ようこそ


 このたび地球上にて新生活を始める知的生命体の皆さん、そしてあまり知的でない生命体の皆さん、当ブログ「open minded」へようこそ。

 このブログはエイプリルフール社(お察しの通りこの会社は本日4月1日が設立記念日である。以下某社Aと呼ぶ)の提供により、渋谷区と新宿区のほぼ全域、そして世田谷区、港区、千代田区、目黒区の一部地域、文京区、中央区に点在する特定地域、さらには港北区、緑区、東灘区、長田区、須磨区、高津区、中原区といった23区以外の指定地区において生息するヒト科ヒトの頭蓋内に存在するマインドをハイクする目的で、昼夜を問わず気が向いたときに更新されている。もちろん、南極大陸の地中、いや氷中に存在する南極哺乳類コミュニティ区、さらにはディオファントスやオイラーといった節足クレーター区の生態系も対象となり得る。

 そうは言っても、対象地区においての役立つ地域情報や、暮らしの知恵などといった話題を期待してもらっては困る。そのような話題は、GとかYなどの一般的なジ・インターネット・ツールを使って各自おのおの、几帳面に生真面目に検索を続けていただきたい。ヒトの生き方というものは、そうやって検索し続けていれば自然に見つけられることになっている。どうかしちゃったヒトならば、どうかしちゃったツールを使い、どうかしちゃったネットワークですべて自足できるはずである。

 もっとも、このブログ「open minded」もドットマック・チャンネルによって、ご覧のとおりジ・インターネット/ワールドワイドウェッブにて公開されている。ジ・インターネット/ワールドワイドウェッブなどと大層な名前が付けられているが、この地球を覆うさまざまなネットワークの中の一つに過ぎない。ある特定機関によって緩やかに管理された局地的なローカル・ネットワークに過ぎない。ローカルに過ぎないがそれでも、AppleLink の崩壊、eWorld の水没などを経た今となっては公開先として他に選択肢はない。

eWorld

 このブログを提供している某社Aの調査によって、ジ・インターネット/ワールドワイドウェッブを運営管理しているある特定機関の隠された実態が一部明らかにされつつある。この特定機関というのは、ロサンゼルスにある民間非営利団体で、総務を担当する部署のチーフ・マネジャーが実はたこ焼きが大好物だとか、校閲等が主な業務である他の部署の部長クラスのオッサンが受付嬢とイチャついているといった目撃情報などが確認されている。某社Aはこの春、全社をあげて(ったって一人しかいないんだが)本格的な浮気調査や好物嗜好調査に乗り出す模様である。
 このことは、新生活を始める皆さんが、これからお使いになる電子メールやWebといった各種ツール群の基幹技術にも影響する。自分が送信したメールが相手に届かないとか、設定など特に変更していないのにスパムメールが急に減ったとか、あるWebページの表示が極端に遅いとか、そういった時には決まって某社Aの調査員が夜の裏通りを靴音高く駆け抜けている時であると考えていいだろう。調査員はこの民間非営利団体のすべてのフロアを熟知していて、ワイングラスの底に耳を当てて情報をキャッチしている。ただしその度にワインを飲み干しているので、常に赤い顔をしていて足元もおぼつかないのが現状である。明け方、調査を終える頃になると、せっかく仕入れた情報もどこへやら、ヘベレケになって通りを千鳥足で歩く調査員の姿がしばしば目撃されている。

 さて、新生活を始められた皆さんなら、すでにお察しのとおり、当該地域では無差別に創発された情報が、即座に変容しながら一刻も休むことなく乱れながら増殖している。ノイズまみれになった情報も、一定の秩序に則った情報も、同時多発的に創発され、瞬時にその姿を変え得る。

 説明しよう。
 “午前二時”という情報に対しては「おいおい、もう午前二時だよ」と「まだ午前二時かよ」というまったく別の情報がほぼ同時に創発される。“二時”とか、あるいは“午●二時”というノイズ混じりの情報しかなければ、午前か午後かを推測しなければならない。“にじ”だけならば、二時なのか二次なのか二字なのか、もしかしたら“虹”かもしれない。読み違えて“西”だと勘違いしてしまうかもしれない。“にじ”を“こし”と読み違えれば“腰”になってしまう。“二時”という情報は“虹”にも“西”にも“腰”にも変容し得る。つまり例えば「もう午前二時かよ・・・」と「うわぁ虹がきれいだ」と「いやぁ腰痛がひどくて・・・」とは、実はそれぞれすぐ隣り合わせにある情報である。

 当ブログでは、これらのノイズ混じりの情報が同時多発的に創発されるそれぞれの現場に着目している。人工的に創発された情報、何者かが意図的にバイアスをかけた情報、その結果、臨界点に達する情報創発の連鎖反応。当ブログが注目するのは、その言わば“臨界事故”によって混沌となった迷走する情報群である。
 発信された情報は、ほとんど常に発信者の意図に反して、受容側のニーズに沿って変容する。ヒト科ヒトは自分が受け取りやすい方法で常に情報の意味を変えている。「もう午前二時かよ」という情報は、受容側の一方的な都合によって「西の空にかかるきれいな虹」に変容し得る。受容側が情報を自分の方に引き寄せる行為、“にじ”を自分の手で掴もうとする行為、すなわち“にじ”にかかっている重力も当ブログの観測対象だ。当ブログが解き明かそうと試みるのは当該地区に生息するヒト科ヒトの頭蓋内マインドが引き起こす、この“重力の虹”現象にほかならない。

