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Tue - October 14, 2008

作品の見せ方 

また東京にフェルメールが来てるので見に行きたいなと思ったものの、ずいぶん混雑しているようですね。
「モナリザ!」とか「ルノアール!モネ!印象派!」とかいうのが受けるのはまだ分かりますが、フェルメールがそれほど一般受けして大人気というのはちょっと理解に苦しみます。真作がごく少数しか確認されてない神秘的な作家だという側面をやたら強調するメディアのプロモーションも影響あるんだろうとは思いますが、たいていの人は期待はずれなんじゃないのかなあ?

それはそれとして、最近行った展覧会の中で、一昨年くらいのプライスコレクションと去年の新美術館でのフェルメールと、どのように作品を見せるかということが気になったなとふと思いました。 
感想を書いてたかなと思って探して見たところ、最近は展覧会に行ってもここにはあまり書いていないことが判明しました。

気になった作品の見せ方の話ですが、もちろん作品を鑑賞する上で照明の計画や、作品をより深く知るための解説が重要であることに異論を挟む余地はありません。デパート内のなんちゃって美術館でライティングがどうしようもなかったりするとかなり凹みます。
ただ、近頃少し光の演出や作品を補完する解説のための展示の度が過ぎるケースが目立つ気がします。

どっちが主役なんだよ?と。

プライスコレクションの時には、照明はあくまで作品を引き立てる存在であるべきなのに、どうだ、この照明すごいだろう!こんな体験はなかなか出来ないぞ!感動しろ!みたいな感じでちょっととまどいました。
屏風絵が時間によって見え方が違うなんて当たり前の話です。国宝・重文級の屏風絵は美術館でもなければなかなか目にできないとはいえ、人工的に作り出される光の変化を眺めるくらいなら、国宝・重文級とはいかなくてもそれなりに良いものを自然の光の中で見た方がよっぽど純粋な鑑賞のしかたですし、純粋な感動もあるでしょう。

新美術館の時はフェルメールの作品は一点だけだったのですが、展示室内に絵に描かれた住居の空間が原寸大で再現されていて完全に絵を圧倒する勢いでした。地味で静かな作品を見て、直後に薄っぺらく再現された空間を目にしてしまうと、何とも言えない白け気分に襲われます。そりゃコルビュジェの展覧会でユニテの原寸模型を作って内部空間を体験してもらうことの意義は分かりますが、絵に描かれた空間を再現してあげたから見てねというのはちょっと違うと思うのです。
マウリッツハイスは行ったことがないのですが、フリックコレクションにせよ、METにせよ、ほかにも良いものをたくさん抱えているだけに別にフェルメールだからといってそれほど特別扱いされているわけではないですし、ごく普通の光の中で作品をゆっくり見ることが出来ます。見に行く時間が違えば当然違う光の中で。本当に大事なことはそういうことだと思うのですが、まあ、色々な考えがあるのでしょう。

結局これは難しい問題なのだとは思います。
作品そのものを純粋に鑑賞したい人からすれば鬱陶しいことこの上ありません。でも、作品そのものにあまり関心のない人に、良くも悪くもある程度単純な感動を与えられれば、次もまた見に来ようという関心を持ってくれるかも知れないという期待はできます。
作品そのものの魅力とは違うところで客の関心を引かないといけないというのは何だかなあとは思いますが、美術教育がまともに機能してない以上、仕方のないことなのかもしれません。 

Posted at 08:45 PM  Comment  Trackback
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Published On: Oct 15, 2008 02:13 PM