anpo 06/07/25


防衛庁の「省」昇格法案のねらうもの

 小泉内閣は国会会期末の7月9日の閣議で、防衛庁を「防衛省」に昇格させる法案を決定し、国会に提出した。この法案は審議されることなく、18日の会期終了とともに、継続審議となっている。
 この法案の最大のポイントは、その目的として「国際社会の平和と安定に主体的・積極的に取り組むための体制を整備すること」としていることである。これは自衛隊がこれから海外展開任務をグローバルに展開するにあたっての条件整備の一環としての措置であるということを意味している。
 2001年9月以来、防衛庁は、米軍の軍改革(フォース・トランスフォーメーション)にあわせて自衛隊を改革するための検討を進め、2004年12月の防衛計画の大綱でその内容を盛り込んだ。ここでの最大の軍改革は自衛隊をグローバルに海外展開可能な軍として軍改革を推進することであった。防衛庁の防衛省への昇格はそうした軍改革の一環なのであり、自衛隊のトランスフォーメーション(変革)と一体の動きである。
 このため、この法案は実は二つの法改正を一本に合体させたという内容となっている。その二つとは①内閣府の外局であった防衛庁を、独立の防衛省に昇格させ、国家システムの中でのステータスを「普通の国」と同じにすること、そして②自衛隊法第3条を改正して、海外展開任務(政府は「国際平和協力活動」と名づけている)を従来の付随的任務から国土防衛と同等の本来任務に格上げすること、である。
 法案は自衛隊法第3条に新たに第2項を設けて次のように改正する――
   「一、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動 
    一、国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」
まず前者は周辺事態における自衛隊の米軍への兵站支援作戦の実施(船舶検査を含む)であるが、後者は曲者である。この中にふくまれるものは現行のとしては以下のものを意味している――
 ○国際緊急援助隊法にもとづく海外展開
 ○国際平和協力法(PKO法)にもとづく海外展開
 ○テロ特措法にもとづく海外展開
 ○イラク特措法にもとづく海外展開
 ○機雷等の除去(自衛隊法第99条)
 ○在外邦人等の輸送(自衛隊法第100条の8)
しかし、問題はこれらに限定されないことである。法律案を読めば分かるように、国連の枠組みのみならず、多国籍軍や米軍主導の有志連合による海外展開の実施も可能な条文となっている。そのための法としては現在、自民党内で海外派遣の恒久法の検討が進んでおり、その法を根拠とした海外展開が可能となるのである。このことは防衛庁の国防総省化とでもいうことができよう。         

(06年7月20日記・松尾 高志)

Posted: 火 - 8月 1, 2006 at 08:46 am        


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