによって、安倍構想の危険性を薄める役割を果たしていることである。
提言は「日本は大戦後60年を経て、今や新しい大転換の時代に入った」との認識から出発して、以下の点を主張している。
○憲法の改正――「戦後日本を覆っていた混濁不安定の体制を一新し、国民に対しても、世界に対しても、主体性ある日本の姿を明らかにすべき時代となった。その象徴が憲法改正である」
○憲法9条の改正=自衛隊を軍隊と明記――「憲法第9条を改正し、自衛隊を軍隊と明記し、我が国の安全保障政策の中に軍事力を正当に位置づけることが必要」である。
○集団的自衛権の行使――「集団的自衛権の問題についても、当然、行使が認められるべき」である。
○安全保障基本法の制定――「(集団的自衛権の)行使の態様については、安全保障基本法において定める」
○日米同盟の変革――「米国との共通の戦略目標と役割分担を明確にし、同盟関係をより強固なものとする」「自衛隊の能力については、米軍再編も踏まえ、新たな安全保障環境に的確に対応できるよう質的・量的向上を目指す」
○敵基地攻撃能力――「我が国の安全が危殆に瀕する場合、自衛権の範囲内において敵基地攻撃を行うことも否定しない」
○海外派兵恒久法の制定――「これまで時限立化されてきた国際平和協力活動等への参加を一般法化し、合理的な法的枠組みと総合的な国益の観点からの参加基準の設定等、状況に応じた柔軟な政治的判断を可能とする体制を確保する」
○軍官産学協同体制の確立――「防衛関連の民間技術の洗い出しや基礎研究に関する防衛当局と大学等研究機関との連携体制の構築を含め、防衛技術力の強化を図る」
○首相直轄の国家情報局の設置――「政府の安全保障に関わる情報力を格段に強化するため、総理直轄の国家情報局を設置し、内外の関連情報を一元的に集中管理し、国策策定に資する情報資料を整備する」
○国家安全保障会議の新設――「(国家情報局で)取り纏められた情報・分析は、総理に時機を失さず報告されるとともに、現行の安全保障会議を強化した『国家安全保障会議』にも提供され、実際に戦略を企画立案・執行する際の基礎」とする。
安倍構想の抽象的なスローガンの背景にはこのような目論見があるのだといえよう。
(06年9月7日記・松尾 高志)
Posted: 金 - 9月 15, 2006 at 08:05 am