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「源氏物語」 (四)夕顔

よりてこそそれかとも見め黄昏に
ほのぼの見つるはなの夕がほ

乳母の見舞いに五条にある家に赴く。隣家の家の女と歌のやりとりをする。上は光源氏の返歌だ。自分の素性を隠し、夕顔のところへ通うように。
ある日、夕顔に何処かよそで逢おうというと、嫌がる。
「ほんとうに、貴方か私かどっちかが狐なんでしょうね、まあ、化かされてごらんなされ」と優しく云うと、夕顔もそんな風になってみようとおもうところは可愛らしい。

八月一五日の夜、お互いに素性を語らぬまま、某の院に行く。一日中寄り添っている素振りはあどけなくもいじらしい夕顔。
宵過ぎ、灯火が消え、闇の中に生き霊が現れる。源氏に恨み言を言い捨てまた消えてしまう。そして、その夜、夕顔は震えながら死に絶える。

夕顔は昔、頭中将が通っていた女だった。しかし、正妻の親の圧力で身を隠したのだ。彼女には小さい子供がいたことを知り、源氏の君はそのこのことを不憫に思う。悲しむ光源氏は気落ちし、一月の間病に伏してしまう。そして、夫と地方に下った空蝉と継娘のこと、そして死んだ夕顔に対する恋の苦しみをしみじみと思い出すことになる。

歌のやりとりにも夕顔の可愛さが感じ取れるが、物の怪に取りつかれたからだろうか、その死はあまりに突然すぎる。主人公である光源氏は、一月の間、彼女の死の衝撃と悲しみでやつれ果てるところの描写は生々しい。「夕顔」は源氏物語での最初の小説らしい章といえる。

 




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