休まない耳いやぁ、もうね、休みなしですな。まったくもってお疲れさまです。雷雨だと思ったら今日は晴天で、季節の挨拶も何と言っていいのか分かりませんよ。早く寒い冬になってくれないもんかなぁと思うくらいに不眠不休です。いっそのこと年の瀬を迎えたいほど24時間営業だ。別れ際に「良いお年を」なんて言ってみたいほど休みなしです。「あけましておめでとーっ」と心の底から叫びたいほどですよ。「だいぶ暖かくなって来ましたねぇ」としみじみ言いたいほどですよ。
気が早過ぎますか。いやむしろ、遅すぎですか。別にどっちでもいいですか。あぁそうですか。 ヒトの実生活の中で、最も働き者の知覚感覚と言えば間違いなく“聴覚”ですよね。聴覚って、お母さんのお腹の中にいる時、つまり胎児の時から発達します。耳はヒトが獲得する最初の感覚器官と言っていいでしょう。 それから、ヒトが眠る時、意識を失う最後まで働いているのも聴覚だし、眠りから覚める時、真っ先に働き出すのも聴覚です。 “耳”はなぜこんなに一生懸命になって働いているんでしょうか。年中無休24時間営業と言っても言い過ぎではないのです。そして耳は聴くためだけのものではありませんよね。内耳の半規管などは、一見聴覚とは関係ない別の感覚器官のように思えます。 ヒトが普段の実生活において重要視するのは目、つまり“視覚”ですが、急に何かが起こった時、例えば何者かに襲われそうになった時に、あたりの空気の動きをとっさに察知するのは耳ですな。聴覚系の神経網は、目から入る情報よりもはるかに速く危機を検知できます。視覚系神経網が目に入ったものを伝達するのに要する時間が0.03秒なのに対して、聴覚系は0.001秒です。 目から入る情報って、網膜の光受容細胞から化学物質を介して電気的な信号に変換され、片眼で100万本程度ある軸索が視神経を形成して、脳の神経核に達しています。(参照:Wikipedia-視覚) つまり、化学物質を介するために0.03秒要するかわり、両眼で200万チャンネルの情報網でもって多角的に情報収集するわけです。 比べて、聴覚は二つの内耳が物理的な空気の振動を直接、電気信号に超高速変換します。したがってヒトは急を要すれば要するほど「いつ?」という時間感覚、時間情報は聴覚に依存する場合が多いと思われます。ただし、聴覚は左右2チャンネルのみですがね。 特筆すべきは、脳神経の一つ、内耳神経に伝達される前に内耳の各器官と基底膜と呼ばれる器官によって周波数情報が編集されていることです。(基底膜の周波数特性を発見したベケシーは1961年ノーベル医学生理学賞を受賞。参照:Wikipedia-聴覚、内耳神経) 視覚情報が、200万チャンネルもの多角化によって、ある程度テジタル風味にされ、大脳内にて(見るべきもの、見なくていいものの選別を含めて)編集されるのに対して、聴覚情報は電気信号になる前にアナログのまま、いやむしろ、アコースティックなままで聴くべきもの、聴かなくていいものを選り分けていると言えるでしょうな。 剣の達人が、とっさに殺気を感じるとか言って身構えたりするのも、彼の敏感な耳が常にあたりの空気をサーチしているからだと思うんです。左右の耳(耳たぶによる反射)が受け取る空気振動の微妙な時間差、周波数増幅減退差を察知するわけですが、左右2チャンネルでは音源位置を特定することが難しい場合もありますよね。上下前後左右ありとあらゆるところから、いつ何時危機が迫ってくるか分かりません。結局、素人は思わずクビをすくめたり、もっと情報を得ようとしてあちこちキョロキョロしてしまいますな。 まぁね、ふだんの生活で眼も耳も正常に機能しているヒトが、出来事についての情報を得ようとする時は、視覚系、聴覚系ともに総動員して、“いつ、何が起こったか”を知ろうとしますね。もちろん空気中では光より音の方がはるかにゆっくりと進んでくるので、その場合は、脳内にて時間のズレを適宜補正するんですがね。 これが左右どちらかの耳に不具合が発生したという場合には困りますな。2チャンネルしかないのに、そのうちの一つが使えないわけですからね。何らかの出来事に対してとっさに反応するのが困難になってしまいます。そしてその“聴覚”の不具合は、情報収集と編集の仕組みがまったく異なる“視覚”では、ほんの少しだけ補うことくらいしか出来ないんです。ちなみに人工的に大きな耳たぶ(アンテナ)を付ければ、たとえ片耳でも時間差、周波数差をいくらかキャッチしやすくなります。 さてと・・・。 目が見えない全盲の剣の達人は存在しますが、いや、多分いたと思うんですが、耳が聴こえない剣の達人は存在し得ないでしょうな。つまり自分の身を守る、いわゆるセキュリティの分野はやはり耳が最重要器官なんですわ。 というわけで、OKAMURAさんの耳 が早く良くなるよう祈りつつのエントリであります。 Posted: 木 - 5 月 25, 2006 at 09:52 午後 |