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「源氏物語」 (六)末摘花

なつかしき色ともなしに何にこの
すゑつむ花を袖にふれけん

末摘花(すえつむはな)、紅花の異名・・・。

光源氏は夕顔のことがなかなか忘れられない、それがゆえ、彼女のような「世にも可愛らしい人柄の、気兼ねのない」女性はいないかと思い続けている。
そんな折、故常陸宮の姫が、荒れ果てた邸で暮らしていることを知る。十六夜の月の頃その姫のところへ訪れる。が、姫は恥ずかしがってあってくれない。仕方なく引き上げるときに、頭中将と出くわす・・・その姫に興味を持ったのか単なるライバル意識からかお互い競って姫へ手紙を送る。

ようやくのこと、光源氏はその姫と夜をともにすることが出来た。朝方、どれどれと姫の姿を見て、驚く。「すわりぜいが高く、胴が長いように」見え、「そのお鼻、あきれるほど高く長くのびて色が付いている(赤い)」「おでこ」で「下ぶくれ」云々。
ところが、光源氏は気の毒に思い(!)、また貧窮した生活を思いやり、贈り物などをする。
宮中では、紫の君が、ますます美しくなってゆく。しかし、気持ちはまだまだ子供子供している。光源氏と二人で絵を描いている。女の絵を描き、鼻を赤く色づけると、いたずら気分で自分の鼻にも塗りつける。
「わたしがこういう不具になったらどうでしょう」
紫の君はくすくす笑いながら「まあいやなこと」
光源氏は鼻をぬぐう仕草をするが
「どうしても落ちない、お上がなんとおっしゃることか・・・」
紫の君は、彼の鼻を吹いてあげる
「平仲の話のように墨をおつけにならないでください、赤いのならまだ辛抱します」
まだまだお遊びの仲だ。
(平仲・・・平貞文という好色男が、女の前で嘘泣きするのに墨を水と間違えて目に塗ったという昔話)

しかし、末摘花の「悪口」は、あからさまで、さすがに女が書いた文章だ。男にとって女性は永遠の魅惑、作中の光源氏のように性格がよければどんな女性も愛することが出来る、この章で光源氏の女性遍歴が単なる好色というわけではなく、その当時の日本の文化であると感じる、つまり光源氏の思考や行動はごくごく一般的なんだと。さて、紫式部はよほど嫌いな女房仲間がいたんだろうな、それを末摘花として作中に表現したんだろうな、きっと。
後半の紫の君とのやり取りは、まだまだあどけない少女を描いている。しかし、その純真さは将来のさらなる美しさをかいま見る感じだ。

 




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