 ご存知のとおり、皆さんがこれから新生活を始めようとしている当該地区のような人口密集度の高い地域は、銀河系の中でもこの地球上の一部地域以外には存在しない。おもに赤道付近と北半球に多く存在するこれらの地域(もちろん南半球にもいくつか存在する)では情報は急速に転移し、同時に急速に乱れる。当ブログが“重力の虹”現象と呼んでいる情報の極端な乱れは、これらの地域で数多く確認されている。その意味でもこの地域は銀河系内でも特殊な地域、特異点と言っていいだろう。

 また、当ブログのテクストは、地球が赤道直径約12,756kmのほぼ球体の天体であるという説に基づいて書かれる。この説は地球上のヒト科ヒトの半数以上が信じているが、地球平面協会をはじめとする一部のヒトのあいだでは、地球はどこまで行っても平面であるとしているし、一方では、地球はたしかに球体であるが地表とはその球体の内側を指すとする説を信じるヒトも存在する。当然のことだが、彼らは赤道とか北半球という概念は持ち得ない。
 当ブログではこれらの“重力の虹”現象によって引き起こされるさまざまな感情の創発も取り扱う。ただし注意しなければならないのは、この人口密集地域に発生する“重力の虹”現象によって直接創発されるのは感情ではなく、あくまでも情報の歪みである。感情の変化は常にその情報の歪みによって引き起こされる。
 言うまでもないが、机上に順序よく並べられた資料などや、ある特定の法則によって導き出される情報は無視する場面もある。注目するのは、あくまでも情報創発の現場である。したがって、調査員は情報収集のための高感度ワイングラスを手放すことは決してない。

 このたび新生活を始める皆さんへ。
 うすうす気付いておられる方もあるだろうが、当ブログの「open-minded」というタイトルは名目上の目標に過ぎない。実態はむしろ真逆である。“偏見のない寛容さ”などといったものはここには皆無だと言っても過言ではない。
 夜更けのバーにわざわざ入って開口一番、「もう飲めねぇ!」などと叫び、何も注文せずにウトウト寝てしまい、夜明け前に一体何を思ったか、いきなりラップトップの電源を入れて iBlog を起動し、何も書かないうちに「もう書けねぇ!」とパブリッシュ・ボタンを押し、空しいエラーメッセージを見るまえに、CPU泣かせの指さばきで強制終了するような、そんな野放図性が当ブログの特徴である。破綻した各エントリは横滑りしながら、消息不明の暗喩が増殖し続け、オチを求めて彷徨いながら臨界点へ突き進む。
 正直に告白すると、むしろ臨界点を目指している。連鎖反応による情報過多を目指している。先に触れたジ・インターネットを運営管理している民間非営利団体や、ワールドワイドウェッブのインデックス整備を目指すマウンテンビューの営利法人などは時折、情報過多に対してある程度の懸念を示唆しているが、当ブログはむしろそういった情報整備指向に対抗する一種の悪あがきのように見える。重力の虹の発生現場に急行し、情報創発の現行犯を捉えるのが、当ブログのスポンサーである某社Aの使命だ。1997年以降、成功事例は未だにひとつもないということを除けば、事業は概ね順調である。

Harmony

 1997年、正式に設立されて間もない某社Aは、とある事業契約に則ってCD-ROM二枚といくつかの書類が丁寧に封入されたパッケージを成功報酬として現物支給されたのだが、このうちの一枚のCD-ROMに収められたプログラム・コード群のコードネームが「ハーモニー」と呼ばれていたために、現在ではこの「ハーモニー」という言葉が某社Aの社訓になっている。新しい仕事と新しい家庭を得てからのこの十年間、某社Aの調査員は常にこの言葉を胸に秘めながら、夜の街を駆け抜けている。東本通り商店街や西裏通り、暗闇坂や狸穴坂、6号通りや10号通り、鼠坂や牛坂、そしてスィードゥー・ストリートやフードゥー・ストリートを日夜走り続けている。どちらかというと苦しい時の方が多かったはずだが、それでも未だに走り続けていられるのはこの「ハーモニー」という言葉の力が関係している。

 このたび新生活を始める皆さんへ。
 どの地域を選ぶのかは、当然ながら皆さんの自由である。どのスタイルを選ぶのかも自由。どの検索エンジンを選ぶのかも自由。どの生き方を選ぶのかも自由。どの言葉を選ぶのかも自由。
 選ぶのはすべて新生活を始める皆さんの自由である。すべては皆さんの自己責任。しかし、差し出がましいことを許諾していただけるなら、この「ハーモニー」という言葉が、これから新しい仕事、新しい家庭、そして新しい生活を始める皆さんの心の支えのひとつになれば幸いである。
 ご幸運を!

Posted: 日 - 4月 1, 2007 at 05:27 午後      


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