誕生日が二日あります


 自分が親から生まれてきた日が自分の誕生日なわけですが、自分の子どもの誕生日というのも、親としての自分の誕生日であるわけで、つまりこのわたくし誕生日が二日あります(と、【篠の風】さんエントリ を読んでそう思った)。わたくしでさえ誕生日が二日あるのだから、世の中の多くの人は五、六日か、あるいは十数日、場合によっては年間のうち数十日が誕生日だという方もいらっしゃるはず。

 今から二十年ばかり前になりましょうか、この味おいしいと言われたから今日はサラダ記念日やねんというような内容の短歌がバカ売れした時がありまして、おいおいそんなこと言ってたら一年365日すべて記念日、何かしらの誕生日になりかねないぞ、という危機感、いやむしろ恐怖感で、人と会うのも恐るおそる、会話中に「えっと、実は今日・・・」などと相手が切り出そうもんなら、そのつど背中が凍りついたものです。
 これは花屋(と担当の広告代理店)が、花束の売り上げを何とか右肩上がりに持っていこうとして全国的規模で展開した誕生日記念日キャンペーンのおかげで、花束の売値が高騰していたにも関わらず、毎日毎夕、花屋の行列に加わらなければならなかったからで、この当時の苦痛は今でもこのわたくしの心の奥底に深い傷跡を残しているのです。

 そんなわたくしのトラウマを知ってか知らずか、長女が最近、将来は花屋さんになりたいと主張しており、社会科の授業の一環でフードゥー通りの花屋さんを取材したりしている模様。いやいや、今のところ、君の誕生日はまだ一年に一日であろう。今からそんな花屋さん修業をする必要もなかろうに。
 一緒に買い物に出かけても、一人で行けるから大丈夫だと言って通りを走って行く後ろ姿を見つめながら、なぜか鼻の奥がツーンと痛くなるのは決して寂しいからというわけではなく、これ以上理不尽な記念日を作らないでいただきたいと願う父親の気持ちが、いとも簡単に後ろ足で蹴り飛ばされてしまうからで、結局こちらはトボトボと一人で通りを引き返す秋の夕暮れ。

 ふぅーっ・・・。
 そうは言っても、自分が子どもの頃のことを思い出すと、それなりに自分の誕生日を何日か作り出していて、つまり何かことあるごとに蛹から生まれ変わるように新しい気分で朝を迎えるという繰り返しだったことは確か。それはちょっとしたきっかけ、例えば新しい音楽に触れたということだけで充分なのでありました。


 さてと・・・。
 突然ですが、誕生日を迎えられたぼらさん のエントリ「ROCK ALBUM BEST 100 」より。

そのようなわけで、多忙なひととき、スターバックスでエスプレッソなどをすすりつつ、じぶんなりのランキングを考え、アタマのなかに結石などをつくってみるのもヒネたオトナにふさわしい過ごしかたではないでしょうか。


 そういうわけで、すっかりヒネたオトナのわたくしの場合、十代の頃の自分の誕生日を作った ROCK ALBUM ベストテンです。ジャカジャン。

1. The Doors「Morrison Hotel」(1970)
2. Yes「Fragile」(1971)
3. Led Zeppelin「Houses Of The Holy」(1973)
4. King Crimson「Red」(1974)
5. Frank Zappa「One Size Fits All」(1975)
6. The Rolling Stones「Black And Blue」(1976)
7. Pink Floyd「Animals」(1977)
8. The Rutles「All You Need Is Cash」(1978)
9. Talking Heads「Fear Of Music」(1979)
10. David Bowie「Scary Monsters」(1980)

 このわたくし1960年生まれですので、70年代というのはそのまますっぽり十代でありまして、実際のところ、この十枚の裏側では別のレコードを聴いていたのですが、今回は一応表向きの ROCK ALBUM ベストテンということで。

 この70年代という十年は、わたくしが自分の親と少しずつ疎遠になって行くというか、そんな十年であったような気がします。最後の三年間は実家を出ていたし、そのうちの最後の一年は連絡さえも取っていなかった。このレコード達をもう一度俯瞰してみると、当時、一年ごとに誕生日が増えていたような気がしていたのはまったくの幻想で、結局のところ最後にはすべて失われてまた灰に戻った、そんな十年であったのかもしれません。そういう意味では、本当に生まれ変わって再び誕生日を迎えるのはもう少し後になってからの話。

 日々の日記@カテゴリ、ヤマタツ生きてます。誕生日が二日あります。

Posted: 水 - 10 月 31, 2007 at 01:17 午前      


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