豊明市議会政務調査費による

臨時・非常勤職員に実態アンケート調査

 

                21世紀まちづくりネット 

山盛 さちえ 

<アンケート調査の目的>

 1.豊明市に働く臨時・非常勤職員の勤務条件や、働くことにたいする意識を統計的に調査・分析し、実態を把握することで問題点、改善点を明らかにする。

 2.臨時・非常勤職員の資質や市民サービスの向上、均等待遇の実現につなげる。

  3.調査結果の情報公開によって、臨時・非常勤職員の雇用問題解決の必要性について市民の理解を得る。

 

<調査の概要>

 ・アンケート配付対象/豊明市に勤務する臨時・非常勤職員

 ・アンケート記入方法/直接臨時・非常勤職員に手渡しし、本人の記入により郵送で回収。無記名方式。

 ・調査期間/2004年 2月20日〜 3月 5日

 ・アンケート配付数/348

 ・アンケート回収数/151 (回収率43.4%)有効回答149

 

<調査結果とその考察>

1.回答者の属性

 回答者の属性は次のとおりである。

 (1) 性別

    1.女性   142人(うち一般事務他64人、資格職78人)

    2.男性    3人(うち一般事務他 3人、資格職0 )

     NA     4人(うち一般事務他 4人、資格職0

 (2) 職務の分類 

   1.一般事務その他の職務  71人 (その他の職務は給食調理など)

   2.資格を有する職務    78人

 (3) 雇用上の扱い

  1.臨時職員        147人

  2.非常勤職員        2人

2.4割が4年を超えて勤続、資格職はフルタイムが4割

 臨時・非常勤職員の年齢は、(2004 年 2月末日現在の満年齢)

  1. 20代   12.1 %    4. 50代    26.2 %

  2. 30代   24.8 %    5. それ以上   5.4 %

  3. 40代   27.5 %     NA       4.0 %

 となっており、30歳代、40歳代、50歳代に集中している。

 また、勤続年数は4年を超えるのが全体の約4割を占め、その平均勤続年数は10.6年である。20年以上勤務している人も7人ほどいた。地方公務員法で規定されている雇用期間(6ヵ月契約で更新は一度のみ)1年を超えるのは72%にもなっている。こうした「違法雇用」が二十数年間も続いていることは、異常というほかない。特に、保育士などの資格を有する職務では、4年を超える勤続が43.6%(平均11年)となっている。豊明市の保育園では、臨時職員の保育士が正職員の保育士を上回っているが、長期間雇用の臨時職員に支えられて保育園が運営されている実態が明らかになった。

 1週間の勤務時間は、全体では20〜30時間が4割と多いが、35時間以上の実質的フルタイム勤務が26.8%あり、保育士などの資格職では4割がフルタイムで勤務している。

  ◆1週間の平均勤務時間

 1.20時間未満    25.5 % (一般事務その他26.8%、資格職務24.4%)

 2.20〜30時間未満  40.3% (     50.7   〃  30.8 )

 3.30〜35時間未満   6.0 % (      7.0       5.1 )

 4.35〜40時間未満  15.4% (      9.9     20.5 )

 5.40時間以上    11.4 % (      2.8     19.2 )

  NA        1.3 % (      2.8      0 )

 

3.職員研修や雇用契約の説明が不足

  地方公務員法では「臨時職員雇用期間は6ヵ月以内とし、ただしやむを得ない場合6ヵ月を超えない期間で更新することができるが、再更新はできない」とされている。先にみたとおり、7割以上がこの規定に反して雇用されていたが、こうした雇用契約上の説明を受けていたのは全体の4人に1人(25.5%) で、三分の二の66.4%は説明を受けていないと答えている。

 また、法で義務づけられている雇用契約条件の書面提示もされない場合が多く、市は臨時職員への雇用当事者としての責任を果たしていないことも明らかになった。「豊明市臨時職員の雇用に関する規則」を「配付された」のは37.6%で、うち説明を受けたのは18.8%、「配付されていない」は45.0で、配付も説明も受けていないのは35.6%あった。

 公務員としての基本的遵守事項(守秘義務や義務、責任など) の研修、担当する職務についての研修がされているかの問に対しては、

基本的な研修

職務の研修

受けたことがある

40.3 % 

17.4 % 

受けたことはない

40.9 % 

64.4 % 

NA

18.8 % 

18.1 % 

 というように、大半が研修をうけておらず、公務員としての自覚や責任は、臨時職員等の個人に任せられているのが実情である。仕事では正職員と同様な内容、責任を任せられている臨時・非常勤職員は、「責任への不安」や「研修の要求」(意見欄への声)をもちながら、日々勤務しているのが実態である。これは、臨時職員個人の問題というより、市民に対する行政の責任の問題であり、雇用責任の問題を含めて、市当局の職員管理のあり方の改善が求められていると言えよう。

 

