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| 一枚の絵 | | 作成日時: Sep 20, 2004, 08:58 PM |
春、部屋を抜け出し公園で昼寝をしていた。頭の中では「ボレロ」のメロディーが繰り返し繰り返し響いている。
風が吹き、花が舞い、その中に紙切れが混じっている。風に飛ばされた原稿。丁寧な字体で書かれた、物語の一部。わたしは、それを丁寧に折り畳み、ポケットに押し込んだ。
「ストーリーはどうだっていいの。子供が読むんだから。でも、字が読めなくてもいいの。母親が読んであげて、子供のちっちゃな頭の中に、たった一枚の絵が浮かべばそれだけでいい。怖い絵や、嬉しい絵、悲しい絵もあるかもしれない。空を飛ぶ牛や、掌に乗るお城、そんな絵を覚えてもらえる物語を書きたいの。」
わたしは彼女のそんな止め処ない話を聞くのが好きだった。
風に飛ばされ、わたしの元にやってきた物語の切れ端。それは、彼女にとって、既に完結していた物語かもしれない。しかし、わたしはそのことを内緒にしている。
なぜなら、わたしにとっても、彼女の物語が既に一枚の絵になってしまったからだ。 |
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