anpo 06/07/15
「日米グローバル・アライアンス」を宣言−−−小泉・ブッシュ共同文書の意味する
小泉首相は6月29日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と首脳会談を行い、会談後、「新世紀の日米同盟」とのタイトルの共同文書(ホワイトハウス発表ではファクトシート・Fact
Sheet)を発表した。
外交文書の形式としては、「宣言」や「共同声明」よりも格が下の扱いであるが、しかし、首脳会談で合意した文書であることに変わりはなく、ほぼ同時期に日米両国のトップの座にあった両者がこれまでの約5年間の日米安保関係を総括し、かつ、今後のそれぞれの後継者を規律するものとしての意味をもっているものと言えよう。
共同文書の内容からすれば、橋本・クリントンの「日米安保共同宣言」に匹敵する、日米安保体制の新たな段階を画する文書だということができる。
その最大の特徴は、橋本・クリントンの共同文書が米軍と自衛隊の共同作戦の範囲を「周辺地域」(アジア太平洋地域)に拡大することを宣言するものであったが、小泉・ブッシュの共同文書は米軍と自衛隊の共同作戦を「グローバル(地球規模)」に拡大することを宣言するものとなっていることである。
そのことは共同文書のまえがき部分で「両首脳は」「21世紀の地球規模での協力(Global
Cooperation=グローバル・コーオペレーション)のための新しい日米同盟を宣言した」と明記していること、また、結語部分でもう一回、同じ「地球規模での協力」をくりかえして、「両首脳は」「地球規模の協力関係が今後とも益々発展していくことを共に希望した」と記述していることにあらわれている。
また、グローバルな日米両軍の共同作戦の実施が日米安保条約のどこにも根拠規定をもたないことを反映して、今回の共同文書では「日米安全保障協力」との文言はミサイル防衛と有事法制の整備についてふれた箇所だけに限定的に使用されている。
そのことは日米軍事協力関係が、もはや日米安保条約に規律された日米安保体制という文言で表現される実態から大きく踏み出して、日米安保条約に全く根拠をもたない軍事行動を展開するという方向性を打ち出していることから、「日米同盟」と表現するほかないことを意味している。
この日米共同作戦の実施の範囲を「周辺地域(アジア太平洋地域)」から、「グローバル(地球規模)」に拡大させる触媒が「在日米軍再編」協議と称される、ここ約3年間の日米軍事・外交協議にあったことが、この共同文書で以下のように明記されている――
「両首脳は、2005年2月の共通戦略目標の策定や、日米同盟を将来に向けて変革する画期的な諸合意が行われたことを歓迎した」。
ここで言う「画期的な諸合意」とは「2+2」の三つの共同文書(2005年2月、2005年10月、2006年5月)を指していることは明らかである。
注目すべきことは、そのことが、「日米同盟を将来に向けて変革する」(transform
the
alliance=トランスフォーム・アライアンス)ことについての合意であったことをこの共同文書が明らかにしているということである。
まさに今、同盟変革(アライアンス・トランスフォーメーション)が稼働しているのである。この変革のプロセスは今後8年を目途としており、それは日本の改憲のプロセスと同期していることに注意を喚起しておきたい。
(06年7月7日記・松尾 高志)
Posted: 火 - 8月 1, 2006 at 08:44 am