新型BMW320の超精密機械的フィーリングに驚かされる。


Alfaのエンジンような、まるでオペラ座の怪人の様な劇的な高揚を伴う展開ではないが、緻密なエンジンフィールが抵抗もなく頂上に上り詰めて行く様は正しくアンドロイドが歌い上げる完璧な演奏の如しである。

賛否両論が巻き起こったBMWのデザインの変化であるが、最近はみんな慣れて来たようだ。今回はそのデザイン性を中心に話題になっている、BMWの新型3シリーズ を試す事が出来たので少しだけリポート。
今回はベーシックグレードとなる320iに乗ってみた。

デザイン革命進行中?
Z4以来BMWのデザイン革命を引っ張って来たデンマーク出身のデザイナーであるクリス・バングルによるボディワークであるが、ダイナミックな曲線と直線の見事な融合を感じさせるオーガニックなデザイン手法はこの車でも健在。
個人的には7,5よりも更に完成度を高めたと思う。

特にフロントのバンパーのデザインは車をとりまく輪郭線の連続性を全くスポイルせずにスポーティーさを表現する事に成功していると思う。1シリーズの時にも感じられた事ではあるが、どこかアルファロメオっぽい逆テーパーラインの使い方等は精密機械としての印象が強いBMWに、”優雅さ”という新たな表現領域を与えたのではあるまいか。動力性能等の実用面以外にもBMWはデザインコンシャスなメーカーへ大変貌を遂げたと私は思う。

内装
内装を見て直感的に思ったのはコンソール回りのデザインやドアトリム等のデザインが非常にスタイリッシュであるという事。しかも男臭くないデザインなのだ。数種類の内装パターンが設定出来るが、どれもスタイリッシュ。
ベーシックグレードはアルミパネルで無く、アルミ風なのだが、質感においては日本車のそれと同等かそれ以上である。
この質感ならベーシックグレードで良いなと思う。
外装同様に、どこかB&Oのオーディオの様な、主張しすぎない心地良さを感じさせてくれる。北欧モダン風のテイストがドイツ自動車産業の雄にまで影響を与えたのは興味深いポイントだ。

シート
運転席に関しては、いつものBMWのように、ハンドルに対して若干近めのポジションをとり易いように各部がレイアウトされている。
シートポジションが高めのアルファと比較してかなり低めのその運転ポジションは座るだけでレーシーさが漂うようだ。
やはりBMWの運転席に座るとワクワクしてくる。この”感じ”はこの会社の哲学を表す物であろう。
ホイールベースが長めな事もあって後部座席の居住の安楽性は特筆すべき点であろう。お客様の送迎用としても遜色無い出来で、後部座席の頭上のスペースも身長176センチの筆者にとっても十分であった。背もたれの倒れ具合も実にコンフォートである。

トランクルームは良く出来てる!
当サイトの価値基準の一つである、ワインの箱買いへの対応であるが、ポジションが絶妙で荷物の出し入れをし易く、リアサスペンションの張り出しが極限まで小さくなっている御陰で、5〜6ケースは入ってしまう。 そしてトランクルームから後部座席のシートを倒せるので、スキー板や釣り竿なども楽に収納出来る。ハッチバックのようにリアシートを分割して倒せる仕組みも持っている。
急に荷物を積まなくてはならなくなってもこの容量なら妥協はあまり無いだろう。
荷物スペースの充実ぶりから感じるのは、収納性という観点だけで見れば、これならステーションワゴンは要らないのでは?というくらいの出来である。

動力性能
走り出しで感じるのはこの排気量の車にしてはとても低速トルクがあるので発進加速時に一切のストレスを伴わない事だ。
車内の軋みや振動もなく、ドライバーは目の前の目標だけを見据えて運転に集中出来る。集中力の演出力はお見事。

静粛性が高いのは他のBMWセダンにも共通の美点。キャビンと外界を隔てるこの感覚はドイツ車らしい重厚な物。
ドアを閉めればBMWの世界への入り口なのだ。
どちらが良い悪いという意味ではなく、ラテン車とは比較した際の根本的コンセプトが違うのだ。

