1章1-17 細い血管と神経
糖尿病になると、細い血管や神経がダメになって合併症が起こります。
どうして、細い血管や神経がダメになるのでしょうか?
ポリオール代謝異常


ポリオール経路

 ブドウ糖が細胞の中に入ると大部分はエネルギーとして消費されます。
 しかし、一部はアルドース還元酵素の働きを受けてソルビトールという物質に変化します。
  さらにソルビトールはソルビトール脱水素酵素によってフルクトース(果糖)になります。
  この過程をポリオール経路と言います。

※この文章は株式会社 三和化学研究所のCD-ROM「糖尿病セミナー」から引用させていただきました

健康で血糖値が正常な時はソルビトールを果糖に変えて細胞の外に出します。ソルビトールは、少ない量では人の健康に害を与えることはありません。
しかし、血糖値が高くなると…

アルドース還元酵素
 ふだんは居眠りしている酵素なのですが、血糖値が高くなると働き出します。そして、あり余ってるブドウ糖に作用して、ソルビトールを作り出します。

細胞内にソルビトールが増えて処理出来なくなり濃度が高くなります。それを薄めて濃度の調節をしようとして、細胞内に水分が入ってきます。細胞は水ぶくれになります。タンパク質が水ぶくれになって変性したり酸欠状態になって細胞がダメになります。

このような状態ををポリオール代謝異常と言います。
これが神経障害をはじめとする慢性合併症の主要な原因の一つとされています。

  末梢神経、網膜、水晶体、脳、肝臓、すい臓、赤血球、副腎にはアルドース還元酵素がたくさん有ります。ですから、そういう臓器や細胞ではソルビトールが作られやすいのだそうです。高血糖状態(糖尿病)で目の毛細血管や腎臓や神経がやられやすい理由はここにあります。ソルビトールが作られやすい所が危険な箇所でもあるのです。

●ソルビトール●
 糖アルコールと呼ばれる甘味物質の一種。
 リンゴ、ナシなどの果物や海藻類など含まれています。人工甘味料として利用されています。エネルギー源として肝臓で代謝されます。利用する際にインスリンを必要としないので血糖値に影響を与えません。  
 なお高血糖状態では神経や細胞の中に、ブドウ糖が変化して作られてたソルビトールが異常に蓄積されて、その細胞の働きを阻害します。これが糖尿病性神経障害の主要原因の一つにもなります。


アルドース還元酵素素阻害薬
 糖尿病性神経障害の治療薬。
 ブドウ糖からソルビトールを作り出すアルドース還元酵素の働きを妨げることによって、細胞内でのソルビトールの生成を抑制します。


タンパク質と糖は仲良し

 高血糖の状態では、ブドウ糖は体のタンパク質とくっつきます。
 この、くっついた物質を糖化タンパクと言います。

 糖尿病で内科の外来へ通われている方は毎月、Hba1c(エッチビーエーワンシー)という数値を検査してもらっていると思います。
 Hba1cは糖化ヘモグロビンとも呼ばれます。(グリコヘモグロビンとも呼ばれています。ヘモグロビンエーワンシーとも呼ばれています。)

 これはヘモグロビンのタンパクが血液中のブドウ糖と、くっついて糖化したものです。血液中のヘモグロビンの何パーセントが糖化ヘモグロビンに変わっているかを調べる検査です。

ブドウ糖は全身のタンパクと、くっついて糖化タンパクを作ります。それはタンパクが変性したもので、もはやタンパクとしては正常に機能しなくなります。

食品化学では糖液中にタンパク質をつけておくと固くて茶色になる事が、ずっと昔から知られていたそうです。Hba1cについてはコチラを参照。(ブラウザの戻るボタンで戻って来てください)

●以上のようにしてタンパクや血管や神経がいたんできます。


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