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時間の間隙

机の上のホイットマンの詩集は、三十年前書店に並んでいたものを誰かが買い、そして三十年後古本屋の棚でわたしが手にすることになった。
「草の葉」
何かの愉しみにと手に取ったのか、なにか人間的な英知を授かろうと思ったのか、大学の英文学の教授が勧めたのか、ともかくそれを最初に買った奴は、この詩人に相当惚れ込んでいたようだ。
自分の気に入ったところに、何カ所にもわたって鉛筆で書き込みがされている、美しい女のこと、未開の土地へ行く開拓者のこと、未来に生まれるだろうより寛容と愛を語る詩人のこと。
わたしも時々、先人の例にならってたわいない言葉を書き足してみる、

何処かで君が読んでいるのもここにあるのとおなじ言葉
期待と諦めが 目に映る風景に想いを重ね
片肘つきながら文字を指で追う
無頼の徒、一つの宇宙を捉えようとして

また明日、わたしは次のページを開き、いま生きているのかどうかもわからぬ過去の読者と時を同じくする。

 




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