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| 「源氏物語」 (九)葵 | | 作成日時: Dec 20, 2004, 10:43 PM |
賀茂祭(葵祭)での源の典侍と光源氏の歌より
「はかなしや人のかざせるあふひゆゑ
神のゆるしのけふを待ちける」
(すでに他の人が葵をかざして逢っているとは知るよしもなく、貴方に会うために待っていましたがはかないことでした)
源氏の返歌
「かざしける心ぞ徒に思ほゆる
八十氏人になべてあふひ(葵)を」
(貴方は今日の葵祭に私だけでなく他の人に逢うつもりで葵をかざしたのだろうから、逢った私まで浮気な気がします)
桐壺院が退位され光源氏の異母兄である朱雀帝が即位する。そして、春宮に藤壺の中宮腹の皇子(光源氏との子)がなり、その後見に大将の君(光源氏)がなるが、内心嬉しがる。
その年の賀茂祭では、新しい斉院のための御禊が盛大で、光源氏も参列する。大殿(葵の上)は若い女房達にせがまれ、懐妊しているにもかかわらず車で見物へと出かける。そんな中、光源氏の愛人である、六条の御息所も車でやってきたが、物見の場所取りで葵の上の一行に押しのけられ、彼女は傷心してしまう。
その後、正妻である葵の上は、なんらかの物の怪に取りつかれひどく苦しみ始める。数多くの祈祷が尽くされるがただならぬ物の怪が葵の上から出て行こうとしない。苦しそうに彼女が声を上げる、「源氏の君に申し上げたいことが・・・」
皆が席を外した中、病のせいか艶めかしい声をよくよく聞くと、それはあの御息所その人の有様であった、まさしく目の当たりに生き霊を見る。
ほどなく葵の上は出産する、安産である。御息所当人は、その様子を伝え聞き、心穏やかではいられなかった、しかし、自分の気が失せていたときのことを思い出すと、身体に芥子の香りが染みついている、それが葵の上の物の怪退治で焚かれた臭いと気づき、自分が生き霊であることを認めることになる。
ほどなく、葵の上は息をひきとる。
その後、光源氏は葵の上の父である左大臣邸で喪に服す。
長らく顔を出さなかった紫の君の元へ訪れる。彼女を正妻にする気でいた源氏は、大人として彼女と接するが、彼女の方はどうも意に介さない。しかたなく、彼は無理矢理に初めて彼女と愛を交わす。彼女は朝床から出ようとせず、光源氏が残していった歌をよむ。
「あやなくも隔てけるかな夜を重ね
さすがに馴れしなかの衣を」
(幾度と無く床を同じにし慣れ親しんできながらも不思議にいままでは、衣一重を中に隔てた水臭い中でありましたね)
それを読み、彼女はそれまでの光源氏の心持ちを知り自分自身が情けなくなる。光源氏を心から恨めしくおもい、言葉も交わさなくなる。
まあ、それも可愛いもの、彼は気をきかせ結婚の儀式として惟光に密かに吉日に餅を用意させる。それでも、彼女の気持ちはかわらず、目も合わせようとしない・・・。
葵の上の死は、「夕顔」の死と同じように生き霊に取り憑かれたからだ。しかし、残された子は、光源氏の生き写しでもあり、また、あの藤壺との子とも瓜二つ。彼は疑われやせぬかと内実穏やかではない心境があらわれている。
また、紫の君との初夜からの描写は、女性観としては非常に現代的に思える、年の頃十四、五の女、それまで子供子供した遊び相手をしてくれていた男が、自分を女にしてしまった。その時の感情を、彼女は憎しみにしてしまう。それでも光源氏は女性遍歴の余裕が、そんな彼女を愛おしく見ているところが愉快でもある。 |
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