anpo 07/4/15
集団的自衛権をめぐる懇談会設置の意図
政府は4月5日、これまで憲法解釈上、行使を禁じている集団的自衛権について、検討するための有識者会議を設置するとの方針を固めた、とマスメディアがいっせいに報じている。
これは安倍首相の持論であり、首相としての最初の所信表明演説でも打ち出していた課題である。その狙いは、これまで集団的自衛権の行使にあたると判断されてきていたもののうち、以下の4類型について、個別事例研究を実施して、それらは集団的自衛権の行使にはあたらないので、実施可能だとの結論を引き出すことである。
その4類型とは・・・・
①同盟国(アメリカ)を攻撃する弾道ミサイルを、日本のミサイル防衛システムで撃破する。
②公海上で海上自衛隊の艦艇と並走する同盟国の艦艇が攻撃された場合、自衛隊が反撃する。
③陸上自衛隊がイラクで実施した復興支援活動のようなケースで、自衛隊と一緒に活動している他国軍が攻撃された場合、自衛隊が駆けつけて反撃する。
④平和維持活動(PKO)で、海外で活動する自衛隊員が任務遂行への妨害を排除するために武器を使用する。――とされている。
有識者会議は今月にも設置し、その座長には柳井俊二前駐米大使、そのほかのメンバーとして北岡伸一東大教授、外交評論家・岡崎久彦元駐タイ大使らとされ、今年の秋までに検討の結果として一定の結論を出す、とのスケジュールが報道されている。
「読売新聞」(4月5日付・夕刊)によれば、これまで内閣官房で個別事例の研究を進めてきたが、「首相の指示で内閣官房と内閣法制局で非公式に検討し、この4類型については集団的自衛権行使にあたらない可能性が高いと判断した」とのことである。
集団的自衛権を行使可能にせよという意向はすでに第一次の「アーミテージ・ナイ報告」で打ち出されており、これまでの政府の国会答弁によれば、そのことを可能にするためには憲法改正=新憲法制定をしなければならないこととされていた。
安倍構想では、そこに至る以前に、集団的自衛権の問題について、匍匐前進的に個別事例で、実施しうるものを積み重ねていこうとしていると言うことができよう。
①のミサイル防衛については米シーファー米駐日大使が昨年10月の記者会見で日本政府としての結論を早急に出すよう求めていたものである。またローレス米国防副次官は昨年末に「ミサイルが米国に向かうことが明らかで日本がそれを打ち落とさないのはクレージーだ。そんなものは日米同盟ではない」とまで不満を述べていたものである。
④の武器使用については現在準備中の海外派兵恒久法で治安維持活動まで実施することを想定しているため、必須の課題とされている。
日米同盟強化のためのこの措置はブッシュ米大統領との会談にのぞむ安倍首相の「手土産」となる。
(07年4月9日記・松尾 高志)
Posted: 水 - 4月 25, 2007 at 07:16 pm