Columnについて
景観
建築を計画するとき何を大切に考えるか、私はゾーンとゾーンの境界の距離感だと思っています。社会と個人、外部気候と内部気候、集合と個などなど、その境界のデザインが建築のデザインと言えないでしょうか。建築のボリュームや外観のデザインを考えるとき、既存の町並みに対して閉じるのか、開くのか、距離を置くのかなど外に対しての建築の態度が内部空間との関係性と共に大きな課題となります。

私たちの街にも東京近郊(小田急線で新宿まで20分の距離)の故か、新しく集合住宅や建て売り住宅が建設されています。これらのものは、ある一定の規模で経済性の為に許されるボリューム目一杯に建てられることになり、既存の町並みに与えるインパクトが大きく、多くは既存の町並みと衝突しているように思えます。

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写真は記事とは特に関係ありません。自宅近くに最近出来た分譲集合住宅。

これらの建築が次々と立ち上がっていくと、私たちの町並みは住民の手の届かないデベロッパーの手の中にあると思えてきます。
昨年、景観3法と言われるものが施行されました。

今まで法律は、景観に対して法的位置づけが、市街地の緑やたたずまいを含めた街並み全体の品格、景観と緑の一体的な政策推進については弱かったこと。相続発生や企業不振による所有地の転売・放出などによって、民間所有の山林、邸宅、研修所として維持されてきた景観と緑が急激に変容・喪失している事例が少なくないことなどの理由で「景観法」を含む「景観緑三法」が参議院で成立しました。「景観緑三法」は、良好な景観を「国民共通の資産」として位置づけた初の基本法で、「景観法」、「景観法施行関係整備法」、「都市緑化保全法の一部を改正」の3つをセットにする通称です。


しかし、景観3法によって景観のあるべき姿が多くの人たちによって合意が得られている地域では、高さや色の統一によってある程度良好な景観は維持されるのでしょうが、
我々の住むどうってこと無い普通のまちの景観は、どうでしょうか。

「自分の住んでいるまちの色は?」、「自分たちの街にふさわしい建築物のデザインは?」と聞かれても私たちは途方にくれるだけだろう。こんな議論を始めたら、既得権益を守りたい人たちが現れて、混乱するだけでは無いだろうか?良好な景観なんてうちの街には必要がないと思う方もいるかもしれません。

しかし、安心して安全な街に住みたい。美しい街に楽しく住みたい。というのは、どなたでも共通の願いでは。何の変哲も、特色もないけれど美しく魅力的な街に住みたいという欲求はあると思うのです。
私たちの街を美しくするにはどうすればよいのでしょうか。少し街に対して開いてみること、意識してみることではないでしょうか。このサイトのブログのカテゴリーにdetailを設けているのも、住んでいる街のちょっと素敵だな、ちょっと変だなというところをとりあげて、それが集積していくと街の顔が見えてくるのではとの思いからです。そんな小さな努力から初めて見てはどうでしょうか。新たに建築を計画する人は、少しだけ街に意識を開いて欲しいと思います。自戒を込めて。

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写真はやはり近所の賃貸集合住宅。ここには、成功しているかどうかは別にして、建築家の外と内、街に対する距離感の意識がはっきり感じ取れるのではないでしょうか。

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駅近くの最近改修された歩道の舗石。何という無計画性、こういうことが平然と行われるのですから美しい町並にはほど遠いですね。

© yuichi masuda