anpo 07/5/15
「同盟変革=アライアンス・トランスフォーメーション」を推進−−安倍内閣初の「2+2}(日米安全保障協議委員会)の合意
安倍首相は就任後初めてアメリカを訪問し、4月27日、ブッシュ米大統領とキャンプデービッドで首脳会談を行った。この会談で安倍首相は日米関係について「ゆるぎない同盟」という新しいキャッチフレーズを持ち出したが、その内実は小泉内閣が構築した到達点を確認するというものである。そのことは会談後の共同記者会見でブッシュ米大統領が「われわれの同盟--これはグローバル・アライアンスだが」と述べたことによく現れている。安部内閣は小泉内閣の対米路線を継承し、さらにそれを強化することをブッシュ米大統領に誓約したのである。
こうした安倍・ブッシュ会談での合意のステップを踏んだ後、5月1日にワシントンの米国務省で開催された安倍内閣の下での初めての「2+2」(日米安全保障協議委員会)では、これまでの小泉内閣の下で進められてきた日米同盟の強化を再確認し、さらにそれを発展させる内容の共同文書をとりまとめた。
この共同文書について、マスメディアはその中にふくまれている「GSOMIA(ジーソミア=軍事情報包括保護協定)」、「秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する両政府間の実質的合意」に焦点をあてて報道した。このことは、それとして重要なことであることには間違いではない。協定が締結されれば、それに基づく秘密保全の措置が義務付けられると同時に、国内法によってそのことを担保しなければならない義務を新しく日本政府は負うこととなる。それは当初は秘密保全義務を負った者に刑罰は限られるであろうが、その次の段階に進めば国民全体をカバーする機密保護法制の確立に事態は進むことは明らかであるからである。
だが、「2+2」で合意したのはより広範な、日米同盟の深化の構造全体であって、共同文書のタイトルがそのことを如実に物語っている。そのタイトルははっきりと「同盟の変革(アライアンス・トランスフォーメーション):日米の安全保障及び防衛協力の進展」である。
「現在の拡大する日米協力日米協力が、数年前(years
ago)に始まった同盟の更新(update)及び強化(consolidate)のためのこれまでの努力によって可能となった」と共同発表文は述べている。
共同文書の構成は、小泉内閣の下で推進されてきた、マスメディアが報道するところの「米軍再編」=基地問題の文脈が視野狭窄であることをあらためて示し、この間の日米の軍事・外交協議の内容が「同盟変革」であることを示している。
共同文書は5部構成となっており、まず「Ⅰ・概観」では「日米同盟の変革(アライアンス・トランスフォーメーション)が重要である」ことを確認し、「Ⅱ・共通の戦略目標」では05年2月の「2+2」の合意を確認した後、それをベースに新たな、具体的な政策目標を示している。
「Ⅲ・役割・任務・能力」では、05年10月の「2+2」の合意の文書名:「日米同盟:未来のための変革と再編」をあらためて記述すると同時に、「閣僚は、この同盟の変革に関する構想に沿った役割・任務・能力の進展を確認」するとしている。この合意文書は米軍部では、その文書の頭文字をとった「ATARAレポート」と称して重視しているものである。そして、その内容をさらに深化するものとして、①自衛隊の海外展開任務、②日米共同作戦計画策定の過程での「関係省庁の積極的な参加」、③GSOMIAの実質的な合意、④二国間の「化学・生物・放射線・核(CBRN)防護作業部会の設立、⑤危機およびそれ以前の「柔軟な二国間の省庁間調整メカニズムの改善」、⑥日米共同訓練を列挙している。
これらの実施が「ATARAレポート」で合意された10項目のグローバルな日米共同作戦の実施に加え、新たに日本政府に義務付けられたことの意味は大きい。
「Ⅳ・再編ロードマップの実施」がいわゆる米軍再編=基地問題である。そして「Ⅴ・BMD及び運用協力の強化」でミサイル防衛について詳述している。
このように、今回の「2+2」は小泉内閣の下での「同盟変革」のプロセスを総括するとともに、安倍内閣としてそれをいっそう深化させることを合意したものである。
(07年5月8日記・松尾 高志)
Posted: 火 - 5月 15, 2007 at 06:00 pm