4.賃金は正職員の半分以下、103 万円の壁の中が大半

 市が全職員の4割近い臨時・非常勤職員を雇用している最大の理由は、人件費の削減にあることは明らかである。産休代替とか、常勤を要しない業務とかの必要性とは別に、本来正職員が行うべき職務の相当部分を、臨時・非常勤職員によって代替えしているというのが現実である。

 週労働時間が30時間未満の臨時・非常勤職員の大半(54.4%)は年収103 万円未満である。年収150 万円未満までのすべてを含めると65.8%となり、30時間未満の人数とピッタリ一致する。つまり、週30時間まで働いても年収は最大150 万円に満たない、ということがわかる。また、26.8%が事実上のフルタイムと考えられるが、その年収をみると大半が150 〜200 万円未満内に収まり、150 〜250 万円未満までに全部(26.9%)が入ってしまう。つまり臨時・非常勤職員は、フルタイムでも年収200 万円前後で働いているということである。これは、正職員の二分の一から三分の一程度であろう。こうした臨時・非常勤職員の賃金格差は、均等待遇原則に著しく反するとともに、パート労働者の賃金格差をめぐって争われた最近の判例(パート社員の賃金は正社員の八割以下は違法とする丸子警報器事件判決など)や、政府のパート労働指針からも大きく逸脱している。

  ◆年間収入総額

    1. 103万円未満        54.4 %

    2. 103万円〜130 万円未満   6.7 %

    3. 130万円〜150 万円未満   4.7 %

    4. 150万円〜200 万円未満   18.8 %

    5. 200万円〜250 万円未満   8.1 %

    6. 250万円以上は      該当なし

     NA              7.4 %

                     

 労働者の賃金・労働条件は「労使対等」のもとに決定すべきもの(労働基準法第2条)とされているが、臨時・非常勤職員の殆んどは、賃金の決定基準や改定の手続きさえ知らされていない。「知っている」と答えたのはわずか4%に過ぎない。市の言うがままに、一方的に賃金などが決められていることが分かる。

  ◆賃金決定基準や改定手続きを

   1. 知っている          4.0 %

   2. 知らない           87.9 %

   NA               8.1 %

 現在の職務内容と、時間単価のバランスについては、「取れている」「どちらとも言えない」「とれていない」のそれぞれに三等分された。資格職では「どちらかというと取れていない」が26.9%で最も多かった。

  1.バランスが取れている      14.8 %(資格職15.4%)

  2.どちらかというと取れている    19.5 %(   15.4 

  3.どちらとも言えない       30.2 %(   25.6 

  4.どちらかというと取れていない  20.8 %(   26.9 )

  5.バランスが悪く不満である    10.7 %(   16.7 

   NA               4.0 %(     0 

5.法に反する年次有給休暇付与基準

 労働基準法で規定されている年次有給休暇の付与日数は、6ヵ月勤務後に10日を最低とし、以降20日まで毎年増加する(短時間パートの場合は時間比例で付与)。しかし、豊明市の場合は、勤続年数に係わらず最低の10日しか付与していないことが分かった。20年以上勤続しても10日しか付与されていない。一人平均付与日数は9.2 日、取得日数は7.9 日であった。こうした法違反が、繰り返し行われていることへのチェック機能の欠如が、職員管理のあり方とともに見直される必要がありそうだ。

  労働基準法上に規定される女性の生理休暇の取得については、全くされていない。これは、制度そのものが知られていないことも一因であろうが、臨時・非常勤職員という立場や職場の雰囲気にも影響されていると思われる。

 職員の雇用保障の一環である社会保険、雇用保険は、勤務時間の程度に即して加入がされていると思われる。しかし、最近の加入条件の緩和の動きもあり、加入希望者への対応も検討されるべきだろう。とくに、雇用保険については、短時間労働被保険者(年収90万円以上、1年以上雇用)として、該当者全員の加入が保障されるべきである。              

社会保険の加入

雇用保険への加入

加入している

34.2 % 

69.1 % 

加入していない

59.1 % 

21.5 % 

加入していないが入りたい

4.7 % 

2.0 % 

わからない

0.7 % 

4.7 % 

NA

1.3 % 

2.7 % 

6.経済的理由で働き、賃金・手当に不満

 臨時・非常勤職員が「働いている理由」は、自分の小遣い稼ぎやレジャー費用などではなく、家計の不足分や生計費を得るために働くとする答えが約9割におよんでいる。同時に「自宅からの通勤の便」や「勤務時間の都合」という働ける条件があったことも、大きな理由となっている。また、「仕事の内容が気に入った」が3割以上あり、資格職については半数以上が「専門分野で働きたかった」と、仕事への積極的な意欲が、働く動機になっている。

