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| ニーナ/ロシア最後の日 | | 作成日時: Sep 27, 2004, 10:56 PM |
ペテルスブルク市街からさほど遠くない、彼女が通っていた女学院近くの屋敷の窓から、ニーナは群衆に埋め尽くされた通りを見ていた。手に松明を持つ人、身体をぐるぐる回しながらビラをまき散らしている人。斧や鍬を手にする人もいる、先頭には鉄砲を肩に担いだ警官がいた。彼らはゆっくりと冬宮に向かって行進していた。歌を歌っている、インターナショナルを誇らしげに歌いながら、誰もが冬宮を目指して行進していた。
窓から外を眺めている彼女の手を誰かが引っ張った。既に旅行のための服を着ていた。部屋を出るときに、手に唇をあて壁にかかっている肖像画に優しく触れた。
肖像画は黒い背景に若い女の上半身が描かれている。ニーナに少し似ている姉の絵だ。少し目尻が下がり、今にも笑い出しそうだな絵だといつも思っていた。彼女は思い立ったように、壁から額縁を外し、さらに木枠からキャンバスをゆっくりと剥がしその絵を丸めた。どこまでも持ってゆこうと決めたのだ。
玄関先に止めてある馬車に乗る。群衆はだれも彼女達のことを気にしていない。御者は小さな声で馬に進むように声をかけ、鞭を入れた。振りかえり見る彼女の家、彼女はこの家を二度と見ることは無いと悟る。 |
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