anpo 07/4/25


拡大する自衛隊の海外展開任務での武器使用権限

 防衛庁が防衛省に昇格し、自衛隊の海外展開任務が本来任務となった。
 そこで現在、自衛隊を海外に派兵するための法整備として、海外派兵恒久法が準備されている。内閣官房や防衛省でこの準備が進められているが、自民党の防衛政策検討小委員会では昨年8月に法案を作成している。
 ここで問題となるのが、海外展開任務を遂行する上での自衛隊の武器使用権限である。
最初にこのことが法律で決められたのが国連平和維持活動協力法(PKO法)であった。この時、内閣法制局は「隊員個人の生命・身体を守るための必要最小限度の武器使用は、憲法の禁じる武器使用にはあたらない」との統一見解を示して、「自己保存のための自然権的権利」として、自己および自己とともにある隊員を守るため」に、隊員個人の判断による武器使用として「正当防衛・緊急避難」の場合に限って、武器使用を容認した。1992年のことである。
 その後、自衛隊の海外展開任務が「国際貢献」の名のもとに、拡大するにつれて、いわば匍匐前進の形で、何回かの法改正を進めて、武器使用の権限の拡大を進めてきた。
 1998年にはPKO法を改正して、自己および自己とともにある隊員を守るためという限度はそのままとして、隊員個人の判断ではなく、「上官の命令」による武器使用に改めた。
 また、2001年のPKO法改正では、それまで凍結されていたPKF(平和維持軍)の本隊任務を解除するとともに、新たに「自己の管理下に入った者」も守る対象として規定して、武器使用の権限を拡大した。
 そして、2001年のテロ特措法では、これに加えて「武器等防護」のための武器使用も可能とし、これにあわせてPKO法でも「武器等防護」のための武器使用を追加した。
 ここまでが現状である。
 そこで自民党の海外派兵恒久法案であるが、そこでは自衛隊の海外展開任務に「警護活動」、「治安維持活動」を盛り込み、武器使用の権限については「かけつけ警護」も可能とし、さらに「ミッション(任務)や自衛隊の活動にとって「必要なものとして指定された施設・物品」の防護のための武器使用、また「通行を妨害された場合の排除」でも武器使用を可能としている。
 この問題を特集した「朝日新聞」(4月16日付)は大森内閣法制局長官は以下のように取材に答えたと報じている――「(任務遂行のための武器使用を認めるB型について)全面的に否定する憲法上の制約はない」。「A型(個人を守るための武器使用)に限定することで支障が出ているなら、武力行使にあたることを防ぐ制度的な手当てを講じた上で法律上、B型の武器使用を認めることはありうる」。
 事態がここまできていることに対して、注意を喚起しておきたい。

(07年4月18日記・松尾 高志)

Posted: 水 - 4月 25, 2007 at 07:18 pm        


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