  ◆働いている理由

  1.生計費を得るため           25.5%

  2.家計の不足を補うため         38.9%

  3.住宅ローンなどの費用のため       8.7%

  4.子どもの教育費のため         16.1%

  5.旅行やレジャーのため          6.7%

  6.老後や病気のお金が必要なため      4.7%

  7.自分自身のお金が必要なため      21.5%

  8.仕事の内容が気に入ったから      32.9%

  9.賃金がよかったから           0.7%

  10.勤務時間が自分の都合に合ったから   34.9%

  11.自宅から通勤の便が良かったから    38.9%

  12.家にいても仕方がなかったから      4.7%

  13.理由抜きに外で働きたかったから     6.0%

  14.専門分野で働きたかったから      28.9%

  15.その他                 2.7%

   NA                  0.7%

 「職場での悩みや不満」の一番多いのは、「賃金」「手当」に対する不満である。とくに、一時金の廃止への不満は、意見欄でも多くみられた。長く勤めても退職手当もないことへの不満も多いと思われる。これらは、「同じような仕事をしても、正職員との格差・差別がある」という答えが35%もあることとも関連している。有給休暇の制限や育児・介護休暇などの特別休暇がないことへの不満も3割あり、正職員との格差への不満への底流となっていると思われる。悩みや不安の面では「雇用止め、解雇」の心配である。全体では2割、一般事務や給食調理職などでは3割以上が不安を感じている。   

  ◆悩みや不満

  1.賃金が                        30.2 % 

  2.手当て(一時金や退職金など) がない、少ない       38.9 %   

  3.健康保険や雇用保険に加入できない           6.7 %   

  4.有給休暇などの休みが取りにくい            10.1 %   

  5.育児・介護休暇・忌引・病気などの特別休暇がない    19.5 %   

  6.雇止め、解雇される不安がある             20.8 %   

  7.職場の人間関係が良くない               10.7 %  

  8.同じような仕事に対して、正規職員との格差・差別がある 34.9 %

  9.仕事がきつい                     2.0 %   

  10.仕事がつまらない                   0.7 %  

  11.悩み、不満はない                  13.4 %   

  12.その他                       10.7 %   

   NA                         4.0 %    

 「悩みや不満の解決策」としては、「同僚に話す」(54.4%)「家族に聞いてもらう」(45.0%)「趣味やスポーツ等でまぎらわす」(24.5%)圧倒的に多い。不満や悩みはあるが、上司に掛け合ったり、公的機関や労働組合に相談したりするところまでいかずに、同僚、家族に愚痴を聞いてもらったり、趣味などでうさ晴らしをしているのが現実のようだ。また、労働基準監督署や労働組合の所在等の認知度が低く、その手段方法がわからないことも、これらへの相談が少ない理由でもあると思われる。

7.長く働き続けたいという希望が強い

 臨時・非常勤職員の雇用は法的には1年以内であるが、豊明市の実態はさきに見たように十年、二十年以上も正職員との大きな格差のある雇用条件で働き続けている臨時職員も多い。これらの職員の今後の就業希望を聞いた結果は、

できるだけ働き続けたい

75.2 % 

期間を限定して働きたい

10.7 % 

臨時・非常勤職員として働き続ける気持ちはない

8.1 % 

   NA  

6.0 % 

 というもので、圧倒的に勤務の継続を望んでいる。「臨時・非常勤職員として働き続ける気持ちはない」の回答者のなかには、「正職員になれないなら転職する」という人もある。しかし、多くが現状の臨時・非常勤職員のままで満足しているのではなく、全体では37%、資格職では4割以上が「正職員になりたい」と考えていることがわかった。

   ◆正職員になりたいか

できたらなりたい

36.9%

なりたくない

32.9 %

どちらでも良い

19.5 %

 「正職員になりたい理由」は、「正職員は雇用、賃金・労働条件が安定し、守られている」が殆んどであり、その裏返しとして「臨時職員への待遇格差や差別」をあげた人も多い。また、「昇給」や「研修」など正職員には仕事のやり甲斐がある、という理由もあった。一定年数後には正職員にすべきだという希望も強い。

 「なりたくない」理由は、「年齢的に無理」「家庭等の事情」というものが多い。

 正職員への希望を年代別にみると、「なりたい」は20歳代58.8%、30歳代51.4%、40歳代31.6%と、若い年代ほど正職員指向が強い。一方、「なりたくない」は、50歳代48.4%、40歳代36.8%と高年齢層に多い。とくに、女性の若い世代は、正職員・正社員の門戸が狭く、やむを得ず臨時・非常勤職員として働いていることが多く、正職員への強い希望が伺われる

 ◆「年代」と「正職員になりたいか」とのクロス集計(有効回答126)(%)

  できたらなりたい

   なりたくない

   どちらでもよい

全 体

一 般

資格職

全 体

一 般

資格職

全 体

一 般

資格職

20代

58.8

60.0

58.3

35.3

40.0

33.3

5.9

0.0

8.3

30代

51.4 

46.7

54.5

27.0 

13.3

36.4

21.6

40.0

9.1

40代

31.6

37.5

27.3

36.8 

18.8

50.0

31.6

43.8

22.7

50代

29.0

18.8

40.0

48.4 

62.5

33.3

22.6

18.8

26.7

以上

33.3

33.3

0.0

33.3 

33.3

0.0

33.3

33.3

0.0

《臨時職員からのご意見はここから》