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| 「源氏物語」 (十)賢木 | | 作成日時: Dec 23, 2004, 10:00 PM |
六条の御息所
「神垣はしるしの杉もなきものを
いかにまがへて折れる榊ぞ」
(ここの神垣にはしるしの杉も立てていないのに、どう間違えて榊を折ったりして訪ねていらしたのでしょう)
光源氏の返歌
「乙女子があたりと思へば榊葉の
香をなつかしみとめてこそ折れ」
(乙女のおられるあたりだと思えば、榊の葉をなつかしく存じて尋ねて参ったのです)
娘、斎宮の伊勢行きが近づくにつれ、六条御息所は心細くなる。葵の上の死に自分が関わっていることで、長らく光源氏からの音沙汰もなく、一途に思い立ち娘とともに伊勢へ下ることにした。年上の愛人として光源氏は別れに歌を交わし、お互いの心残りを嘆く。
十月桐壺院の病状が悪化、そしておかくれになる。年が変わり光源氏は公務に出ず邸にこもっている。あの朧月夜の君は尚侍の君となる、これは源氏達の政敵でもある朱雀帝の外祖父、右大臣方の政権となったことのあらわれでもある。そして弘徽殿の女御は、まさに光源氏をはじめ左大臣方への報復を画策し始める。
御所へ参内するのも気が進まぬ中、春宮の後見でもある光源氏に、過去の過ちはあったとしても藤壺の宮は力になってほしかった、しかし、光源氏は院が亡くなったからというわけでも無かろうが、よけいに恋心を燃やし相手の愛を求めてくる。
「あふことのかたきをけふに限らずば
今いく世をかなげきつつ経ん」
(お逢いすることの難しさが今日に限らずいつまでも続くならば、わたしは後幾返り生きて嘆き通すことになるでしょ)
「長き世の恨みを人に残しても
かつは心をあだと知らなん」
(永久につきない恨みをわたしにお残しになっても、それは貴方の浮気心だと知っていただきたいものです!)
このような政情の中、このまま源氏との関係を続け、それが露見した暁には息子の命までも危うくする。そして、彼女は現世へ思い切り、出家を決心した。
翌年、尚侍の君は病のため里へ下がる。お互い、人に隠れ恋心を忘れずにいた、光源氏と彼女は、しめしあわせて夜な夜な逢いはじめる。ある日明け方頃に激しい雷雨が邸を襲う、そのため邸を出られないところに、右大臣が娘の様子をうかがいにきた。尚侍の君は、言葉も出ず、顔を赤らめていたところ、男物の着物が床に落ちているのを見咎める。几帳の後ろにいた光源氏は見つけられてしまう。
尚侍の君は失神したかのように青ざめ、父の右大臣は怒り狂う。姉である弘徽殿の女御は怒りに震え、源氏排斥を企てる。
これ以降、光源氏は失脚することに。その原因が、今の帝、朱雀帝の宮でもある朧月夜(尚侍の君)との不倫を父親に見られるとは、悪いことは出来ない。この物語のプロットを追い、こうしてメモを取ってゆくと、なんと現代的な話ではないか! つまりわたし達はこの千年、なんと精神的には立ち往生しているのか、そもそも感情は進化も退化もないものなのか。ならば、新刊本、何々賞などを取った小説の「新しい知性!」「感性!」などという謳い文句は嘘に過ぎない。 |
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