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Wed - August 6, 2008

中心市街地の活性化その1:車社会信仰 

どこも中心市街地を活性化するために知恵を絞ってみるものの、秋田などは中活法の指定を受けた出店補助事業への応募者がゼロだったりと、いきなりつまづいたりしているようです。
北九州の中心市街地活性化基本計画も七月頭に認定を受けました。認定を受けたからには人ごとではないでしょう。
正式に認定が下りるまでは遠慮して書かなかったので、気になるところを少し整理してみます。 
とても一回では書ききれないので、まずは車社会であるところの地方都市の中心市街地を活性化するために、車に対してどういうアプローチをとるべきだろうか?ということについて。

空洞化したダウンタウンをどう再興するかというテーマには海の向こうではもう二十年、三十年と取り組んでいるからには、すでにその成果を見ることが出来る都市もあります。一方、その間こちら側ではむしろ郊外へのショッピングモール進出を積極的に後押しするような状況が続いてきて、そこからようやく重い腰を上げて中心市街地の活性化に向けて梶を切りはじめたというわけですが、暗中模索というか、なんとも意見がまとまらない感じですね。

ミネアポリスにせよポートランド(オレゴン)にせよシアトルにせよ、ダウンタウンの復興策に関しては、あれだけ車依存の激しいアメリカでさえ、歩行者への対応こそが最重要課題であるということが歴史的に示されていると言って良いと思うのです。ところが、日本ではだいたいどこでも「地方では車がないと生活出来ない」という主張が圧倒的で(その点にはあえて反論しようとも思いませんが問題はその話の続き→)、だから地方都市の中心市街地は車で来てくれる人をどう呼ぶかを対策の柱としないと・・・というような意識が特に商業者を中心に根強くあるように感じます。危険ですね。もちろん今の北九州の状況で車で訪れる人さえいなくなったら息の根を止められることは間違いないのですが、それ以上に公共交通機関で訪れる人を増やさないことには活性化の目はないという事実にも目を向けないといけません。
実際、北九州の場合、車で来る人が増えても市街地の活性化に何の効果もなかったことは、数値的に明らかになっています。

中心市街地活性化基本計画の中で示されている、小倉都心エリアへの交通手段をこの12年くらいで比較したデータです。
(無断引用ですが公開されている基本計画 [PDF直リンク] からなので大目にみてください|北九州市中心市街地活性化基本計画(小倉地区)35ページより)



この十年あまりの間に街を訪れる総トリップ数は減少しています。つまり街に来る人は減っているわけですが、それにもかかわらず、自動車で街に来る人だけは実際のトリップ数ベースでも増加しています。基本計画には自動車の分担率が増加したと記述されていますが、重要なのは分担率だけではなく、実トリップ数でも10%も増加しているということです。
ではなぜ街に来る人の総数が減ったのかと言えば、公共交通機関を利用して訪れる人たちがそれを上回るペースで減っているからです。

自動車でやって来る人の数だけは増えたこの十年あまりの間に、小倉の都心部に何が起きたのかということをよく考えた上で、自動車への対応をどうするか考えるべきでしょう。

一番理解しなければならないことは、公共交通機関で中心市街地に来る人と、自動車でやって来る人とでは、目的意識がまったく違うということです。
一般論ですが、車で中心市街地を訪れる人たちは、郊外のショッピングモールに来るまで行く人とおおむね同じ意識・行動パターンであって、駐車したその目的の施設にピンポイントで来るのだと考えるべきです。それ以外の施設や近隣の商店街に用はありません。わざわざ5分10分街の中を歩いてまたもういちど駐車場まで歩いて戻ってくるなどという人はまれでしょう。
あるいは商店街に駐車場が用意されたからといって、近くで買えるものを郊外からわざわざ車で商店街に買い出しに来る人は少ないでしょう。
(そう言う意味では商店街で小売業を営んでいる方々には残酷な問いが突きつけられることになります。その話はまた次の機会に。)

一方、歩行者視点でいうならば、都心部に多くの駐車場があることは街歩きの魅力を分断して歩く楽しみを著しく低下させます。
もちろん安全も脅かしますし、視覚的にも物理的にも快適さを損います。
個人的な印象ですが、小倉は市街地中心部に駐車場が異常に多い都市だと思います。おおむね充足しているという基本計画の態度には安心しましたが、それでも足りないと言う人が少なからずいるのは危険な兆候です。
小倉の中心市街地ともなれば商圏がそれなりに広いことも確かですが、それでも大規模小売店と商店街の小売店では訪れる客の目的が本質的に異なることを認識した上で(飲食店はまたちょっと状況が違うでしょうが)、誰にとって魅力のある街を目指すのか?ということを考えるべきでしょう。

(もっとも街歩きの楽しさという点で言えば、商店街のストアフロント延長に占めるパチンコ率が異常に高いこともまた無視出来ない事実なのですが・・・)

一般論としてこういう話をすると「お前は車がないと生活出来ない地方の現実を理解してない」と必ず言われるのですが、それは少々論点がずれています。人口が数千とか数万人規模でバスも一日数本しかないような陸の孤島だとか山の中の過疎地の話をしているわけではありません。ここで問題になっているのは十万単位の人が居住していてそれなりに公共交通機関も発達している街なのです。
その商圏にはある意味陸の孤島に近い地域も含まれるとは思いますが、そういう所に住んでいる方々は今でも車で来ているわけですからそれで良いのです。その人たちまで公共交通機関で来ることを強要しろとは言っていません。ただ、中心市街地を再活性化するという目標のもとでは、車で来る人がこれ以上増えなくても全然構わないし、公共交通機関を使えるのにあえて自家用車で来てる人が減るのはなお良いと言うのが私の主張です。

それから、誤解のないようにしておかなければならないことは、自動車より歩行者を重視するというのは根本的に重要なコンセプトの一つではあるけれども、それだけですべてが解決すると言っているわけでもありません。それと平行して、都心部に居住することのインセンティブと、公共交通機関を利用して中心市街地に来ることのインセンティブを用意することは必須でしょう。それらについてはまた改めて。 

Posted at 11:10 AM  Comment  Trackback
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Published On: Aug 07, 2008 08:08 PM