ヤマタツさん寝坊するの巻


打合せに遅刻してしまって時間が延期になったので、ソバを食べてから(またソバかよ)新宿御苑の脇道をブラブラ散歩したヤマタツさんなのである。
ちょっと寒かったので温かいソバを食べたんである。



ところがその後、仕切り直された打合せにて背広のお偉方が、本題に入る前にひとしきり政党政治について一席ぶったわけだ。民主党はもっと大きくなってこれからはアメリカ合衆国みたいに二大政党になるべきだとか何とか。
すると何を思ったかヤマタツさんは、そんなの無駄な争いが起こるだけだと反論して、ただでさえ悪いそのオヤジの機嫌をますます悪化させてしまったんだな。政党は対立するんではなくて一つの政党がいろんな政策を内包すればいいんであるとか力説し始めたんだ。
そしたら今度は、そんなことになったら独裁を生むことになると背広のオヤジは言ったんだ。するとヤマタツさんは、それは短絡過ぎるとまた反論したんだ。透明性はむしろ進むはずだと言い張るんだよ。
しばらくして背広オヤジは、話をすり替えてこの先は少子化で大変だぞと脅かし始めた。ヤマタツさんは、そうしたらもっと外国人に日本国籍を与えればいいと反論。将来は極端な話、アメリカ出身や中国出身の総理が誕生してもいいのではないかと言い出した。
まもなく背広のオヤジは時間切れで退散。どぉんよりと疲れてしまったヤマタツさんは、今日はもうのんびりしたいなと思い、誰か今晩つき合ってくれないかとあちこちメールしたりするんだけど、みんな微妙な感じでどうやらフラレっぱなしだった。そういうわけでヤマタツさん、しかたなくヴォゴン人の女に手を出してしまったんだな。
そのヴォゴン人の女というのは、普段は新宿の風俗店で働いているんだけど、たまに電話で呼び出されて早稲田あたりに出張する働き者である。主に早大通り(地元の人は正門通りと呼んでいるけどね)の端から端、つまり西はW大学から、東はY校までの学生や教師・講師の股間を受け持っているわけだね。
で、その働き者でおよそヴォゴン人らしくないヴォゴン人、今日はヒマで焼き鳥を食べるのでつき合えとヤマタツさんにメールしてきた。
そういうわけで早稲田駅近くの激安焼き鳥屋で地球人とヴォゴン人がそれぞれの顎で焼き鳥を噛み砕き、それをビールで胃袋に流し込むことになったわけだ。



それほど美味くもないビールをしばらく飲んでいるとそのヴォゴン人女が、ビッグバンって130億年前に起きたのよねと言い出した。そう、あの悪名高き天地創造。みんながたいそう腹を立てて、まったく余計なことをしてくれたもんだぜと散々言われた出来事だね。結局宇宙を創造した犯人は捕まっていないという噂なんだが、このヴォゴン人女はどうやらそのお尋ね者の目星をつけているらしい。
ヴォゴン人女はときどき新宿のとある飲み屋で働いたりもしているんだけど、どうやらその店の常連客で妙に怪しげな行動をとるカップルというのがいるんだそうだ。そのこっそり注目を浴びている行動というのは、二人して持参のタオルを濡らしてその端っこを握りしめ、自分たちの頭上でぐるぐる回し始めるというものらしい。一見何の変哲もない行為だが、ヤマタツさんはその話を聞いただけでピンと来た。ヒッチハイカーだ。



それからというもの、ヤマタツさんはそのお尋ね者のカップルのことが気になってしょうがない。見かねたヴォゴン人女が、じゃあこれからお店に行ってみようと言うやいなや焼き鳥屋を飛び出した。ところがすでにヘロヘロ状態のヤマタツさん、夏目坂を上って、抜弁天まで歩き、それからどういうわけか余丁町を下り、脇道から靖国通りをまた上る、弾かれるままのピンボール運動でようやく新宿にたどり着いた。案の定その噂のカップルはすでに店を出たあと。オカマのママを締め上げると彼らは小熊座方面へ向かったとのこと。ヤマタツさんは、小熊座方面へ向かったんならそのうち引き返してくるかも知れないなと考えた。なにしろあのあたりの夜空は黒い鉄板に光の穴が開いているだけの地域だからだ。いくら猛スピードで逃げても固い鉄板にぶつかってすぐに地球に落ちてくる。そう思って安心していたヤマタツさんにヴォゴン人女が、あのあたり抜け道があるのを知らないの、と言い放つ。



そういうわけでこれ以上脳みそがうまく働かず、手詰まりのまま深夜の新宿二丁目に佇むヤマタツさんなのである。

Posted: 木 - 10 月 27, 2005 at 03:01 午前      


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