anpo 07/05/25
ミサイル防衛にかかわる憲法解釈をどうするか−−「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇
談会」初会合
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使、略称=柳井懇)の初会合が5月18日に開催された。
これは安倍晋三首相が「集団的自衛権は保持しているが、行使できない」とするこれまでの政府見解・憲法解釈(内閣法制局による)を見直おすために設置した首相の私的諮問機関で、安倍首相は9月にも、この懇談会で憲法解釈の一部変更の答申が出れば、内閣として憲法解釈を一部変更するとみられている。
ここで「一部変更」としたのは、柳井懇では、その名称どおり「法的基盤を再構築」する、つまり、憲法解釈全体を検討するが、答申としては4類型に限って結論を出すとみられているからである。
この4類型の一つである、ミサイル防衛については、米本土をターゲットとして発射された弾道ミサイルを自衛隊部隊が迎撃することの可否が問題となっている。
この点については、2003年12月にミサイル防衛システムの導入を閣議決定した際に、福田官房長官(当時)が「あくまでもわが国防衛を目的とするもので、第三国の防衛のために用いられることはない」との談話を発表している。
この政府見解を変更しようという問題である。
4月30日に、「2+2」(日米安全保障協議委員会=5月1日開催)に先立って行われた日米防衛首脳会談(久間防衛相・ゲーツ米国防長官)で、米側が日本が迎撃可能にするため政府の憲法解釈を変更するよう迫っていたことが明らかになったと報道された(「共同通信」配信、「神奈川新聞」・「東京新聞」5月16日付)。
「複数の日米外交筋」によれば、①ゲーツ米国防長官は「日本はMD(ミサイル防衛)で極めて重要なパートナーだ。相互に防衛しあう関係が必要であり、日本は米領土を狙った弾道ミサイルを撃ち落とせるようにすべきだ」と要求し、②また、同席したシーファー駐日米大使も、集団的自衛権の問題に触れ「米国への弾道ミサイルを迎撃できなければ、日米同盟が変質しかねない」と述べた、という。
ここで問題となっているミサイル防衛システムは現在、自衛隊が導入している武器システム(洋上発射のSM3ミサイル、陸上発射のPAC3ミサイル)ではなく、次世代、次々世代のミサイル防衛武器システムのことである。現行システムでは迎撃不可能なことは久間防衛相が国会答弁で述べているとおりである。
それ故に、久間防衛相はゲーツ米国防長官に対し、「技術的にも可能となるよう米側に一層の協力を求めた」(同前)とされている。
防衛省では、ミサイル防衛については、初めて日本として米本土防衛に寄与できる、つまり日本側から「ギブ(give)」できるアイテム(事項)だととらえており、それだけにこのミサイル防衛を重視しているのである。それだけに、このことが可能となれば日米同盟の強化となるのである。
(07年5月18日記・松尾 高志)
Posted: 金 - 5月 25, 2007 at 06:26 pm