東海道中寒冷化
ふぅーっ・・・。
あ、いきなりため息で始まって申し訳ありません。なんかね、腰痛っぽいんですよ。いやむしろ、身体のあちこちが痛むんですわ。新幹線に乗ったのがいけなかったんでしょうかね。えぇ、こないだ乗ったんですよ、新幹線。
先週、某社のちょっとした販促ツールなどというものが出来上がって、製作会社にデータを持ち込んだんですけど、話はそこから始まります。
千代田区にあるその会社へは自転車で行ったんですよ。右手でハンドルを握り、左手はデータを焼いたディスクの穴に人さし指を突っ込んでくるくる回しながら(いや、これはウソですけど)呑気に靖国通りを駆け降り、市ケ谷からは外堀を眺めながら調子よくペダルを漕いだりしてね。
まぁね、データだけならサーバに放り込めばそれで済むんですけど、色んなサンプルや資料などがあったので、軽いくせに妙にかさばるそれら諸々を頭の上に乗せて行ったわけです。あっという間に風で吹き飛ばされるということを数回体験しながらも、その会社までどうにかたどり着きました。
そうして、そのままその会社の受付を通って、担当者がいるはずの部屋のドアを景気良く開けてみたら、スタッフは全員不在で部屋も静まり返っています。で、時折何やら血相変えて人が走り込んできてはすぐに出て行ったりというどうやら何かトラブルのご様子。よく見ると部屋の奥にはナントカ部長と呼ばれているしかめっ面で腕組みの絵に描いたようなオッサンがひとり座っています。いつもは威勢のいいそのオッサンが、今日は自分の顔を覆ったり、やっぱりまた腕組みをしたりで落ち着きません。「○○さんは外出ですか?」と尋ねたら、オッサンはこちらを見ようともせずに「今ちょっとね・・・」と眼差しもうつろです。
これはただ事ではないなと思って「どうしたんですか? 賞味期限切れのものを出荷しちゃったんですか? それか払い込まれた年金掛金を使い込んだとか? それとも個人情報流出?」などと時事ネタを盛り込んだ皮肉を他人事のようにかましてみるも暖簾に腕押し。まぁね、部外者にあれこれ口を滑らせるわけがないなと思い、すぐに立ち去ろうと荷物を言付けようとしたら急にそのオッサンが「ちょっと、○○に連絡取ってみます」と電話をかけ始めます。で、こちらにすぐに変わってくれるのだろうと思いきや、自分たちで長々と話し込んでしまって、何やら雲行きが怪しくなってきています。こちらの存在など眼中にないのか、オッサンの語気はさらに荒くなっていき、もはや怒号といっても過言ではない状態になってしまいます。
もちろん禁煙であるそのオフィスの床に煙草の灰を落としながら、その怒号をしばらく聞いていたわけですが、オッサンが受話器を耳に当てたままこちらをジロリと睨むたびに、おっとっとすいません、などと携帯灰皿を取り出すという、ムカつきながらもまだお茶目な心の余裕が残っていることを身体で表現しつつ時が過ぎていきます。
オッサンの電話のやり取りでだいたい状況把握できましたが、ようやく変わって電話口に出てみると案の定わたくしの担当者です。「いやぁ、ちょっとトラブっちゃいまして戻れないんです。だからそのサンプルとデータを便に乗せられないんです」と半泣きの苦笑い。その会社の実際の製作現場ってのは地方にあって、そこへ今日中に持ち込むはずだったのに別件のトラブルの所為でどうにもならんということで、彼は羽田から一歩も動けない模様。「そういうことだったら自分で行ってもいいっすよ、どうせこの後ヒマだし、製作現場まで持ち込みますよ」ということでその足で東京駅から新幹線に乗ることになりました。
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いやぁ、もうね、寒いですな。まったくもって極寒です。凍え死ぬかと思いましたよ。思わず「寝たら死ぬぞ」と叫びたくなるような、東海道死の彷徨です。「おいおい、今の季節、お寒いのはオマエの繰り出すオヤジギャグと、それからオマエのフトコロだけだろ」とお思いのあなた、まぁね、当たってなくはないんだが、失敬ですぞ。
何が寒いって旦那、東海道新幹線の車中です。一時間ちょっと寝てたんですけど震えて目覚めましたよ。世間では何やら地球温暖化とやらで、訳知り顔が声高にアピールしておりますが、新幹線車内はこの先、長い氷河期の予感ですな。今後、東海道新幹線に乗る時は毛布必携ですよ、奥さん。
ということで、JRに対するそんな皮肉をブツブツ言っている間に降りるべき駅に到着しました。むしろ、ここで目覚めて良かったですよ。まぁ、降りてみるとやっぱり暑いんですけどね。
なぜ、こんなところまで来なければならなかったのかということは、RSS配信文やその他某日記文などをお読みいただければ分かりますが、仕事です。仕事なんですが、向かうべき現場の近くには温泉などもあるとかないとかで、ちょっと遊び半分の気持ちも心の片隅にあったことは正直に告白しなければなりません。
それでも、任務は最後まで遂行しなければならないことをどうにかこうにか思い出して、軽いくせに妙にかさばる荷物を片手に駅の改札を出ようとすると、二人のスーツ姿の若者が行く手を阻みます。そしてその改札を出たところで、待ってましたと言わんばかりにその荷物を奪い取り、「どうもご苦労様でした。それからこれを東京へ持って行って所長にお渡しください。今日は本当にありがとうございましたーっ」と言っています。つぅか言いながら走り去って行きます。
ふぅーっ・・・。
どうやら任務終了です。新幹線の駅の改札を出て数秒後に任務終了です。「えーっと温泉は・・・」という一人立ち尽くすこのわたくしのボソボソが空しく駅構内に反響しています。
周りにはポツポツとホテルが立ち並んでいるものの、他には住宅地しかないような私鉄沿線の郊外といった風情のおおよそ新幹線の駅らしくない周囲を眺めながらベンチに座って缶コーヒーを片手に煙草を一服して、それから再び改札口を通り、ホームへ上がって、新幹線のくせに妙にノロノロと走ってくる上り列車に乗ります。停車している時間の方が長いんじゃないかと思われるような怠慢運転で、再び寒さに震えながら東京へ向かいます。「おい、ホンダのF1で培った空力設計が採用された川崎重工開発の車両に乗せろよ。この二輪車メーカーとしてはライバル同士の技術の粋を集めた車両に乗せろよ」などと愚痴を言いながら東京へ向かいます。新幹線の駅前の風景としてはやっぱりわたくしの故郷のあの駅に勝るところはないと確信しながら東京へ向かいます。いっそのことその美しい駅前を見るために東京とは逆方向の列車に乗ろうかとさえ思ってしまいますが、それでも未だミッションは完遂されていないのだと自分に言い聞かせながら東京へ向かいます。
ようやくたどり着いた東京駅ではまた妙な奴らが張っているんじゃなかろうかとビクビクしながら、改札口をすばやくスリ抜け、コンコースもジグザグに小走り、中央快速へのエスカレーターに乗ろうとしてトイレの方へ急に引き返すといった某国諜報部員も顔負けの動きで追っ手を撒くという念の入れようです。そうして冷えた腰をさすりながら、お茶の水の坂道をひとり歩いて東京での任務も終了。もちろん「ガキの使いやあらへんで」という捨て台詞も忘れません。
日々の日記@カテゴリ、ヤマタツ生きてます。温暖化を待ちながら。
Posted: 火 - 7 月 3, 2007 at 12:38 午前