京王線憲法


 いやぁ、もうね、五月病ですな。まったくもって病気です。手足がダルいんです。身体が重いんですよ、わたし。
 そうは言っても心持ちとしては、五月に入った途端にこのザマかよぉというガックリ感ではなく、むしろ、五月に入ったおかげで、ようやく正々堂々と世の中に五月病を宣言できる喜びでいっぱいなんです。雲ひとつない五月晴れの爽やかな休日、清々しい空気を胸一杯に吸い込みながら、このわたくし、街行く人々に向かって元気良く宣言いたします。ビバ、五月病!と。

 ふぅーっ・・・。
 ところで列島にお住まいの皆さん、黄金週間中はいかがお過ごしでしたでしょうか。本州内を右往左往された方や、周辺の島に出向かれた方、あるいは、もっと遠くの孤島や、さらには大陸などにお出かけになられた方も多いはず。そんな大移動のごたごたに紛れてこのわたくしも少しばかり移動しました。いや、京王線でちょっとそこまでだったんですけどね。
 京王線というのは、新宿から西へ向かって伸びている私鉄なんですけど(八王子にお住まいの方なら、八王子から東に向かっている私鉄だよ、と反論されるでしょうが)、なんというか真っ直ぐ西へ走って行き、山にぶつかって終点という線路なのです。武蔵野の台地を淡々と走りつづけるも、やがては行き止まり・・・。哀しいですな。まるでこのわたくしの人生そのものだ。

 一方、同じ新宿から西へ向かう小田急線というのがあるのをご存知でしょうか。今じゃこんなにネガティブ思考のこのわたくし、まだ若かりし学生時代に住んでいたのが小田急線沿線です。小田急線の江ノ島行きなんか乗りますとですね、河を渡り、幾つもの山を越えながら、苦労の末にようやくたどり着くのが明るい日差しの太平洋です。山あり谷ありの沿線の最後は眩いばかりの海。素晴らしいですな。自分の人生、小田急線のように生きたいと若い頃は考えていました。ハッピーエンドの人生。

 でもね、この連休中に乗った京王線でしみじみと思ったんですよ。これでいいのだと思ったんですよ。ワイワイガヤガヤと少しうるさい電車に乗って、いつまで経っても代わり映えのしない車窓の風景をぼんやりと眺めながらね。進路変更もなく決められた真っ直ぐの線路の上を、河を渡ることなく、山にぶつかるまでただ淡々と走りつづける。寄り道しません。余計なことはしません。いや、実際は八王子の手前で河を渡っているのですが、ここまで来ると、もうどうでもいいというか、いつ渡ったのかも気付かない。まぁ、線路は真っ直ぐ続いているから、これでいいのだ。

 さてと・・・。
 日本の憲法を変えようという機運が高まっているようですが、このわたくしは別に余計なことをして、寄り道することはないと思っています。憲法(法律)は時代に添って変えていくべきだという意見には賛成しますが、そもそも第二次大戦からこっち、この何十年のあいだ時代が変わっているようには見えません。国民性も変わっているようには見えません。勝ちに行くなどという分不相応なことをすべきではないと思うのです。
 このわたくしヤマタツ、今のところはルビコン河を渡らずに日本国憲法という真っ直ぐな線路の上を淡々と走りつづけることを選びます。負けるというのは敗北に成功しているということです。勝つというのは敗北に失敗するということ。そして弱いというのは強さの欠如ではなくて、逆に強いというのが弱さの欠如でしかないと思うのです。

 日々の日記@。ヤマタツ生きてます。京王線の車窓からの暖かい日差しを浴びてウトウトしながら、ルビコンを渡ることなく。

Posted: 水 - 5 月 9, 2007 at 02:36 午後      


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