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| 螺旋の哀しみ (その二) | | 作成日時: Dec 27, 2004, 09:11 PM |
螺旋の哀しみ (その二)
一九五三年、後にノーベル賞を受賞するワトソンとクリックはDNAの分子構造を解明し遺伝情報の伝達について重要な知見を見出した。今日わたしたちの知る螺旋構造をした巨大な分子、DNAは僅か四種類の塩基が作る膨大な数の順列により生命の遺伝情報を記録している。『種』を複製するという役割を担うこの物体は、生体を組み立てる蛋白質製造処方を記録するだけではなく、総ての生物における『生きる』という行動の規範をも記録している。物を食べる、眠る、自分の身を守る、といった極めて基本的な行動をだ。そしてその最も重要な行動が子孫を残すことである。
最も頭脳の発達した人間の生活における「悲しみ」や心が「傷つく」という作用は、どうも「生きる」ことや「子孫を残す」ことに対する生命の危惧を意味している。喧嘩で負ける、恋人に裏切られる、愛する人を失う、仕事に失敗する、夢破れる等々わたしたちは様々な場面で、「悲しみ」「傷つく」ことを経験する。その時、身体中を襲う寒気のような精神の震えこそDNAがわたしたち宿主に対して警笛を吹き鳴らしている時なのだ。おまえは何故そんなに悲しみ、涙するのだ、弱い、嘆き悲しむ人間は私の遺伝情報を残すことが出来るのか?できっこない、できっこない。そんなDNAによる宿主に対する哀しみの表現なのだ。猿の生態は如実にこのことをわたし達に示す。戦いに負けたボス猿は雌から見放され、群から追い出され子孫を残すことが出来ない。悲観にくれる元ボス猿、そう、「悲観」は生物総てのもつ反作用、そしてDNAは哀しむ。
(以降 その三へ) |
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