anpo 06/10/15


安倍新内閣発足−−首相官邸のホワイトハウス化に匍匐前進

 自民党の安倍晋三総裁は9月26日、衆参両院の首相指名投票で首相に選出され、同日、自民・公明両党による連立内閣を発足させた。
「戦後レジーム(体制)からの船出」を目標に掲げ、新憲法制定を目指すことを公言する安倍首相の新しい内閣人事にスポットライトが当てられているが、しかし、今回の人事で重要なことは表の閣僚の人事と同時に行われた裏の黒子の人事である。それは、首相官邸を強化して「大統領的首相」のための体制――安倍氏が自民党総裁選挙に公約として掲げた「日本版国家安全保障会議(NSC)の新設」に向けた国家改造に着手したことである。首相官邸のホワイトハウス化とマスメディアが報道しているものである
 これは小泉前首相が個人的資質として実践したトップダウン式の政策実施プロセスを、安倍内閣では法的整備を実施し「体制化」することを目指しており、その最初の一手であったということができよう。
 26日午後4時すぎに首相官邸の記者会見室で、新内閣の閣僚を発表するにあたって、塩崎泰久官房長官(初入閣)は閣僚名簿を持って現れたが、しかし、まず紹介したのは閣僚ではなく、官房副長官3人と5人の首相補佐官であった。このことは「『閣僚よりも官邸スタッフの方が大事』という安倍首相の思いがにじむかのような光景」(「毎日新聞」・9月27日付)だった、と報道されている。
 まず、官房副長官であるが、官僚のトップであった事務の副長官のポストにこれまでの慣例を破って、民間から的場順三氏を起用したことである。従来はこのポストは旧内務省系の旧厚生省や旧自治省などの事務次官経験者をあてることが慣例となっていた。今回はそれを廃して、安倍首相の父・安倍晋太郎時代からのブレーンであった的場氏をあてた。同氏はもともとは大蔵官僚であるが、16年前に国土事務次官を最後に退官して大和證券理事長の職にあった。事務の官房副長官は閣議案件を事実上決定する事務次官会議を主宰し、官僚間の調整が主務であったが、安倍首相はトップダウンの政策決定プロセスの鍵としての役割を果たすべく、的場氏を起用したものといえる。
 次に首相補佐官であるが、内閣法の規定では5人の定員枠全部を初めて活用し、首相補佐官にもスタッフをつけるとの措置を初めてとった。安倍首相は全閣僚の写真撮影後に、異例にも首相補佐官5人と官房長官、官房副長官3人の写真撮影を行い、この人事の重要性をアッピールしている。首相補佐官の法的権限は明確でないために、安倍内閣ではこのことを明確にする内閣法の改正を企図している。
 首相補佐官で注目されることは、ホワイトハウスの名称と同じ「国家安全保障」担当がおかれたことである。小池百合子前環境相がそのポストに任命されたが、彼女の主要な任務は「国家安全保障会議」設立に向けた準備である。これも法整備が必要である。なお、国家安全保障担当首相補佐官(小池氏)のスタッフとしては、9月27日、官僚から公募した井上一徳氏(防衛庁官房参事官)が任命された。

(06年9月28日記・松尾 高志)

Posted: 火 - 10月 17, 2006 at 11:32 am        


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