anpo 06/07/05
日本政府 ODA(政府開発援助)で武器供与を開始
日本政府はODA(政府開発援助)による、武器の供与を開始した。
これは6月15日にジャカルタで行われたインドネシアへの巡視船の無償供与の合意文書の署名を日本、インドネシア両政府が行ったことによってはじめられた。
巡視船は防弾用に装甲を強化しているため、政府見解でも武器にあたるものである。日本政府ではこの巡視船を①テロ・海賊対策に用途を限定する、②日本の同意なしに第三国には移転しない――との二点を条件として、インドネシア政府に供与した。
日本政府のこの条件は、合意文書の署名予定日の14日に、インドネシア政府が「テロ・海賊対策」に巡視船の用途を限定していることに対して、「海上の安全に関する活動」に使用することを可能にするよう合意文書の文言の表現の変更を求めたため、土壇場で署名式が延期となって、両国間で再交渉することとなり、最終的にはインドネシア側が譲歩して、翌日に署名がなされたという経過を見ても、武器供与のもつあやうさが最初からつきまとうこととなった。
この巡視船の供与は、2003年の首脳会談でメガワティ大統領が小泉首相に供与を要請していたもので、外務省によると、巡視船3隻の総額は19億2100万円で、インドネシアの国家警察本部海上警察局などに配属されるという。
この初の武器供与は、6月8日の安全保障会議で了承し、13日の閣議で決定、そして官房長官談話発表との手順をとって行われた。
小泉内閣は武器輸出三原則(海外へ武器輸出を認めない)を2004年に、ミサイル防衛の共同開発・共同生産を許可する際に、原則的に撤廃し、今後は「ケースバイケース」(事案ごとに検討する)との方針転換を行った。
その後、地雷除去装置や遺棄化学兵器処理装置などの輸出を認めるなど、国民の抵抗感の少ないものから実施しはじめ、今回、護衛艦にいたらない巡視船の輸出と範囲を徐々に拡大してきており、いずれは「海賊対策」の名目で海上自衛隊の中古の護衛艦の輸出に踏み出すこととなろう。
ODA(政府開発援助)は最初は純粋に開発途上国の民生協力として出発したが、現在では政治目的をもった「戦略援助」の色彩を強くもつものに変質しており、今回、それをも踏み出して武器の供与に到達した。
すでに、イラクの陸上自衛隊のサマーワでは自衛隊の宣撫工作の一環として、ODAが利用されるようになっており、軍事目的のODA利用が始まっていた。このサマーワのケース(事案)は、陸上自衛隊が旧日本陸軍が中国侵略の際に実施した宣撫工作を「教訓」としてとりいれたもので、供与するものは武器ではなかったものの、軍事目的でのODAの実施がすでに開始されていたのである。
自衛隊は現在、海外展開任務を本来任務とすべく、海外派兵する態勢を整えつつあるが、今回のODAによる武器供与はこの流れに沿ったものである。
(2006年6月29日記・松尾 高志)
Posted: 火 - 8月 1, 2006 at 08:43 am