車の剛性感は先代に比べて数値上のスペックとしては上がっているのだろうが、先代でも十分だと思えた。筆者には違いが判らなかった。
ただし、小刻みな轍等から連続的な入力を受けた際の衝撃のいなし具合の絶妙さを見ると、ボディ剛性の強化は微妙に乗り心地等に寄与していると思われる。(タイヤ性能も非常に大きい。)乗り心地はメチャクチャ良いのである。

エンジンフィール
Alfaのエンジンようにまるでオペラ座の怪人の様な劇的な高揚を伴う展開ではないが、緻密なエンジンフィールが抵抗も無く頂点に上り詰めて行く様子は正しくアンドロイドが歌い上げる完璧な演奏の如しである。
回転が上がって行く際の抑揚は感動的なのだが、アルファロメオのように、どこか人間臭い危ういシャウトではなく、予定調和の中での完璧なシャウトなのだ。5千回転以上の回転域でも不快な振動も無く7千まで一気に回り切る。

バルブトロニックを採用した2Lの4気筒エンジンはやはり現代最高の4気筒の一つである事は一度乗れば、誰でも感じられるだろう。

キャビン内に届く排気音は、ドライバーにとって一番心地良く、同時に運転中の必要な感覚の部分を司るサウンドだけを上手く取り入れているようだ。それは正しく数学的割り切りを持った、ドライバーズカーとしてのアプローチが感じ取れる。

ハンドリングは確実&ブリリアント!
やはりFR車らしい正確さと、安定性を持っている。路面状況の必要な情報だけをステアリングを通してドライバーに対して伝えてくる。
これは筆舌に尽くし難い高度な部分だ。FF車よりハンドルに振動が伝わってこないのも美点。
通常使用では非常に手堅いが、いざ飛ばしても安心感と確実性に全く変化が見られない。これはどの速度域でもブリリアントな操縦エクスペリエンスを与えてくれる重要な要素だ。

ステップトロニックというマニュアル変速モードの完成度は高いがずぼらな筆者はDレンジに入れておき、足先だけで十分にドライバーの意思に順応してくれた。さすがにシフトダウン時にブリッピングはしないけど、路面状況に応じて燃費効率も考慮に入れた的確な変速をしてくれる。最近のZF製のATはやはり出来がいい。

オーディオは?
可もなく不可もない音質であるといえるが、標準搭載のオーディオとしては手堅くまとまっている。
但し、静粛性に助けられている性もあって効き易い音響空間を形成する事は成功している。
強いてセールスポイントを挙げれば、BMWは"iPod Ready"になっている所である。補助入力に差し込むだけでiPodの音楽を楽しめるという。

まとめ
BMWと言えば6気筒という声が良く聞かれるが都市生活者には4気筒モデルの320こそがバランスにおいて最高の選択だと思えた。
シルキ−6ならぬシルキ−4は環境等に配慮しつつスポーツドライイングを実現する鍵ではないのだろうか。
都内走行時の燃費は8=9キロと先代より重量増と化した車にしては極めて良好。原油価格高騰のこのご時世において、毎日足代わりに使う人にとっては大いなるアピールポイントにもなり得る。

それにしても、しっとりして緻密なエンジンフィールにくらくらしてしまった。スタイリッシュなデザインも極めて現代的だが、飽きのこないデザインであろう。クリス・バングルの作品群としては最後発なので最も完成度は高く感じられる。
同氏は巨匠への道を歩き出しているのではないかとも思える。

走りに関してはアルファと比較したら、個人的には、逆にアルファのエンジンの持つ古き良き伝統芸術の楽しさが光ったのも事実。
とにかく180度違う表現手法が大いに楽しめた。
都市型万能型セダンを考えるならこの車はベストな選択肢ではないかと思う。もう少し安いと良いのだが...

■関連リンク:
→BMW http://www.bmw.co.jp

Posted: 月 - 9 月 26, 2005 at 12:08 午後          

新型BMW320の超精密機械的フィーリングに驚かされる。
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