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| ニーナ/彼女の指先について | | 作成日時: Sep 23, 2004, 05:45 PM |
わたしは左の人差し指の指先が無い。小学生の時、学校の体育館の鉄の扉に挟まれつぶれてしまったためだ。それ以来、わたしは人に見られまいとして、指先を隠す魔術師になった。一番簡単な方法は、中指と親指で人差し指を隠してしまう方法だ。人には見られたくなくても、わたしはいつもその指先を見ていた。爪が無く、ちょっと不細工に先の肉が隆起を描いている。滑らかで、柔らかい。
通っていたピアノの先生は、時々わたしが上手く弾けないときに頭をなでてくれた。わたしは、しばらくしてピアノを弾くことを辞めた。
わたしが人を信用する基準は、この小さな蛸の頭のような指先を好きになってくれる人だけだった。
ニーナは、あの軽井沢での事故のあと、会うたびに流暢な日本語で「可愛い子豚ちゃん」と云ってこの指先をさわってくれた。
大抵の男は、わざと目をそらすか、笑いと軽蔑の対象にした。誰か一人がからかい始めると皆同様の口調ではやし立てた。わたしは泣くことを我慢するのもうまくなった。
彼は気にならないといって、なにか不思議なものを調べるようにわたしの指をさわるのが好きだ。
「この指 好き?」
「ああ、きみの体の中で一番」
彼はそう云い、わたしは彼の目を見る。
「ほんとうは?」
そう聞くと、彼はわたしの瞼にキスをする。
それから、いつものようにわたしは彼の唇や体に指先をはわせ、その後に彼にキスをしてあげる。彼はわたしの指を時々口にくわえる、舌先の感覚が指からゆっくりと伝わると、わたしの頭の中はとても熱くなってくる。 |
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