anpo 06/08/05
海外派兵恒久法案の準備すすむ−−−自民党防衛政策小委員会が素案を了承
陸上自衛隊のイラク派兵が終了し、次の課題としての海外派兵恒久法制定への作業が開始されている。
自民党の防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)は6月14日に党本部で開催された会合で、海外派兵恒久法の素案(概要)を了承し、7月中にも条文化して、党内論議にかけることを決定した。
その内容は、自衛隊の活動範囲を「非国際武力紛争地域」とした上で、実施する項目として以下の7項目を示している――
①国際平和協力活動
②人道復興支援活動
③停戦監視活動
④治安維持活動
⑤警護活動
⑥船舶検査活動
⑦後方支援活動
これらの中には、派遣先での軍事組織を設立するための助言、指導、又は教育訓練が含まれており、警護活動には他国要員・施設の防護も含むとされている。
この7項目は全体として、昨年10月の「2+2」での合意の内容であり、治安維持任務が付け加えられたものということができよう。これは昨年10月の合意の後に開催された日米防衛首脳定期協議(額賀・ラムズフェルド)でラムズフェルド米国防長官が治安維持任務を自衛隊が実施するよう求めたことにもとづいている。
こうした活動をする際の武器使用については、これまで、正当防衛・緊急避難といったいわば刑法の範囲、あるいは警察権の範囲にとどめてきたことから大きく踏み出して、武器使用の可能な範囲を拡大して、「(自衛隊の)活動の目的を達するため特に必要と認める相当の理由がある場合」も使用可能としている。この任務遂行のための武器使用は従来から制服組を中心とするタカ派が主張してきたものであり、自衛隊が諸外国並みの「普通の国」の「普通の軍隊」として活動することを可能とするものであるといえよう。
また、派兵にあたっては国連決議によること以外にも、「日本として国際社会の取り組みに寄与することが特に必要と認める事態」と認定した場合は派兵するとしている。これは国連の枠組みだけでなく、コアリッション(有志連合)による多国籍軍への参加への道を開いていることを意味している。これまで自衛隊を海外に展開するにあたっては国際緊急援助隊法にもとづくものは別として、国連安保理の決議にもとづくPKO(平和維持活動)だけだったものが、テロ特措法、イラク特措法の二つの特別臨時措置(これも法律名ではあたかも国連決議によるものであるかのように長いものにしている)が、実は国連決議に基づいての派兵ではない先例となったことから、これを突破口に多国籍軍への参加の道を開こうとしているものである。
こうした海外派兵恒久法案の内容は、昨年10月の「2+2」(日米安保協議委員会)で合意した「日米同盟:未来のための変革と再編」に盛り込まれていた自衛隊の役割・任務・能力を規定した軍事分担の拡大(グローバル事態への対処)を実施するための法整備であり、また、新しい防衛計画の大綱にもとづく自衛隊のトランスフォーメーション(変革)=軍改革の一環でもある。現在、継続審議となっている防衛「省」昇格法案に合体された自衛隊法第3条の改正による自衛隊の海外展開任務の本来任務への格上げにともなって、それを実施する法整備としての意味をもっている。
これは本来ならば政府提案とすべきものであるが、イラク特措法で自衛隊の活動についての憲法解釈が米軍の要求する水準を達成するためには制約要因になっていたことから、それを乗り越える内容を盛り込もうとしているために、議員立法での法整備を目論んでいるものである、と言えよう。
(06年7月28日記・松尾 高志)
Posted: 金 - 8月 4, 2006 at 05:58 am