一人歩く夜
すれ違いざまに「わたし、これからここで倒れます。救急車を呼んでください」と言いながら、男がこちらに向かってフラフラとよろめいてきたので、とっさに男の両手を見てナイフ等の凶器を持っていないかどうか確認し、男のグレーのジャケットに不自然な膨らみがないかどうかチェックし、右腕をつかんで路肩に座らせ、その右腕を背中の方へ押さえておいて、ジャケットの胸ポケットに挟まれているクリップ付きのボールペンを外して下のポケットの奥へ押し込み(ボールペンも時として立派な凶器になるので)、あたりを見回して人がいないか探してみるも、ここは靖国通りから入った路地、意外に人通りの少ない午前零時の新宿五丁目裏通り。
119番に現在地を教えて、おそらく新宿一丁目から来るだろうから二分もかからないだろうと思っていたけど、実際は五、六分、いやもう少しかかっていたかも。
その間、その三十代くらいの男はブツブツとうわ言のように何かしゃべり続けていて、広東語だということは分かるんだが、内容はまったくもって意味不明。救急車を呼んだ時点で、今夜はしばらくのあいだ四谷警察で事情聴取かもなぁと少しガックリきていたんだが、これがまったくの予想外で、救急車に乗せたところでボクは無罪放免。彼が必死の形相で、この人は関係ない、わたし助けてもらった、あなた達を呼んでもらっただけ、と救急隊員に訴えたおかげ。
救急車はあっけなく走り去って、残されたボクは、これってもしかしてドッキリなのかとテレビカメラがないかあたりをキョロキョロ。あの男は旅行中なのか近所の住人なのか。悪いヤツではなさそうだけど、何かプレッシャーを受けているのか、ストレスをため込んでいるような感じ。
救急車に一緒に乗ってやればよかったかなぁと、その時にはこれっぽちも思わなかったことを、後になって思い返したりして、まるで、つきまとわれるとうるさがるけど、そっけなくされると寂しがる身勝手なオッサンのようです。実際オッサンだけど。
日々の日記@。ヤマタツ生きてます、正直しんどい。
Posted: 日 - 5 月 20, 2007 at 03:24 午前