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Thu - May 29, 2008

マスメディアの未来 

光文社新書の「グーグルに勝つ広告モデルーマスメディアは必要か」のことをタイムリーなところでちらほら見かけるので読んでみました。
確かに、多くの点において指摘は的を得ていると思います。

ただ、テレビやラジオ、雑誌といったメディアに対する現状分析と提言が比較的納得のいくものであることと比較すると、新聞に関する部分のキレの悪さというか、現状認識の甘さが際だちます。
著者は広告代理店出身だそうですが、あまり新聞媒体では仕事をしていなかったということでしょうか?

 
何より違和感を感じたのは、ネットとの代替性に関する議論がメディア別に展開されるのですが、テレビについて多くの消費者はタイムシフトと編成権を求めているのに応えられていないとか、雑誌に関してはモビリティの優位が喪失しているとか言ってるにもかかわらず、なぜか新聞の話になった途端に、新聞はネットに比べてアクセススタイルが極めて柔軟で優位性があり、シチュエーションについても多様で優位性があるなどというまったく理解に苦しむ展開になるのです。

私自身もテレビよりは新聞の方が長く存続する可能性が高いとは思います。
しかし、この本での新聞に関する議論はあまりに楽観的というか、現実が見えていないとしか言いようがありません。
ほかの部分が的確なだけになおさらアラが目立ちます。

新聞は大判の紙を折りたたんで持ち運びが出来るメディアだからモビリティがあるとか、ネットのニュースをプリントして読むという文化は根付きそうにないからネットでは代替できそうにないとか、的はずれなところに話の原点があるので、その後の提案にまったく意味がありません。一般家庭でも新聞は読んだら捨ててしまうのが基本ですから、スクリーン上で読めるものをわざわざプリントして読むなんてことをするわけがないでしょう。

ネットにおけるローカル情報の対応の弱さの指摘については、確かについ先日まではそうだったかも知れませんが、どうやらそれもそろそろ解消されそうな気配です。

新聞がネットに代替されない部分があるとすれば、もはやそういうところではないはずです。
新聞社の価値はそれが編集される前の信頼できるソースにもとづくニュースにこそあるわけで、テレビにおいて視聴者が編成権を求めるのと同様に、新聞においても編集権が求められていることには変わりありません。その点に関する指摘はまったくないのがなぜなのかと思います。

それでも全体としては広告収入に支えられるマスメディアの生き残り策について、比較的現実的な提言をしている興味深い考察です。 

Posted at 06:00 PM  Comment  Trackback
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Published On: May 30, 2008 09:14 PM