anpo 06/08/25


日米グローバル・アライアンス(世界の中の日米同盟)を打ち出した防衛白書

 額賀防衛庁長官は8月1日の閣議で、2006年度(平成18年度)版・防衛白書(タイトルは「日本の防衛」)を報告し、了承された。白書は同日、公表された。
 今年の防衛白書の最大の特徴は、これまで複数章に分散して記述されていた日米安保体制に関する記述を、新たに章を起し(第4章)、「日米安保体制の強化」とのタイトルの下に一つにまとめられたことである。
 ここで指摘しておきたいことは、防衛庁が同時に防衛庁HP(ホームページ)に掲載した英文版との対比である。英文版では日米安保体制の「体制」が「Arrangements(アレンジメンツ)」とされている。「アレンジメンツ」とは日本語に訳せば「諸取り決め」であり、これは今日の日米安保「体制」が安保「条約」の枠組みを越えていることを端的に示している。
 その意義についての記述はこのことをさらに一層、明確に示している。
 意義については3段階に区切って(筆者の理解によれば三重の同心円の構造として)説明している。
 ①「日米安保条約に基づく日米安全保障体制(日米安保体制)」=わが国防衛の柱
 ②「日米安保体制を基盤とする日米同盟」=日本・アジア太平洋地域(の平和と安定のための不可欠な基礎)
 ③「同盟に基づく日米間の緊密な協力関係」=世界(における多くの安全保障上の困難な課題に効果的に対処する上で重要な役割)
 これは①が武力攻撃事態、②が周辺事態、③がグローバル事態であることに照応させているものである。このうち、①のみが安保条約を根拠としており、②は基地提供が安保条約に根拠をもち、それ以外の自衛隊の兵站支援作戦などは条約に根拠がなく、③は条約には全く根拠がないことに対応しているのである。
 英文版では①が「Arrangements」(アレンジメンツ=諸取り決め)、②が「alliance」(アライアンス=同盟)、③が「partnership」(パートナーシップ=協力関係)と訳し分けられている。
 以上のことは何を意味しているかと言えば、タイトルの表記のように、小泉政権下で日米安保体制がまさに、これまでと一線を画するほどの「強化」の方向に踏み出したということである。そのことはこの第4章の記述が、読めば一見して明らかなように、全49ページのうち、小泉・ブッシュ時代に進行した「日米同盟の変革」のプロセス(2002年12月から2006年5月までの間の軍事・外交協議)を記述することに約半分の26ページを割いて、その記述に終始していることから明らかであろう。
 その意味で今回の防衛白書は「世界の中の日米同盟」(US-ジャパン・グローバル・アライアンス)に踏み出したことを宣言する白書であるということが言えよう。
                     (06年8月18日記・松尾 高志)

Posted: 水 - 8月 30, 2006 at 05:37 pm        


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